表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

かいこうと、さいかいと。


彼女との邂逅から数分。

若干混乱した俺たちは、とりあえず落ち着くために、

そこらにあった椅子に座り向かい合っていた。


「えーっと……、要するに、アンタも俺も同じ夢を見てたってことで良いのか?」


「……えぇ。」


「珍しいこともあるなぁ……。あ、俺は一年B組の久遠真司。名前を聞かせてもらっても?」


ちなみに蓮司は同じクラス、柊はC組である。


「……八神やがみ かなで。二年B組。」


「っと、先輩でしたか。失礼しました。」


八神奏と名乗った彼女は基本的に無表情だった。

ニコリともしない。それに……どこか表情に仮面を被ったような感じがする。


「いい。構わない。」


「えっと……敬語を使わなくてもってこと?」


聞くと八神先輩は無言で頷く。


「じゃあ……敬語抜きで話させてもらうな?」


また頷く八神先輩。

どうも調子狂うな……。

日頃から蓮司みたいなのばっか相手にしてるからだろうか。






それから俺たちは十分ほど話をして別れた。

といっても彼女の方から話すことはなく、

俺が質問して彼女が答えるだけだったのだが。

それでも別れ際には手を振ってくれたし、嫌われてはいない……と思う。


しかし少々‐‐疑問が残った。

彼女にピアノの質問をしたときだけ、表情に陰りが見えたのだ。

俺の気のせいかもしれないが‐‐

それでも俺は、彼女が見せたどこか悲しそうな表情が頭から離れなかった。








次の日。

俺はいつも通り登校し、いつも通り蓮司に絡まれていた。


「真司ー!!なんで昨日帰っちまったんだよっ!!

おかげで俺は一人でとぼとぼ帰る羽目になったじゃねぇか……」


「いや、お前がいきなり走り去ったからだろうが……。

つか朝っぱらからギャーギャー騒ぐな、疲れる」


「あれは追いかけてくるかなーと思ったんだよ!

そのくせ曲がり角のとこで一時間ぐらい待っても、ちっとも迎えに来ねぇし!!」


「追いかけてこないのは五分で気付け、ドアホ」


蓮司の戯言に嫌気がさして、俺はさっさと睡眠に入った。

蓮司が引き続きギャーギャー騒いでるのを、蹴りで沈めてから‐‐












「……きろ、起きろって!早く起きろよ、真司!!」


「……んぁ?」


蓮司に起こされて目が覚める。


「昼まで寝る馬鹿が居るかっ、ったく……担任のヤクザすんげぇキレてたぞ……

そのくせお前は何やっても起きねぇし……」


「あぁ、もう昼休みか……」


「はぁ……そういえばお前はそんな奴だったな……。

もういいや、柊に声かけて食堂行こうぜ。」


「あいよー……」


寝惚け眼のまま蓮司とC組に行く。

柊は血走った目でゲームをしていたが俺らの姿を認めると、

ゲームを中断してこちらへ歩いてきた。


「おまたせ、それじゃあ行こうか……って、真司随分眠そうだね」


「この馬鹿、朝のHR前から今まで寝てやがったんだよ……」


「あはは……そりゃまた、真司らしいね。

まぁ、起きたんならそれで良いじゃない、さっさと食堂に行こうよ。」


こいつらの言う俺らしいってのは何なんだ……。

まぁ何はともあれ、いつもの面子が揃った俺たちは食堂へ向かった。








「あー……」


「うげー……」


「うわぁ……」


上から俺、蓮司、柊だ。

食堂の中にはそれこそゴミのように人が居た。

座るところも満足に見つけられるかどうかすら怪しい。


「大体予想はしてたけど……予想以上に人が多いね」


「面倒だが……、とりあえず席探すか。相席でも良いから探そう」


俺がそう言うと、二人共承諾して散り散りになった。



さて、どこを探すか……。

辺りを見回すと、人、人、人……。

隙間なんぞ全くない。


適当に辺りを見回していると、携帯に着信が入った。柊だ。


『もしもし、真司?相席でオーケーな人見つかったよ。こっちに来てね。』


……こっちってどこだよ。

とりあえず闇雲に歩き回ると、

苦笑しながらこちらに手を振っている柊を見つけた。

横にはなんか今にも面倒なことをしでかしそうな蓮司が居る。


「ヒャ、ヒャッ、ひゃっほおぉぉぉおおぉぉ「やかましいわボケナス」げぼらっ!!!」


なんか急に叫び出したので、

とりあえず後ろからドロップキックをかましておく。


「真司、良くやってくれたね。相席の人たち見た瞬間、

蓮司が急に様子が変わってさ……」


相席の人たち?


席に座ってる人を見やると、そこには一様に驚いた顔をした、


ショートカットの茶髪の気の強そうな女、

ツインテールの黒髪の小学生と言っても通じそうな少女、

そして‐‐


長い金髪を下ろした、絶世の美女、八神奏が居たのだった‐‐

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