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「それで私…全然、吹っ切れなくて…だから違う世界の郁人でもいいから…逢いに来たんです…」
彼女の世界では、違う世界に行くことが可能なようだ。
(でも…)
郁人は最初、美音が生き返ったのかと喜んだ。
しかし、たとえブルマを穿いていないとしても、彼女はやはり郁人が愛した美音とは何かが違う。
ブルマ美音も同じように感じているのではないか。
彼女が郁人の隣に来た。
2人は無言で、夕日を見つめた。
郁人の愛した美音ではないとしても。
別の世界の人でも、自分と同じ悲しみを抱えた人が居る。
それだけで、心が温まった。
優しい時間が流れた。
「美音…美音さん。ありがとう」
郁人は微笑み、右手を差し出した。
「こちらこそ。郁人…郁人さん。ありがとう」
彼女が郁人の手を握る。
2人はニッコリと微笑み合った。
「「美音」」
突然、聞こえた声に郁人は驚く。
振り向けば、40代前半の男女が立っていた。
こちらの世界の美音の両親にそっくりだ。
「お父さん! お母さん!」
美音が2人に駆け寄る。
3人が抱き合った。
「この世界の郁人くん。お騒がせしたね」
父親が頭を下げた。
「ごめんなさいね」
母親も謝る。
「いいえ。彼女に逢えて…僕も元気が出てきました」
「郁人くん…」
郁人とブルマ美音は頷き合った。
「さあ、帰ろう」
父親の促しに、4人は別れの挨拶を交わした。
別世界の3人が半透明になっていく。
郁人は手を振り、ブルマ美音も振り返す。
3人の姿が、完全に消えた。
郁人は今1度、彼らの姿を鮮明に思い返した。
そして、叫んだ。
「全員が、常にブルマ穿いてる世界なの!?」
おわり
最後まで読んでいただき、ありがとうございます(*^^*)
大感謝でございます\(^o^)/




