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最終章_3-10

 やって来たのはショッピングセンター。


 その中の花屋に来た。


「あれ? ねぇちゃん?」


 おりえの弟らしき少年が居た。


 まず穂高緒里絵が「よっ」と右手を挙げて言った。

 続いて、宮島利奈が「よっ」と言った。


「あ、宮島さんも……」


 おりえの弟が呟いたところで、すかさず俺も、「よっす」と言った。

 そして紅野明日香が「よー」と言い、

 最後に本子さんが「よーよー」と言ったのだが、言いかけたところで穂高弟の声がかぶさってかき消された。


「誰です? こちらの二人」


 弟くんは当然の疑問をぶつけてきた。


「たつにゃんと、あすにゃん」


 にゃんにゃん娘が、勝手にフレンドリーに呼んできやがる。


「たつにゃんです☆」


 名乗った。ポーズつきで。


「あんた……さっきからおかしいけど平気?」


「へ、平気だぞ、明日香」


 ただ、どうも、この穂高緒里絵と一緒に居ると、ふわふわした気分になってしまう。


 不思議なことだ……。


 そして、おりえは、弟に話しかけた。


「そいでさ、秀雄ー」


「何だよ、ねぇちゃん」


「おかーさんは?」


「えっと、お寿司屋さんにゴハン食べに行ってます」


「だってさ」


 寿司屋でランチとは……。


「ゴーゴー!」





 今度は、レストラン街に来た。


 何だか、色んな場所をたらい回しにされて、ロールプレイングなゲームでもしている気分になってきたぜ。


 何も成果が得られないので、別段、楽しくもないが。


 で、寿司屋に入って、利奈っちが訊いてみる。


「華江さん、いますか?」


 すると板前さんは答えた。


「もう店に戻ったんじゃないかな」


「行き違いか」


「戻りましょう」


「そうするにゃん♪」


「ゴーゴー」





 そしてショッピングセンター。穂高弟の所へ戻ると、


「坂にあるお店に行ったんじゃないかな」


「ゴーゴー!」





 商店街のあるメインストリートとも言うべき坂は、学校側に近付くほど急斜面になる。穂高花店は、商店街のなかでは一番の急斜面にある店である。


 そこに到着した途端、


「緒里絵ーーーっ!」


 怒号が響いた。


「ふにゃぁ?」


 わけのわからん奇声で首を傾げるおりえ。


 その次の瞬間、店から飛び出してきたエプロン姿の女性が、


「店ほっぽらかしで何やってんだい!」


 と怒鳴りながら穂高緒里絵をパシーンと引っ叩いた!


「はぅぅ……いたいにゃん……おかーさん」


 叩かれた頬を押さえながら言った。


 言葉を失う俺たち。


 これが、おそらく穂高母、華江さんだろう。


 華江さんは、一つ深く溜息を吐いた後、


「緒里絵。あんたは店の奥で反省してなさい!」


 叱った。


「やだ!」


 拒否した。


 それどころか、穂高緒里絵は、


「ばいびー!」


 とか言いながら花屋を出て外に駆け逃げて行ってしまった。


「ったく……あの子……」


 顔をしかめている。


 これは、なんとかフォローしてあげたいところだ。この華江さんはまだ怒り足りないといった様子で拳を握っていたから。


 きっと、このままにしておいたら、穂高緒里絵が帰ってくるなりボコボコのドロドロでメタメタにされてしまう。


「あ、あの、俺が無理言って連れまわしたんです。だから、俺が悪いんです。俺がお母様に会いたいと言ったから」


 俺はおりえのために謝罪した。


「へ? あたしに会いたい? どういうことだい?」


 すると続いて、利奈っちが事情を説明する。


「あの、実は……わたしが幽霊に取り憑かれてしまって」


「幽霊……? あっ、あんた、本子ちゃんじゃないの?」


 華江さんが、利奈の頭の上にふわふわ浮いている幽霊に向かって訊いた。


 って、待てよ……。


 幽霊が、見えているだと?


