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笠原みどりの章_Ending...

 だけど次の日、俺は住んでいた街に帰ることになった。


 強制的に。


 学校から連れ出される形で。


 俺以外にも、多くの人間がその時一緒にこの町を出た。


 船に乗せられた。船っていうよりも、大きな戦艦って言った方がいいか。


 元の町に、帰れることになったらしい。


 なんでも、更生が、認められたんだそうだ。


 確かに遅刻やサボりは数えるほどしかしなかった。


 真面目に過ごしていたと言われれば、確かにそう。


 でも、なんだか、なんだか納得がいかなかった。


「手紙! 書くから!」


 みどりはそう言った。


 艦に乗ってしまった俺に向かって両手をメガホンがわりにして必死に叫んでいた。


 俺も、「またな!」とか「また来るから!」とか叫んだ。


 本当は出て行きたくなんてなかった。少なくとも、まだ……。


 みどりと、もっと一緒に居たかった。連れて帰りたった。


 みどりからの手紙は届かなかったし、俺は二度と町に行けなくなった。


 思えば、みどりに住所教えていなかった。


 教えとくんだったと後悔した。


 だって、彼女が無事なのかどうかすら、わからなくなったから。


 地図にはその町の名前があるけれど、もう、ないから。


 もう、そこに町は、ないから。




【つづく】




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