最終章_6-5
しばらく階段を降りると、少し開けた場所に出た。
視界には、小さな扉が一つ。
と、その扉を眺めていたら、扉が開いて、利奈っちと那美音が出てきた。
がっちゃがっちゃと音を立てながら。
思わず言葉を失うしかない俺。
「あら、達矢くん。おかえり」
柳瀬那美音は、そう言った。
「お、おう……」
「あ、達矢。ちょうどよかった。運ぶの手伝って」
がっちゃがっちゃと音を立てながら、利奈っちは言った。
「運ぶって、何を」
「武器」
えっと武器というと……。
利奈っちの体には、小銃やら機関銃やら狙撃銃やら手榴弾やら、バズーカやら、物騒なものが巻きついていた。大量に。重そうだ。ついでに本子ちゃんも肩にしがみついている。
那美音の方は、A4冊子サイズくらいの幅の平たい直方体の箱を重ねて持っていた。一見、漫画雑誌を重ねて抱えているような形だ。でも抱えているのは箱だった。箱の中身は……たぶん、
「拳銃よ」
那美音さんは半笑いで言った。
「やっぱり……」
そんな気はしてた。
「達矢。これ持って」
「ん……ああ……」
言って、数箱を手渡してくる。受け取ると、
「うおぅ……」
思ったよりも重かった。
「それ、運んで」と那美音。
「拳銃って、重いんだな」
「そう、物理的にも、精神的にも重いわ」と利奈。
「利奈っち、動きにくそうだな……」
「うん。ちょっとね……」
「それにしても、こんなに必要か?」
「備えあれば――」と利奈。
「――憂いなし」と本子ちゃん。
「ちょっと本子ちゃん。わたしのセリフ……」
「こら、二人とも、ぼさっとしてないで、戻るわよ」と那美音。
「あ、うん」
「それはそうと、達矢」
「何ですか」
「メロンパンは買って来たんでしょうね」
「ああ、もちろん。あ、そうだ。財布を返さないと……と思ったんだが……」
拳銃の入った箱を抱えていて両手が塞がっている。
「じゃあ、後でいいわ。とにかく、部屋に戻りましょう」
「ゴーゴー」
いつものように、本子さんが言った。