最終章_2-12
しっかりと風呂を満喫してから上がると、脱衣所のカゴには、白い布があった。
手作りの、いわゆるブリーフ型パンツ。
穿いてみる。パンツ一丁の姿。穿き心地は……正直微妙だった……。
普段穿いているのがトランクスだから、ブリーフには慣れないという要素もあるが、やはり普通に売られているパンツの偉大さを痛感させられるぜ。
俺は鏡の前で二度ほど頷いた。
と、その時だった!
ガチャリ!
「あがった? どう? パンツ?」
えええええ?
「うああ! ノゾキ魔ぁ!」
一度ならず二度までも! 痴女か、こいつは!
俺は反射的に股をおさえて身を僅かにかがめた。
「サイズは大丈夫っぽいね」
「お、お前な……ノックくらい……しろ」
「そんなことより、パンツの穿き心地はいかが?」
「あぁ、まぁ、普通に穿けるレベルだぞ」
「綿百パーセントなのよ」
「そうっすか。肌に良いっすね」
「いいっしょ?」
「ていうか、恥ずかしいんだが……」
「え? 何が? もしかして、裸だから恥ずかしがってるの?」
「ああ、うん……」
「大丈夫大丈夫、わたし、パパので見慣れてるから」
「そうっすか」
「うーん……」利奈は言いながら、俺の体をじーっと見つめて、「パパに比べると、弱そう」とか言った。
「すみません……」
何となくあやまる。
「あ、ほらほら、ボーっとしてないで服着て。さっさとゴハン食べるよ」
「お、おう……」
言われた通り、ださい服を着る。
洗剤の匂いがした。
「明日香は? 起きたか?」
「ううん、ぐっすり」
「そうか。今日の献立は何だ? また中華か?」
「ううん。今日は、わたしが作ってみた」
「……利奈っちは、料理できるんだっけ?」
「まぁ、食べられるものは作れたよ」
「そうか」
まぁ、期待しないでおこう……。