EP09 Tipsy&Flirts(微酔と戯れ睦み合い)
「…思えばメットなしでも虫なんかは全然気にならないな…!」
「先のモシリよりエマカㇲにある故少ないのでしょう。あ、彼方が…!」
観ると巨大な鮭を象った看板が。
「コッチは遠くからでもわかる様な巨大なカンバン多いよな♪」
「とぉ~ってもひろいもんね~♪ だからそ~したほ~がみやすいよね~♪」
「それじゃ…少し物色してから温泉へ向かうかな…!」
そう言いながら焔達は天之鳥船を停車して店内へと向かっていった。
「へぇ~たしかにコイツはいいモノ売ってるな♪」
「紅鮭ソフトスモーク…! そしてこちらはそのままルイペでございますね! 共にカムイ=チェプを遣いしモノ…♪ ワ、ワラワ…紅鮭ソフトスモーク…こ、これを所望いたします…!」
「お! おじょ~ちゃんお目が高いね!それはウチのオススメだよ♪ はいこれ!試食もどうぞ♪」
ヒメは一口大に切ってある試食を頬張ってみた。
「…♡ お、おいしゅうございます…♪ しっかりとした塩味の奥から広がる…長き刻をかけカリンパニ使いて燻す事により臭みの元となる不要な油が落とされし鮭の旨味と馨しさ…とこれは少々辛くもありまするがとても香ばしく美味なモノを粉にして塗してありますわ…♪」
「そりゃ~そうだべさ♪ なんたって海でとれたてをそのまんま運んで造っているからね♪ 胡椒の隠し味もお口にあったみたいでたいしてよかったっしょ♪」
「じゃ~オレはこっちのホッケの一夜干しを…台所借りて昼にでも焼くかな♪」
「ひろせちゃんこのホタテのおさしみ~♡ 試食したらこれまたびっくりの美味しさよ♡」
冷涼な気候による清浄な水と空気、低水温の海と、鮮度が重要な食材を良好な状態で得られる最適な環境がここ北海道には揃っている。
「さぁって…お次は…漁師さんの作業場や休憩所であった番屋を模した温泉だな♪」
「地び~るもあるのよね~♪」
「うん? ひろ、飲めたっけか?」
「おいしいモノならね♪」
「…ワラワも一つ頂きとうございます…」
大切そうにサーモンスティックを抱えながらヒメもそう続けた。
「ソッチはふたりで楽しむと良いぜ♪ オレはソフトがあれば満足だし、帰りはオレが運転するから♪」
「か、かたじけのうございます…ですが…とてもうれしゅうございます…♪」
「ま~まずは汗流そ~ぜ♪ なんでも少し珍しい泉質の様だぜ?」
「ほぇ~化石海水…って言うのね♪」
「何々…ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物強塩泉…こりゃ芯まであったまるな♪ んで、トーゼン熱の到達深度が深いから関節痛や冷え性にもいいワケだ♪」
「美ハダっても書いてあるよ♪ 出たころには二人でつるっつるになったキレ~なお肌を魅せてあげるね~♪」
寛世はそう言って冗談半分に肩を開けてみせた。
「あ~はいはいそれはとても楽しみですので早く入ってきなさい」
「もぉそんな言い方して~ホントはうれし~クセに♪ ヒメちゃんも湯上りはきっと色っぽいと思うよ~♪」
そう言われてヒメを見やると…心なしか頬が紅潮して観える。
「あぁ…ふたりって言ってたもんな…ヒメさんの湯上り姿は楽しみにしておくよ♪」
「は、わ、…か、かしこまりました…! きちんと準備して参ります…!」
意を決した表情でヒメは暖簾をくぐって中へ入っていった…。
「じゃぁひろせちゃんも♪ ほむら先に出たら上…? あっちでソフト食べて待っててね♪」
「ああ! その刻はゆっくり堪能しておくさ♪」
そう応え焔も男湯の暖簾をくぐった。
「わ~♪ お湯がちゃいろ~い♪ キレ~♪」
「本に不思議な色でございます…♪ その前に…寛世さまも…今夜はいつも以上にきちんとケゥエをトゥルサクにいたしましょう…!」
「あ~♪ おハダ魅せるから~? あは♪ アレはじょ~だんよ~ヒメちゃん♪」
「…ヤ、ヤィプニ…でございましたか…?」
「ま~さっきくらいは観てもらってお湯の効果確認はするけどね♪」
「…! やはりそれならばきちんと清めませぬと…! ヲノコにカㇺカ魅せるは契りの刻…! 大切な儀でございます故…確と準備いたしませぬと…!」
「え~と…おハダ魅せちゃったら…ヒメちゃんたちは契りしちゃうカンジなの?」
「いえ…お魅せ致すのはその刻のみかと…!」
「あれれ~?ナンかお話に聞いたかぎりだとケッコ~それ以外でも脱いでたよ~な…?」
「そ、それは…ラムハプル=トゥサレ=イノミを行うにはカㇺカ重ね合わさねばならぬ故…」
「そ~なのね~。そういえば…そのお話の…ミケヒコくん…ど~なったの?」
ヒメは過去のあらましを一通り寛世に伝えた。
「…彼の刻…皆の決死の活躍もありて…このモシリのウェンテは防ぐ事叶いましたが…伴う犠牲はあまりにも多く、大きく…。ミケヒコはこの後…カムイとして祖王スサノヲより続きしこのモシリに残り…ヒメタタライスケヨリヒメと名乗りしヒメと結ばれて王の系譜の血を遺していきました…」
