笠原みどりの章_6-2
通学路。
「なんか、すまんな」
俺は謝った。
「何が?」
「いやぁ……お父様を怒らせてしまったようで」
「でも、不可抗力だったんだから、仕方ないでしょ」
「それはまぁ……そうだが」
「あたしは、達矢のこと信じてるし」
重い。
今までの人生で、他人から信用されるほどの行動をして来たわけじゃないからな。信用されるくらいの人間は、『かざぐるま行き』になんてならないものなんだよ。
俺は軽薄で無軌道で、プチ不良。
だがしかし、みどりの信用には応えたいし更生したいという気持ちも大いにある。それは、やっぱり、
「好きだからな」
思わずボソリと呟くほどに。
「え……」
「ほら、お前と会話するのが楽しいって話」
「え、そ、そんな。あたしと話したって、全然っ、楽しくないっていうか……」
「そんなことはないぞ。お前のツッコミスキルはなかなかのものだ。さっきの笠原父との会話にも片鱗を垣間見たぞ」
大人しそうに見えたが、そうでもないようだ。
良いツッコミをお持ちだ。
「え、そうかな……」
「ああ、そうさ」
そして俺は、女の子にツッコミを入れてもらいたがる男なのさ。
「……そっか、うれしいな」
「あ、UFO!」
俺は上空を指差して言った。
そしてみどりのツッコミを待ったのだが、
「え? どこどこ?」
未確認飛行物体を探し、上空をキョロキョロ見渡しているみどりがいた。
「…………」
俺の目は節穴かもしれない……。