 何者だ、この人……。


「もしかして、ハナちゃん?」


 しかも、何か仲良さそうだぞ。


「あれ、でも、だって、本子ちゃんは封印されたって……」


「どういうわけか封印が解けて、今は利奈さんに取り憑かせてもらってます。気付いたら、利奈さんに取り憑いてたと言った方が正確ですかねぇ?」


 幽霊は、利奈に問いかけた。


「知らないわよ!」

 と利奈は怒ったように言った。


「そうなのかい……でも、封印が解けたってことは、以前言ってた『選ばれし者』がこの町に来たってことかい?」


 えー……何この、大人の口から飛び出してるとは思えない言葉の数々。


「わからないですけど……『選ばれし者』がもしも現在のこの町に存在するのなら、本子が目覚めたのも納得できますね」


「でも本子ちゃん。あんたの役目は後世に『ソラブネ』について書かれた古文書の在り処を伝え続けることだろう?」


 ソラブネ……?


 何だそれは。


「あっ。そういえば、そういう役目でした。伝え続ける……」


「忘れてたのかい。本子ちゃんらしいねぇ。記憶が曖昧で」


 花屋の華江さんは笑いながらそう言った。


「あの、お知り合い……なんですか?」


 俺が訊く。


「ちょっと、幼少の頃にね」


 何やら色々あったらしい。


「幽霊と知り合いって、なんか、すごいっすね」


「あんたも見えてるんなら、他人のことは言えないでしょうが」


「あ、確かに」


「で」と言って、華江さんは溜息。「古文書を伝えることと『選ばれし者』の出現に何の関係があるんだい?」


「本子がまだ生きてる時に、予言者でもあった母上が言ったんです」


「何て?」


「古文書を後世に伝える役割を持った魂……つまり本子がこの地に復活する時は、ここに『選ばれし者』が居る時だってこと」


「あの、本子さん。『選ばれし者』ってのは何なんですか。さっきからその単語が飛び交ってますけど、意味が全然わからないんですが」


 俺が思いっきり不審な目を向けてそう訊くと、


「たしか特定の物質を生まれつき体内に持った少女のこと……だったかしら」


 華江さんが本子ちゃんに向かって言った。


「そうです」


 特定の物質を持つ少女……?


 何か、よくわからないが、突然変異の個体みたいなことだろうか。


「だから、その人がこの町に来た時に、大事な何かの『正体と使い方』を教えるために、本子は甦った……ということが推測されるのです。きっと、巻物か何かにして、保管されていると思うのですが」


「でも、何でわたしに取り憑いてるのよぅ」と利奈っち。


「それは……何ででしょう……本子にもさっぱりです」


「本が好きだからじゃないかねぇ」と華江さん。


「じゃあ、そういうことにしておきましょう」


「何か、適当じゃん……いいのかな、そんなんで」


 利奈っちが俯くと、華江さんは、


「本子ちゃんはねぇ、そういう子なんだよ」


 と、その時、


「あの……さっきから一体何の話してるんだか、さっぱり……」


 しばらく静かだった紅野明日香が口を挟んできた。


「そうか……明日香には本子さんの姿は見えてないんだったな」と俺。


「あら、そうなの? もったいないわね。本子ちゃん可愛いのに」と華江さん。


「いやぁ、ふふっ、それほどでもぉ」


 可愛いと言われてとても喜んでいた。相変わらず変な幽霊だ。


 にしても、何だか変な話になってきたな。


 はっきり言うが、こんな電波系オカルト話に巻き込まれたくなかったぞ。


 だが、いつの間にか抜け出せないラインよりも深く関わってしまったと言えるだろう。これを、人は泥沼と言う。いずれにせよ、もう利奈っちをこのまま放っておくわけにはいかないような気がする。


