再会の日は
ある雪の日の駅で、私は待っている。同級生だった人を待っている。初恋の人で、恋人だった人を待っている。手紙は返ってきていないが、それでもいい。会えればいい。
待合室の外に出てみると、雪はもうかなり固まっていて、私は楽しくなってそれを踏む。気づいた時には固まっていた雪は細かい雪の破片になっていた。後悔がいきなり押し寄せてくる。
立ち尽くした私はふと、自分があの人を忘れられない事を思い出す。
高校生に上がる時、家族で都会へ引っ越して、私を田舎へ置いていった、あの人。
私は、大人になった今でもあの人を忘れることができていない。これからもきっとできない。
私は、自分がいつの間にか他責思考になってあの人に苛立っていることに気付き、ひどくいやな気持ちになった。
待合室に戻り、ベンチに身を任せると、いつの間にかかなりの時間が経っていた。
踏切の音でふと我に帰る。
2両編成の列車が、はるか遠くからやって来る。あの人がいる都会からやってきた、寂しい2両の列車。あの人が乗っているかもしれない、2両の列車。
列車は、今にも壊れそうな音を立ててホームに入ってきた。列車が止まって、ドアが開くが、あの人は降りてこない。運転手のアナウンスが入り、大雪のため、安全が確認できるまで停車する旨を伝える。
しばらくして、その列車は、対向列車に道を開けるために、少し動いてすぐ止まった。
対向列車が、元気なモーターを唸らせ、ホームに入ってきた。
ドアが開くと、暖かい風が、マフラーの隙間から露出した私の肌に当たる。車内はがらがらだった。運転再開はもう少し後だとアナウンスが伝える。
暖かい車内で、私は、あの人が来なかった理由を想像する。
都会には綺麗な女性がたくさんいるらしい。あの人も、それに惹かれてしまったのだろう。そして、おそらく私のことは忘れていたのだろう。ずっとあの人のことを忘れられず、考えていた自分が馬鹿にされたようで、腹が立つ。しかし、そんなことを思ったってもうどうしようもないんだ。彼は、もう私の世界にはいないんだ。
列車を降り、改札を通って、家路を歩む。私は、うきうきしていた行きの自分を嘲笑うような独り言を呟きながら、商店街を抜けて住宅街へと進む。ここら辺も田舎だけど、それほどじゃないなと思う。マクドナルドもあるし、カラオケもあるし、100円ショップだってある。充実度で言ったら、燕くらいはありそうじゃないか。都会がなんだ。こっちだって結構いいぞ。
「馬鹿」
そう呟いた私はもう、彼を忘れられる。多分きっと。絶対。
読んでいただきありがとうございます。終わりが変な終わり方になってしまいましたが、温かい目で見てください




