表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
206/579

宮島利奈の章_2-1

※一日目は上井草まつりの章と一緒です。

二日目の朝から。

「ようし、サボろう」


 俺は呟いた。


 サボるのは得意だ。


 何故サボるのかといえば、学校に行く気がしないからだ。


 昨日あった出来事を振り返れば俺がサボる道を選択するのも頷けるというものである。


 昨日は、屋上で紅野明日香とか名乗る変な女子に頭上から踏み潰されるようにして蹴り倒されされた上、職員室に呼び出され、職員室前で上井草まつりとかいう女に撥ねられ、教室では自己紹介でスベり、クラスメイトたちに聞こえよがしに陰口を叩かれまくり、笠原商店で靴を受け取ったはいいものの、下らない冗談を言ってしまったがために、笠原みどりに叱られた。ちょっと「みどりちゃんをテイクアウトしたい」とか言ったからって、あんなに怒ることないのにな。冗談が通じない子って苦手だぜ。


 まあ、そんな感じで、とにかく散々すぎた。


 新しい学校に転入してきてまだ二日目ではあるが、新しい世界に馴染める気がしない。


 そして、男子寮でも皆に避けられ続けている感じがして、もう嫌だ。今朝の食事のときなんか、何もしてないのに立ち上がっただけで周囲が黙ったし。


 だから、サボる。サボタージュである。


 もう登校なんてしないのである。授業なんて、受けないのである。


 さて、そうと決まれば、どこでサボろうか。


 ……と思って、パッと思い浮かんだのは、図書館。


「ふむ、定番だな」


 図書館は静かだし、図鑑とかも置いてあるだろうからな。


 優秀な暇潰しスポットに違いない。


 事前に調べた情報では、そこそこ昔からある施設らしい。


 図書館の場所は、学校の北側。町全体で言うと、北西にある。


 さて、それではいざ、図書館へ――。





 緩やかな坂道を登って図書館に着いた。


 寮から北へ向かう細い道を進めばすぐに図書館があるので、学校方面に向かう必要が無い。


 立派な外装の図書館のエントランスは、自動ドアであった。


 場違いに古い言葉を使えば、ハイカラである、といったところか。モダンって言った方が良いか?


 どちらにしても、正しく伝わらない気がするが。


 とりあえず館内に入る。


 シンとしていて、職員の姿も無い。


 掃除は行き届いていてとても綺麗だったが、どうやら今の時間は、図書館として機能してはいないようだった。それはそれで好都合だぜ。


 何せ俺は今制服姿。学校に通報されたりしたら、ちょい叱られたりする可能性がある。


 さて、とりあえず読む本を探そうと歩き回ってみる。


 めぼしい本を捜して。


 マンガとかが、あると良いなと思ったのだが。


 しかし、無かった。


 マンガなんてものは残念ながら無かった。古典漫画すらないとは、ちょっと呆れてしまうぜ。


 そこで俺は、とりあえず、建築物の写真が大量に載っている本、普段手に取る本に比べると遥かにでかい本を持って、席に座る。


 蛍光灯の明かりの下、机の上に余裕で寝転がれるほどの、大きな机に、本を広げる。


「あー、こういう所行きてぇなー」


 世界遺産的な建物の写真を見つめながら、俺は呟いた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