宮島利奈の章_3-1
「おはよう、利奈っち」
「おー。今日も元気にサボりなの?」
「まぁな」
宮島利奈のことが気になって、図書館に来てしまった。
朝起きて、朝食を摂った後、ここに来た。
それ以外の選択肢は出なかった。
入り口近くのテーブル席で本を読んでいた利奈は、俺が来て挨拶した後すぐに本を閉じてテーブルの上に無造作に置くと、座ったままの姿勢で、言う。
「お願いがあるんだけど」
「何だ。妙なことじゃなければ言う事を聞くぞ」
昨日、激突した上に、頭を何度かぶつけさせてしまったからな。その罪滅ぼしがしたいのだ。
「じゃあ、本棚たちを固定するの、手伝って」
利奈は、書架を固定するのに使うと思われるL字型の金属器具をちらつかせて言った。
「おう、まかせろ」
で、近付くと、
「はい、これ。昨日ショッピングセンターで買って来たやつ」
手渡してきた。L字型の部品だけ。
いやしかし、これだけ与えられてもどうしようもない気がするのだが。
「おい、これ、他の金具とか無かったか? ネジとか」
それが無いと、固定できないではないか。
「え、あれって……必要なものだったの?」
「ああ」
ていうか、不要なもの同梱しねぇだろ。
「庭に埋めて遊んじゃった」
「――いくつだお前は。ていうか、楽しいのか、その遊び」
「予想外に。こう……ネジの樹とか生えて来ないかなって」
「病んでるの?」
「多少……」
「まぁ、とりあえず、そのネジを取って来ないと、お話にならないぞ」
「わかった、行ってくる!」
走って出て行った。