アルファの章_5-3
食堂に行って二人で朝ごはんを食べて、部屋に戻って来た。
「美味しかったか?」
「不思議な味だった」
「そうか」
「アイスクリーム♪ たべたい」
「またアイスクリームか」
もうこうなると、アメリカ人のソウルフードのように思えてくるぞ。
いや、何せ記憶が無いって話で、アルファがアメリカ人と決まったわけがないが。
「どうしたもんかな」
「おにーたん。悩み事?」
「まぁな」
アルファのことでな。
「相談に乗るよ?」
「そうか、じゃあ、訊いて良いか?」
「何?」
「お前の記憶は、どうすれば戻る」
「さぁ」
首を傾げた。
「さぁって、なぁ……」
「あ、でも、時々、何か、思い出せそうになる」
「お、そうか。どんな時だ、それは」
「えっとね、ロケット見たとき。頭の中が、ぐちゃってなったよ」
「ロケット……ロケットか……」
なるほど、それが記憶を取り戻す鍵になる、か。
というか、その前に、どうして記憶を失ったのだろうか。
いや、まぁ、それは記憶を取り戻した時にわかるか。
「あと、アイスクリーム」
「それは、お前が食いたいだけだろう」
「アイス食べるとね、口の中が、冷たくて甘くなるの」
「当り前だ」
あんまり甘やかし過ぎても、教育上よくないだろう。
つまり、何が言いたいかといえば、安易にアイスを与え過ぎても良いことないだろ。ということだ。
「アイスクリーム……」
俯き、悲しそうに呟いた。
銀色の髪束が二つ、しおれたように垂れ下がっている。
どうしよう、悲しませてしまった……。
何とかごきげんをとらねば!
「わ、わかった。アイスだな。みどりおねえちゃんのところへ行くか」
「うん!」
よかった。
笑顔を取り戻してくれたぞ!