夕日を見ながら
僕が朝起きると、枕もとに置いていたスマホが無くなってた。
「お母さん。僕のスマホ知らない?」
「何よ?スマホって?お菓子の名前?」
朝ごはんは、トーストと目玉焼き。四角い大きな箱の丸いガラスにテレビが流れてる。
「お父さん?テレビどうしたの?」
「寝ぼけてるのか? 早くご飯を食べて、学校に行きなさい」
テレビ?でニュースが流れている。
『昭和63年1月11日、月曜日のお天気は…』
え?昭和?令和じゃないの?
※
「おはよー! マサル!」
バシンっ、とランドセルを叩かれた。
ユウタくんだ。
「ユウタくん!おかしいんだよ。今は令和だよね?」
「今は昭和だろ?そんな事より、早く学校いこうぜ。池田くんに、ジャンプ読ませてもらおうよ。ドラゴンボールの続きが気になるよ!」
休み時間、僕らは顔をくっつけながらジャンプを読んだ。僕はジョジョの奇妙な冒険が面白いと思った。皆は絵が気持ち悪いといったけど。
※
昼休みには、色鬼をして遊んだ。ルールなんて知らなかったけど、すぐにわかった。
放課後には、駄菓子屋で買食いをして缶蹴りをして遊んだ。1日が、あっと言う間だ。
1年生の弟の手を引いて、家に帰る。
夕日の太陽が大きい。
「兄ちゃん。これなんだろ?」
弟が拾ったのは、僕のスマホだった。薄っぺらなガラスとプラスチックの板。暗いガラスに映る僕は、とても幸せそうな顔をしている。
「ばっちいから捨てちゃいな。今日の晩ごはんはカレーだぞ。早く家に帰ろう」
「うん。兄ちゃん」




