最終章_4-5
図書館裏にまで来た。
「ここは……」
呟く謎の女。
「隠れ家っす」
答える俺。
「そうみたいね……見るからに怪しい」
目の前にある洞窟の入口とか……ちぎれた『KEEP-OUT』のテープとか。
客観的に見ると、怪しすぎるな、確かに。
「行きましょう」
「ええ」
二人、洞窟に入り、階段を下った。
蛍光灯の明かりが灯った階段を下り、部屋に入ると、無人だった。
「達矢の部屋にしては……女っぽいわね」
「あ、いや、ここは利奈っちの部屋で……」
明日香と俺が無理矢理住み着いてるという状況なわけで。
「なるほど、利奈さん……ね。どんな子?」
「良い子ですよ。物知りだし」
「そうなんだ」
「まぁ、とりあえず座ってくれ。お茶でも出すから」
俺はそう言ったのだが、
「達矢くん。ごめんね」
彼女はいきなりそんなことを言って、
「えぇ?」
戸惑う俺の腕をロープで縛った。
「……何これ……」
「こっちも、縛らせてもらうわね」
足も縛られた。
「ちょ……ちょっと……」
「ここも」
口も塞がれた。
「もごもごぅ」
あ、あれ……?
これ……やばくない?
いともあっさり監禁されてない?
何なの、この展開!
「ちょっとこの部屋、調べさせてもらうわ」
次の瞬間、視界も真っ暗になった。
「もごもご、もごもごー!」
俺は「誰か、誰かぁ!」と言いたいのだが、声を出せない。
いや、出せたとしてもここは地下。
洞窟の中。誰に声が届くことがあるだろうか……。
せめて思念波でも飛ばせれば。
超能力が目覚めない自分の脳を抱えたい。
しかし、腕が縛られているので抱えられない!
何て悲しい!
「じっとしててね」
いやいやいや、そんなこと言ったって。言ったって!
「お風呂入ってくる」
そして、足音が遠ざかって行った。
何だ、あの女……。
俺を縛ったまま風呂に入るだと?
俺は、どうなっちまうんだ……?