「それで……古文書に何が書かれてるかを知らないといけないんだろ?」


「そうですねぇ……」本子さんは考え込んだ後、「……そうです」と、思い出したようにして言った。


「古文書……?」


「はい。あ、思い出しました。全七巻の巻物で――」


「あぁ、それなら、穂高家に内容を写したものがあるけど……」


「本当に? すごい、ハナちゃん!」


 本子さんが飛び回って喜んでいた。


「それがあれば、本子さんは成仏するんですか?」


「いや、たぶんできないねぇ」


「何でよぅ」


 不満そうな利奈。まぁ、その不満は当然だろう……。


「だって、今、ここに本子さんが居るってことは、そういうことなのよ」

 と華江さん。


「だから、どういうことなのよ……?」


「あたしは、幼少の頃、本子さんに会っている。その時に古文書を友達が解読したけど、本子さんは成仏しなかった」


「はぁ……」


「つまり、本子さんが成仏する条件は、少なくとも古文書の解読ではないということ」


「じゃあ、どうやったら成仏するんです?」俺が訊く。


「そんなもの、成仏したことないんだからわからないでしょ」


「確かに……」

 言われてみれば、そうかもしれない。


「とりあえず、ちょっとここで待ってな。今、古文書を写したメモを持ってくるから」


 華江さんはそう言い残し、店の奥へと消えた。


 しばし、無言。その沈黙を破ったのは、紅野明日香だった。


「あのさ、達矢」


「ん? 何だ、明日香」


「なんか、話が変な方向に進んでない?」


「ああ、それは俺も強く思っていたことだ。与太話って感じだな」


「てか、『選ばれし者』とかって、一体何なの? 中学二年生が抱えがちな病みたいなこと言って」


 中二の頃みたいな病(ちゅうにびょう)……か。確かに。身に覚えがないでもない。


「だが、あの花屋の人の顔はマジだったぞ……」


「そうよね……」


「――あーもー! わけわかんない!」

 突然、利奈は頭をかきむしりながら叫んだ。


「大丈夫?」

 明日香が心配していた。


 と、そんな時、「おまたせ」と言いながら、花屋の人が戻ってきた。


 両手にオーソドックスなノートを一枚剥がしたような紙片を持って。紙は、ちょっと黄ばんでいた。


「それは?」

 訊くと、


「さっき言っていた、巻物に書かれたことを記したメモよ」


 言って、一つコホンと咳払いし、読み上げる。


「第一巻『空から落ちてきた巨大な石の船・通称「ソラブネ」は、宇宙より飛来した。それは平地だったこの地に起伏をもたらした。ソラブネの激突によって、地が窪み、盛り上がり、周囲を山に囲まれた地となった』」


 ソラブネ……って何だ……。


「第二巻『謎のソラブネを恐れた人々は、ソラブネの上に土を被せたが、ソラブネから謎の光が放たれた。その扇状の光は、海側の山をえぐり、強い風が吹く地形を生んだ』」


 謎の光って、何だ。


「第三巻『人々は、地を削った光を恐れ、ソラブネを水中深くに沈めた。ソラブネの衝突で生まれた湖の底に……』」


 湖の底に、ソラブネがあるということか?


「第四巻『不思議なことに、ソラブネを沈めた翌日には、湖に、ぽっかりと陸地が生まれていた。細長い島で、丸みを帯びた岸と、角ばった岸があった』」


 前方後円墳……みたいな形だろうか。


 今は、丸い小島と三角っぽい島とに分かれているが、本来は、一つの島だった……という意味だろう。


「第五巻『ソラブネの正体は不明のままで、この地に残されたのは、硬くなった地盤と、ただ風の強まる地形のみであった』」


 古文書も万全ではないようだ。正体不明ってことは、これを書き残したのは、ソラブネとやらを作った人間ではないらしい。


「第六巻『様々な調査が行われたが、地質、水質等、全てにおいて汚染は見られなかった。ソラブネの正体を知った我々はこれを永久に封印するものとする。ソラブネについて、ソラブネの使い方の詳細は次巻に記す――』」


