ジュビロードの誘惑
スマホの通知。
茉奈から。「今度、ジュビロード行こ」。
蒼は即返信した。地元磐田の象徴、商店街ジュビロード。自虐的に愛している場所だ。
週末、新幹線で磐田へ。
実家で家族に挨拶を済ませ、夕方茉奈と待ち合わせ。
紫ジャージ姿で、頭に三陸産ワカメ。
「遅いよ、蒼。」
茉奈は優等生らしい服装。下ネタ大好きの幼馴染だ。
中学の修学旅行で、のぞきに誘った張本人。あれが境界線を決めた。
「すまん、バイトで肉まん事件があって。」
「また?ダメ野郎すぎ。」
二人はジュビロードへ。
シャッター街の寂れた商店街。行政的な意味で嫌いだが、妙に落ち着く。
ゲーセンに入り、コインを積む。RMTの秘密を共有できる数少ない相手だ。
「23億の話、聞いたよ。父さんから。」
茉奈がぽつり。
蒼はコインを落としそうになる。
「家族みんな知ってるのか。」
「うん。でも美代ちゃんだけ知らないんだってね。連れ子だって。」
蒼は頷く。
最近知った事実。家族の隠し事なしルールに反する、唯一の例外。
ゲーセンを出て、路地裏。
茉奈がニヤリ。
「久しぶりに、あれやろっか。」
のぞき。週1ルールの相手は、いつも茉奈だ。
「…今日で週2になるぞ。」
「いいじゃん。23億のストレス発散。」
蒼の理性が揺らぐ。
ルール破りは、いつもこうして始まる。
結局、二人は路地に消えた。
翌朝、蒼は実家で目覚める。
頭痛と後悔。
ワカメがずれ、M字がくっきり。
ジュビロードを眺めながら、思う。
行政は嫌い。でもこの街が、ぼくを許してくれる気がする。
新幹線代を、帰りにセブンで溶かしたのは、また別の話。




