表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
214/579

宮島利奈の章_4-1

 もう、四日目になったんだな。そう思いながら、俺は窓の外を眺めていた。


 相変わらず、風車が回って風の音がする。


 悪くない町だ。


 探検しに行くことになったので、多分、もっとこの町のことを知るようになるんじゃないかなと思う。


 それにしても、一昨日出会った、宮島利奈という女は、変なヤツである。


 突然哲学的なことを言い出したかと思ったら、信じられない軽率ぶりや過ぎるくらいのアホぶりを発揮してみたり。そんな安定感の無い感じが、クセになる気もする。


「たった四日って、気がしねえなぁ」


 もう、随分長くこの町に居るイメージがある。


 強烈に。


「さて、今日は……どうしようかな……」


 図書館に行くことは決定済みだ。


 だが、今日は学校が休みの日。


 利奈もまだ図書館にいないかもしれないし、そんなに急いで行くこともないだろう。


「散歩でも行くか」


 実はまだ、この町のことをそれほど知っているわけでもないしな。探検の前に探検する必要の無い場所も見ておくか。


 俺は、黒い無地の長袖シャツに袖を通した。





 というわけで、朝食の後に散歩に出た。


 空を見ると風に整形された雲たちがいくつも浮いていて、それも綺麗だ、とか思った。


 目的地を決めずにブラブラしていると、風の強い開けた場所に辿り着いた。


 湖だ。


 裂け目の手前にして、学校から続く下り坂の終点。


 円形と三角形の二つの浮島のある湖。


 で、そんな湖に何か用事があるわけではなかったのだが、何故か俺はこの場所に来なければならないような気がしていた。


 だがそこに誰か知り合いが居るわけでもなく、視界にあるのは知らないオッサンが一人で釣りをしているという光景だけだった。


 釣り、か。


「あの、何か釣れますか?」


 俺は釣りの人に話しかけた。この話しかけたのがいけなかった。


「……ん? ようニィちゃん。暇そうだな。こんな何も無え所に来るなんてな」


 俺の方に顔を向けてそう言った後、延々と一方的に話を続けられた。


 休日の書き入れ時にサボってるのにエリート店長を自称していて、俺をアブラハムとか呼んできて、しかも男のくせに愚痴ってきたり。折角の休みの日に、男の愚痴を聞かされ続ける苦痛を考えて欲しい。それはそれは、つらいものだ。可愛い女の子の愚痴ならまだしも。


 そんでもって町の脱出方法だのウチでバイトしないかだの何だのと言ってきた。


 言いたいこと言った後は、雨が降りそうだから、とか言って、ショッピングセンターのある南の方角へと歩き去って行った。 


 空を見上げると、確かに空を暗雲が覆い、今にも雨が降り出しそうだった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