 花屋の人ははそこまで読むと、


「あぁ、読むの疲れたわ。後は自分で読んで」


 言って、俺に少し黄ばんだ紙を手渡してきた。


「は、はい……」


 俺は、紙を受け取り、第七巻を読んでみる。


『第七巻。ソラブネとは何か。空から降ってきた船である。それ以外は多くが謎に包まれている。このソラブネには強力な封印が施されていて、それを解く鍵は、「選ばれし者」が握っている』


 だから、この『選ばれし者』ってのは何なんだ。


 というか、誰なんだ。どんな特徴があって、どんな姿をしてるんだ。


 この第七巻は、他の巻と比べると、かなり内容が豊富なようだ。長い続きがあったので、なおも続けて読む。


『「選ばれし者」は、ソラブネに乗って来た「始まりの人」の御霊を持つ者であるが、他の人々との差異はほぼ無いと言って良い。そもそも、「選ばれし者」が生まれるのは、世界に危機が訪れているか、ソラブネに危機が訪れているかのどちらかの場合に限定される。今まで、それ以外で「選ばれし者」が発見されたという事例は無い。


これは、ソラブネが、この星の危険を知らせる信号を発するものであるからだと考えられている。しかし、やはりソラブネの多くは謎のままである。ソラブネの謎を解く鍵も、封印の鍵も、全て「選ばれし者」が握っているのだが、誰が「選ばれし者」なのか知ることは極めて困難である』


 誰であるかを特定するのは難しいらしい。


『しかし、「選ばれし者」が一定の距離に近付くと、この文書へ辿り着くための案内をしてくれる御魂を宿した「輝く本」が淡く赤く光を放つため、「選ばれし者」へと辿り着くための目印にはなる』


 輝く本で……御魂……っていうと、つまり幽霊みたいなものだと考えれば良いのかな。ってことは、もしや本子さんのことか。


 しかしまぁ、専門用語まみれでストレス溜まる文章だな。


 とにかく、まだ続きがあるようなので、文章に目を落とす。


『とはいえ、そのような不確実な方法でしか「選ばれし者」を探せないというのは、事実上、ソラブネを復活させるということはやはり奇跡のような確率の上に成り立つ現象と言える。ちなみに、これも未確認で不確実な情報ではあるが、一定距離内に「選ばれし者」が近付いた場合、「輝く本」は、金色こんじきに輝くと言われている』


 金色に輝く……か。


 何だかキレイっぽいから、少し見てみたい気もする。


 と、そんなことを思ったのだが、文章は、こう締めくくられていた。


『最後に、兵器転用も可能であると推測されるため、安易にソラブネを甦らせようとする者には、必ず罰が下るべきである』


 罰は、こわいな。


 神罰も、天罰も、人に裁かれるのも。


「ふぅむ、兵器に転用が可能……か。おそろしいな」


「どれ? 見せて」


 明日香は、俺から紙を取り上げると、サッと読み、


「何、この怪しい文章」


 言って、顔をしかめた。


 いや、これが普通の反応なのだ。超常現象やらオカルトだのを妄信する方が、頭のおかしな人扱いされる行為である。しかしながら俺は既に本子さんという「幽霊」なる存在と邂逅(かいこう)してしまった。だから、この一見怪しげな文章も、何となく信じたくなってしまっている。


