笠原みどりの章_7-1
この街に来てから一週間が過ぎた。
みどりと仲良くなった。でも、昨日泣かれた。
みどりのことを好きになった。
みどりと一緒に居たい。
みどりが、俺を引っ叩いた。
みどりが泣いた。
みどりが………………。
みどりが…………。
みどりが……。
みどりが。
頭の中、みどり色。
なのに、今、どうするべきなのか解らない。
何か行動するべきなのか、そうでないのかすら。
どうするか。
どうするか。
本当にもう、どうしたらいいのか。
俺は、全く美味しく感じなかった朝食の後すぐに、笠原商店に向かった。
風が吹いていた。海風の音が、右耳を支配している。視界には、半分ほど開いたシャッター。今日は授業があるが、登校している生徒はまだ少ない。
先日、みどりの部屋の前まで行った時の感じからすると、みどりの部屋は看板の上にある窓。そこを見上げた。部屋に居るならば、呼べば顔を出すと思った。俺は、一つ深呼吸。後、大きく大きく息を吸った。そして叫ぶ。
「みどりぃー!」
………………反応が無い。
「みどりさーん!」
…………無視だろうか。
時間帯としては、家に居るはずだ。
まだ登校には少し早いとはいえ、普段から考えれば家に居るはずだ。
そうだな、着替え中かもしれん。
二分くらい待ってやろう。