最終章_Ending.
今、ここに居るのは、何かを背負ってしまった私たち。
過去の過ち……その真実は、まず認めなくては、誰にも信用されないかもしれない。
それを怖がっていたら、いつまでも、この世界には認められないだろう。
いくら力があっても、いくら財産があっても。
信用されなくても、騙してでも、存在を認められたい……なんて、そんな悲しいことは、どうか言わないで。……いやな嘘を捨てて、誇りを持って生きられる世界へ。未来のことを、考えて、優しい嘘の世界へ。
この世界の裏側に何が隠されていたとしても、私たちは必死に生きていくしかないんだ。
迷いながらでも、間違いながらでも…………。
ある人は、人々を救えなかった。
ある人は、他人に合わせた生活ができなかった。
ある人は、暴力を振りかざしてしまった。
ある人は、他人の秘密を吹聴してしまった。
ある人は、仲間を置いて逃げてしまった。
ある人は、他人を脅してしまった。
ある人は、病気になってしまった。
ある人は、現実から逃避した。
ある人は、多くの嘘を吐いた。
ある人は、未来への挑戦で大事な人の命を奪ってしまった。
多くの人が、悪いことをしてしまった。
もうしない。
もう、こんな風にはならない。
したくない。
だけど……もう「普通」ではいられない……。
でも待って。
彼ら彼女らの過ちは、そんなに致命的なことなのか。
人々の中で、誇りを持って生きていくことのできないほどのことなのだろうか。
取り返せないものも中にはある。けれど、多くは、これから……。
全ては、これから。
生きていく中で、正して、進んでいけばいいと私は思うから。
だから、「もうやめたい」だなんて、どうか言わないで。
それはとても、悲しいことだから……。
……これからの永い永い未来。
彼らと彼らの子供たちが、ずっと幸福を感じて生きられますように。
それが、私の願い。
――本当に、長い長い日々だった。
何度も繰り返してきた世界。
抜け出すことができないのかと足掻いてきた。
今、世界は、私が望んだ未来へ。
希望ある未来への、輝く一方通行。
私たちを乗せて、浮島は流れていく。
今はただ、潮の流れのままに。
【おわり】
お読み頂きありがとうございました!
楽しんで頂けたなら嬉しいです。そうでなくとも読んで頂けただけで私はハッピーです。大感謝です!
さて、本編はこれにて終わりとなりますが、実は番外編のようなものが、けっこう存在していたりするので、よろしければそちらもお楽しみ頂けたら嬉しいです。
ありがとうございました。