 明日香は紙を手の甲でペチペチ叩きながら、


「だいたい、この『選ばれし者』とかって、何よこれ。ゲームのやりすぎじゃないの? あるいは神話とかの読みすぎとか。狂ってるわよ」


「とは言ってもねぇ。実際に、そこに幽霊はフワフワ浮いて居るし、古代兵器が埋まっていても不思議ではないわねぇ」


 花屋の人はそう言った。


「え、あ、本当に幽霊なんて居るんだ……やっぱ」


 どう頑張っても今の明日香には見えないようだがな。


「ソラブネってどこにあるんです?」


「それ訊いてどうしようっての?」


「探すに決まってるでしょ」

 と明日香はどことなく嬉しそうに言った。


 すると、花屋の人は、


「やめときなさい。危ないよ」


 険しい顔だった。


「危ない……?」


「本子ちゃんが一緒に居たから教えたけどね、ソラブネのことは、この町のトップシークレット。そこにも書いてあるでしょ。兵器転用の可能性があるってこと」


「あ、わたし、まだ読んでない」と利奈が右手を挙げた。


「あぁ、ごめん。ハイ」

 紅野明日香は宮島利奈に黄ばんだ紙を手渡した。


「ありがと」


 利奈はそう言った後、文章に目を通し、


「……本当だ」


 言って、紙を花屋の人に返した。


「まぁ、とにかく……忘れた方が身のためよ。あたしも詳しくは知らないんだけど、ここの地下にあるのは、かなり危険なモノらしいから」


「そっか。危ないんなら、近づかない方が良いっしょ。よく言うもんね。『君子、危うきに近寄らず』って」


「でもさ、そしたら利奈に取り憑いた幽霊はずっと成仏できないんじゃないの?」


「あ、そっか。それは困る」


「大丈夫さ、本子ちゃんは良い幽霊だよ。仲良くしな」と華江さん。


「え、でも――」


「くれぐれも! これ以上ソラブネってもんに関して首を突っ込んだりしないように」


 強い口調で釘をさしてきた。


「そうね。これ以上は知る理由が無いわ。こんな変な話にこれ以上首突っ込んだって、良いことないわよ」


 明日香は意外にも花屋の人に同意する。


「そうだな」


 俺も頷いた。正直あまり関わりたくないと思ったからだ。


「うぅーん……」利奈は少し考え込んだ後、「皆がそう言うなら……しばらくは本子ちゃんと一緒でも良いけどさ……」


 妥協した。


「これからもよろしくお願いしますね」


「でも本当に、本っ当に、無害な『良い幽霊』なのよねぇ? 実は悪霊だった、とか言ったら、風紀委員のまつりに頼んでやっつけてもらうからね!」


「それ、もう効果ナシだったじゃねぇか。まつりは除霊の方法知らなかったろ」


「あぁ、そういえばそうだった」


「さて、それじゃあ、うちに帰りましょうか」

 明日香が言った。


「そうだな……もうすっかり暗くなっちまったし」


 俺はそう言って歩き出そうとしたのだけれど、利奈は、釈然としない表情のままだった。


「じゃあ、私の家に帰りましょう!」と明日香。


「ちょっ――……あれ、わたしの隠れ家なんだけど!」


「利奈っちのものは、私のもの」


「なにそれ!」


「紅野明日香は得意の横暴を発揮した」


「達矢も! 何冷静にナレーションしてんの!」


「あはははー」


「あんたも、幽霊のくせに何笑ってんのよぅ!」


「幽霊が朗らかに笑っちゃいけないですか? それはそれは、幽霊に対する差別ですよ。ひどいことです。全幽霊に対して謝罪すべきですよ」


「差別って、何言ってるの、この幽霊……」

 利奈は頭を抱えた。


「ほら、とにかく帰るよ」

 紅野が踵を返そうとした時、


「あ、華江さん。色々教えていただいて、ありがとうございました」

 利奈がそう言って頭を下げたので、


「あ、ありがとうございました」「ありがとうでした」

 俺たちも頭を垂れてお礼を言った。


「ありがと、ハナちゃん」


 本子さんも手を振りながら。


「いや、お礼なんて別にいらないけども、とにかく、ソラブネに関しては、もうアレコレ探らないこと。いいね?」


 花屋の人、華江さんの言葉に、俺たちは、


「はーい」「はーい」「はーい」「はーい」

 揃った良い返事をした。


「よし、良い返事だねぇ」

 褒められながら、俺たちは花屋を後にした。




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