最終章_3-8
「気は、済んだかな」
利奈は言った。涙目で。
すっかり髪の毛をボサボサにされていた。
「うん♪」
まつりは満足げだった。
「それで、まつり、さっきの話だけど……」
「何の話だっけ?」
「輝く本についてと、除霊について」
「うーん。少なくとも、そういう特殊系のモノは、うちには無いわねぇ。それに、町の秘密についてなら、利奈んちの方が詳しいんじゃないの?」
「そうなの?」
首をかしげる利奈。
「そうよ」
「しらないなぁ……」
利奈は首を横に振った。
「じゃあ、カオリのところは、どう?」
「どうって?」
「ほら。大事なものは、穂高家が全部もってっちゃったでしょ。歴史上の重要な品や高価な美術品やらを片っ端から持っていくヨーロッパのとある国みたいに。だから、そういうモノは穂高家にあるんじゃないかな」
「まぁ、まつりの家に置いておいたら大事なものは絶対に壊れるもんね。うちに置いてあっても、パパが壊すし」
何やら複雑なようで単純な事情があるらしい。
「神社、残ったらよかったのにね。したら、そこに保管できたのに」
「ごめんね、うちのパパが……」
神社は利奈の父親が壊したと言ってたな。
「あ、いや、別に責めてるわけじゃないし、利奈にはどうしようもないでしょ。気にする事ないわよ」
「まぁ、そうだけど」
「とにかく、穂高家に行ってみたら?」
「そうだね。そうしよっか」
「どうしたの? 元気ないけど」
「いじめられて」
「何と……後ろの三人にいじめられたのね!」
「いやいやいや。何を言ってるんだ、お前は」と俺。
「ほんと、意味わかんない子ね……」と明日香。
「いじめたのは、まつりちゃんよね」と本子さん。
「ふぅ、何を言い出すかと思ったら。あたしが利奈をいじめた? 妄言ね!」
ビシっと俺に向かって指を差してきた。
明らかにモイストして、いじめてたじゃないか。
「何か文句でも?」
怒りの形相を向けてきた。しかも、握りこぶしを作っている。
「み、みんな、行こう」
利奈が駆け逃げたので、
「「さ、さよならー!」」
俺たちも逃げた。




