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廻る魂と巡る世界の神的叙事詩 近未来編 Traveling Avatara(旅するかけらたち)  作者: 創造ヲ記スモノ


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EP11 The Demise of Script(記述の終焉)

「はぁっはぁっ……! く、くそぉっ! ア、アイツ……アイツ自身じゃなかったのかアレ……!」


「……怒り、妬み、嫉み、恐れ、悲しみ……。

 これらすなわち、『禍々しき想念(ウェンイレンカ)』にとらわれし状態では……残念ながら誰でありましてもその目が曇り、正しきを捉え難きものでございます……」


 ヒメは静かに責めるでもなく焔へ伝えた。


「……肝に銘じておくよ……。

 しかし……お上人さんが上伽耶さんだったとは……!

 今日は驚きがあり過ぎだぜ……!

 そしてこの……託されし権能チカラ……」


「平時は消耗を避ける為、あのように振る舞われていたのでしょう。

 そして焔さまたち住まうモシリでは、上伽耶殿の本来の身体ケゥエはあまりに目立ちすぎます故……」


「そっか、まぁそうだよな……。

 しかし、修行半ばで飛び出してきてしまって……。

 授かった権能チカラ……出せるのか?」


リクン・カント(天地の狭間)ならばそう難しき事ではございませぬ……。

 まずは……己がものにせんと致して参りましょう……!」


「……だな! で、リクン・カント(天地の狭間)って……ヒメさん以外にも……なんて言うか、ナカマっているのか?」


「はい。まずは……ルース殿の処へ参りましょう……!」


 一行は、ルースと呼ばれる人物の家を訪ねた。


「……ルース殿……ミケヌイリヒメでございます……!」


「おぉ、どうぞ入ってくれ!」


 扉を開けて中へ入ると……分厚い眼鏡をかけ白衣を羽織った男性がいた。


「……キミが焔くんか、私はルース、よろしくな! っと……そちらの霊性乃身体ヌプルケゥエの子が寛世ひろせちゃんかね? そちらもよろしく!」


「……観えるの……ですか?」


「……ああ。キミ等とは違い……このメガネのおかげだがね。それよりも……これを観てくれ……向こうは大変な騒ぎだ……!」


 ルースはそう言いながら画面を映した。

 そこには……警察や自衛隊が総動員して集結しているさまが映っていた。


「ナ、ナンだコレ? 日本のイマか?」


「如何にも。今これらを相手にしているのが……」


 映像が振られ、映し出されたのは……寛世とジェスターであった。


「はいは~いおとなしゅうモシリ渡しはったらなぁんも痛いコトあらへんで~♪」


「ふふふ♪ ワタシたちとぉってもツヨいから戦うと……み~んな輪を廻っちゃうわよ~♪」


「な、なんだって? アイツらこれだけの武力相手にたった二人で……!?」


「……残念ながら……あのような武具(ハィヨクペ)など、あのふたりには……何一つ有効な手立てとはなりませぬでしょう……!」


(……え~? ちょっと待って! アレってひろせちゃんのカラダでしょ? なんでなんでそぉんなツヨいの~?)


「どうやら……覚醒している様だな……。

 完全ではないが……逢魔色(イウェンテㇷ゚)身体(=ケゥエ)だ、あれは……!」


「イウェン……テㇷ゚……?」


「ああ、君らの言葉で言うならば……霊氣併せ持つ真なる魔……と言った処か。

 その覚醒体……逢魔色身体。

 それはまさに、神威之色身体カムイ・ケゥエと対を為す存在だ」


「なんでこんな僅かな間に?

 そうか、こっちでの10分は……!」


「焔くん正解。もう君たちがこの地に足を踏み入れてから、君たちの言い方でなら……一時間は経っている。

 それでいてなお本土が維持出来ているのは……偏に、遺りし神威たちのおかげだろう」


「……あのヒメさんが言っていた……!」


「はい……饒速日さま……そして、倉稲魂之巫女尊さまのおかげでございます……」


「この気配……。

 どうやら……その他の存在……自然の盟主等……その筆頭たる四氣王達も封じられたようだ……」


「なんと……それではまさにニギハヤヒさまたちに彼のモシリの命運を握る訳でございますね……!」


「先程、八俣さんから最後の連絡が……。

 饒速日達の奮闘する姿、そして最後の言の葉が。

 どうやら強制的に『自由意思』を封じられたようだ。

 これが……その模様……」


ルースがそう言うと、別の画面に何かが浮かび上がる……。


 先程の直後、崩壊する世界の中で叫ぶ存在。

 どことなく焔と似ている神威、そして立派な耳を携えた、九尾の女神……。


「……くっ! コレはさすがのアタシ(ボク)でも……!」


(わたくし)もすべてを注ぎ込みます……! 今暫し……我が奇魂戻りし刻まで……!」


「……もうオレ様は加勢出来ない……! オマエ達だけで行ける処まで頼んだぞ!」


「八俣さま……その想念イレンカ……承りました……!」


八俣と呼ばれし存在の、その言の葉を最後に……中国、ローマ、メキシコのテオティワカンと次々に封じられていく獣神達……。


「これは……一体何者……?」


「四氣王……。この地球に流転する氣力を御している神威。そう認識してくれればいい」


「そいつらが封じられたらもしかして……!」


「ああ。正式に契約してない存在は、権能チカラ揮う事すら叶わないだろう。

 それか饒速日の様に、自神にすべて内包している神威でないと動く事叶わないだろう」


 話している内に、画面の中の四氣王達は完全に封じされてしまった……。


「まさか、これって饒速日さん? 彼等がやられたら……日本は終わり……そう言う事か?」


「日本? その刻は最早……すべてが終わるのさ……」


「……しかし……ワラワ達は未だ五段修法すら身に着けてはおらず……神器も集めきれず……!」


「オイ観てみろ! 何やら政府のヤツラとんでもない事しでかす気だぞ……!」


「化け物共め……人間を甘く見るなよ。――全原子炉過剰暴走(オーバードライヴ)! 『核融合超(ニュークリア)電磁砲(=レールガン)』!!」


 それは……人類の掌に負えぬ狂気の力……。


「わぁ! ガンバったから……ごほ~びに還してあ・げ・る・ワ・♡

 ――大海アトゥイ大地モシリで……出でよ鏡月!!」


 瞬時に展開される五芒の煌き。

 昏き蒼と朽葉の褐色が掌を取り合い、万物を映し返す鏡面が出現する!


「なっ!? ば、ば、か、な……!!」


 瞬間、画面が閃光に埋め尽くされ、白色の光に呑み込まれてゆく……。

 その光は……世界すべて全方位に跳ね返されてゆき……各地で起こる誘爆によって……。


「な!? まさかこの天地の狭間リクン・カントでさえ!」


 最後に遺ったのは……ヒメの小さな儚く愛しき掌の温もり……。

 そして光に包まれた後……。

 彼が見舞われたのは……激しい爆風ではなく……峻烈にて静謐なる記述の消去……。

 全てが原初の無、虚空へと翻り還ってゆく……。

 


















「大丈夫……もう大丈夫です……。ここは地上……平和です!」


――Traveling Avatara 『B・E』 Final curtain――

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