浜中紗夜子の章_5-3
紗夜子の部屋に戻ってきた。
戸を開けると……着替え中だった!
紗夜子の小さくて真っ白な背中が見えた!
「きゃぁあああ!」
甲高い声。
「うぁっ! ご、ごめんっ!」
ピシャン!
やべぇ……故意ではないが、ノゾキをしてしまった……油断したぜ……。
戸が開き、いつもの制服姿の紗夜子が出てきた。右腕のイタリア色のラインが入った素敵な制服だ。
「ごめん、たっちー。鍵かけとくべきだったね」
「いやいや、俺こそノックするのを忘れていた」
「まぁ良いや。どうぞ」
紗夜子は裸を見られたことを大して気にする様子もなく、俺を部屋に入れた。
「ごはんにする?」
何だその新妻みたいな台詞は!
「い、いや、お風呂にしようかな。俺もシャワー浴びてくるわ」
平静を装う。最近ドキドキイベント多すぎるぞ。
「そう。じゃあ、ごはん作っておくから」
「おう、すぐ帰って来るから」
何か言っててくすぐったくなった。これではまるで、新婚さんではないか!
俺は、ソファから着替えを取り、
「行ってきます」
理科室を出てシャワー室へと向かった。
戻ってきた。
シャワーは温度調節が難しかったが、さっぱりして戻ってきたぞ。
で、また着替え中だったりしたら悪いので、コンコンと引き戸をノックする。
「たっちー?」
戸の向こうから、紗夜子の声。
「おう、開けるぞ」
「どうぞー」
開けた。するとテーブルには、既に朝食があった。
「こりゃ何だ?」
「ミートソースのラビオリ」
「ほうほう。見たこと無い食い物だな」
「ほら、座って。いただきますしよ」
「おう」
俺は紗夜子の向かいの席に座った。いつもの席。いつの間にか、指定席になってる椅子に。
「いただきます」
「うん、いただきます」
そして、フォークで四角いパスタを刺して食べた。
「うまぁああああああああ!」
叫んだ。
昨日変な弁当を食わされた分、これは衝撃の美味さ!
「ほぁあああああ!」
叫んでいた。
「たっちー、落ち着いて食べなよ」
「紗夜子は落ち着き過ぎだ! こんな美味いものを食ったらもっと感動するべきだ!」
「ま、うれしいけど」
全然嬉しくなさそうに、紗夜子は言った。
で、あとは、食べたり寝転がったり遊んだりして、俺はパソコンに向かうなどして、今日という日はダラダラと終わった。
紗夜子は、いつも通り、昼食を食べたら眠ってしまった。