表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
142/579

浜中紗夜子の章_5-1

 目覚めると、紗夜子が寝ていたベッドが目に入った。


 そこに紗夜子の姿は無かった。


「あ、起こしちゃった?」


 声のした方に顔を向けると、紗夜子は制服姿で廊下へ続く戸の前に立っていた。


「おう、おはよう」


「おはよ。わたし、シャワー浴びて来るね」


「どこにあるんだ。シャワーなんて」


「一階の片隅に」


「そうか、行ってらっしゃい」


 後で俺も行こうかな。と思った。


 ガラリ、ピシャンと紗夜子が出て行く音がした。


「ふぁ……あ」


 それを確認して、俺が天井に手を伸ばしつつ欠伸した時、


 コンコン。


 ノックの音がした。


 紗夜子だろうか。


「紗夜子ー忘れ物かー?」


 言いながらガラッと戸を開けると、そこに居たのは紗夜子じゃなかった。思えば、ここはあいつの家なんだから、紗夜子だったらノックなんかしないで普通に開けるよな。


「…………」


 無言で、俺をにらみつける、女。どっかで見たことあるような。長身で、目つき鋭くて、胸小さくて、長袖制服の両腕に紺色の三本ラインが入ってるような。


「あ、え、えっと、誰だっけ?」


「殺すぞっ!」


 いきなり何てこと言うんだ、こいつ。


「ええと……」


 腕組みをしながら、威圧的に俺をにらみつける。


 その視線を浴びているうちに、俺は彼女のことを、思い出した。


 こいつは確か、初日に俺を職員室前で撥ね飛ばした女だ。上井草まつりとかいう名前だったか。風紀委員で要注意人物の。


「な、何か、用っすか。紗夜子なら、今いないですけど」


「浜中紗夜子じゃなくて、キミに用があるんだ。ちょっと顔かしな」


 言って、クイッとあごを動かした。


 やべぇ、シメられる。


「ついてこい」


「はい……」


 俺は言って、まつりの引き締まった背中を見つつ怯えながらも、ついていった。


 逃げたら殺される、と俺の本能も言っていた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