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面接のワカメ
就活初日。
高千穂大学商学部、蒼は紫ジャージをスーツに着替え、鏡の前でワカメを貼る。
「楽にお金稼ぐ方」のゼミ卒で、内定目指す。
面接会場。
スーツ姿の就活生に混じり、蒼は浮いていた。
第一印象は「ハイブランドのダサい奴」。
人事の女性が笑顔で聞く。
「自己PRをお願いします。」
蒼は深呼吸。
「ぼくは、リスクを恐れず実践します。たとえばゲーセンRMTで…」
止まる。
ゼミの発表癖が出た。
人事の目が点になる。
「RMT…ですか?」
「いえ、あ、ビットコインみたいな投資です!23億作った父の血を…」
墓穴。
汗が流れ、ワカメがずれる。
慌てて押さえる指が、ささくれだらけで目立つ。
「その頭の緑は?」
「三陸産の…栄養剤です。」
ぺろん。
ワカメが面接机に落ちる。
人事の笑顔が凍る。
「す、すみません!」
蒼は拾おうと屈む。
机の下に転がり、踏みそうになる。
ゼミ教授の言葉が脳裏に。
「君の失敗は教材だ。」
面接終了。
お礼を言って退室。
廊下で銀行アプリ確認。残高見て、募金衝動。
「いい人になろ…」
送信。
電車賃ゼロ。
駅で這いつくばる。
「内定失って、ワカメ得たってことか。」
就活は、まだ始まったばかりだ。




