表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
285/579

最終章_3-2

 朝食。


 ショッピングセンター内の中華料理店に、俺たちは居た。


 女子二人は制服姿、俺も制服に着替えた。


 利奈っちが洗って乾かしてくれたのだ。


 今日も学校は授業中なのだが、制服姿でサボタージュとは、堂々としたものである。


 中華料理店内の、四人掛けのテーブル席に腰掛ける。


 少々遅めの朝飯ということもあり、他のお客さんは一人も居なかった。


「明日香……ごめんってば……」


 利奈っちが謝っている。


 ここへ来るまでの道中、ずっと明日香は怒っていた。


「何なの。何なの。あんなワナまで仕掛けて、そこまで私が嫌い?」


「そういうわけじゃ……」


「しかも、達矢!」


「何だよ……」


「私の下着(ぱんつ)、見たでしょ! 最低!」


「おいおい……助けてやった恩を忘れて、そういうことを言うのか」


「私の下着が見たかったから助けたんでしょ。この変態!」


「そんなわけあるか!」


 下着姿が見たいなら助けず鑑賞してるっつーの。


 すると本子さんが、「なんか、理不尽に怒られてますね」と言ってニコニコした。


 まったくだ。


「もう腹立ったから、超いっぱい頼んでやる」


「「え……」」

 俺と利奈の戸惑いの声が揃った。


「店員さーん!」

 明日香が大声で店員さんを呼ぶと、


「ハイー」

 愛想のない店員さんがやって来た。昨日出前を持ってきた店員さんだ。


 そして、明日香は注文する。


「酢豚と、水餃子と、小籠包と、フカヒレの姿煮、麻婆豆腐と、バンバンジー、あとは……」


 店員さんは、次々と伝票に書き入れていく。


「お、おい……明日香……。それちょっと頼みすぎじゃあ……」


「うっさい」


 おこられた……。


「すみません……」


「あと回鍋肉と」


 ま、まだ頼むのか……。


「エビのマヨネーズ炒め、八宝菜、チンジャオロースと、白いご飯を大盛りで下さい」


「はい」


「二人は?」と明日香。


「お、俺は普通のラーメンを……」

「わたしは普通のチャーハンを……」


「ハイ、以上でよろしいですか?」


「あ、そうだ」


「「え!」」

 まだ何か頼むのか!


「何でしょう」


「あとウーロン茶をお願いしまーす」


「かしこまりましたー」


 愛想なく言うと、店員さんは厨房の方へと消えた。


「しかし……頼みすぎだろう……」


「いくらオゴリだからって、ちょっと行きすぎっしょ……」


「そりゃ私だって、遠慮するつもりだったわよ。でも、ワナにはめられて逆さ吊りにされた上にパンツ見られたら、温厚な私だって怒るわよ!」


「その怒りの方向を食に向けるとは……太るぞ」


「は? 何? 達矢? まだケンカを売る気でいるの?」


「い、いえ、決してそういうわけでは……」


「ま、ここの支払いで全部チャラにしてあげるから、ありがたく思いなさい!」


「そ、そうですか……」

 と利奈が俯いて呟いた。


「ありがたいことです……」

 俺もそう言うしかなかった。


 そして俺たちの前には、無愛想な店員さんの手によって、やや乱暴に御冷が三つ置かれた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