「ええ! ヒメちゃんとケッコンしなかったの~?」
「…アノ…ドゥルアンキ=エウコホピより…我々の個々のチカラ大きく喪われてしまいし事により…血筋近しき者同士の契りがうまく行かぬ事増えてしまいまして…我がヒムカより離れしモシリ、イヅモの生き残りであるイスケヨリヒメが…嫁ぐ事と相成りました…」
「そっかぁ…でもでもイマじゃダメって言われている…近親婚も昔は問題なくできたんだね~!」
「…むしろ結ばれし運命のモノ達は…イリウタラやエウコポとしてタアン=ラマトゥに生まれ顕われしモノでした故…」
「でもなんでアブないってワカったの…?」
時折見せる鋭さで寛世はヒメに尋ねた。
「…それは…ワラワが…この身にて…」
「わ~ゴメン~! そ~だよね~その選択だよね~! ヒメちゃんイヤな事聞いちゃってゴメ~ン…!」
ヒメは軽く首を横に振って微笑みながら応えた。
「その様にお気遣いなさらぬとも…しかしながらそのイレンカ…有り難く存じます…寛世さまのおっしゃる通りでございます…! ワラワのケゥエに宿りしシホンは…タアン=ラマトゥに顕われる事叶いませんでした…。その刻に観じ得た様々な事より導けし理でございました…。」
そう言いながら軽く目を閉じ…その刻にヲモヒを馳せてヒメは語り始めた…。
「ラマトゥが…呼びこめませぬ…! このままでは…流れてしまうでしょう…! これは…近しきでは罷らぬ…その様に観じました…せっかくこの様に契り叶いしケゥエと為り得しも…今度は縁深き故に叶わぬとは…誠に申し訳ございませぬ…!」
「…あやまるな…! オマエ…いや…其方無くて今の余はない! そのイレンカ籠めし我等で叶わぬならば已む無しであろう…!」
「もったいのうイタク…! ミケヒコ…いえ…ホアカリさま…このケゥエ、そのイレンカに応えられぬとも…ワラワはいつまでも御身のチカラとなりて尽くしてまいります故…!」
「心強いぞ…! しかし…オレ…いや、余は最早…ホアカリではない…! 今後は…生きて…我らが祖王の血筋…余す事無く盤石に遺せしモノ…イワレビコと呼ぶが良い…!」
「仰せのままに…! イワレビコさま…この難超えし後、祖となるルーガルよ…如何がなさりまするか…?」
「…ヒメちゃん…話は聞いたよ…! ボクが…ミケヒコくん…ううん…イワレビコくんと…その…ええと…チ、契る…ょ…!」
「…! ワラワからも…ワラワの分まで…よろしくお願い申し上げます…!」
「…そ~だったんだね…! あ! もしかしてその…ミケ…イワレビコさんの生まれ変わりが…ほむら…?」
「焔さまは…イワレビコさまが目指し追いかけしお方の…ウサライエ=ラマトゥ…言わばカケラでございます…!」
「ええ! じゃぁ…今のお話の…ニギ…ハヤヒさまの…?」
ヒメは頬を紅らめて応えた。
「…左様でございます…♪ そして…ホアカリさまのカケラとも言える訳でございます…!」
「なぁるほどね~♪ しっかし昔のホントがイマのヒメちゃんのお話のと~りなら…ニギハヤヒさまは確かにアメノホアカリさまでもあるんだね…!」
「ええ…皆のチカラ織重ね合わせしカムイでございます故…」
「そ~いやそのお話の中のキクリちゃん? が可愛がっていた…ミヅチちゃんって言う弟くんは?」
「ミヅチは…ニギハヤヒさまお隠れになられた後の…シリクンネのモシリを治めて下さっております…あの…シリクンネのニスに浮かぶ…」
「え~! お月さまって…ミヅチちゃんだったの~?」
「…正しくはそのウサライエ=ラマトゥが…ミヅチでございます…」
「わ、別御魂ウサライエ=ラマトゥって…イッパイいたのね~! ほむらも…ひろせちゃんも…ミヅチちゃんも…」
「…今のこのモシリには…本神のまま存在しがたき故と思われます…ニギハヤヒさまと…ウカノ・ミタマ=カムイを除きて…」
「みんなのビッグダディなスサノヲさまやヒミコさまは~?」
「…二神共未だストゥ=モシリより出ずる事叶わず…」
「そぉっかぁ…よしっ! じゃぁイマココにいるひろせちゃん達がガンバっちゃいましょ~♪」
「…そう言って頂けるならば…真に有り難く存じます…! ぜひワラワと共に…!」
「はぁ~い♪ あしたもガンバろ~♪」
「はい…♪」
「ほむらふり向かせるのも…一緒にガンバろ~ね♪」
「は、はわ! …。…。…よ、よろしゅうございまして…? タアン=ラマトゥにて…すでに寛世さまと恋仲と観ましたが…」
「う~ん…なんでかなぁ~? ナンか…ヒメちゃんなら…ひろせちゃんよりももしかしてピッタリかな~って♪ ほむら…ひろせちゃんのコトって…スキだケド…ホゴシャ心理のほ~が強いと思うんだよね~?」
「左様でございましょうか…? しかしワラワは…齢重ねしと言えど…ケゥエは…髪などは多少変える事叶いしもこの状態故…焔さまを満たしきれるとはとてもイレンカ廻らせ難く…」
「あ、ソコはダイじょ~ぶよ♪ だぁってほら…ひろせちゃんとおんなしくらいじゃない♡ ほむらは…それがスキなのよ♡」
ヒメは湯船に浸りし自身のなだらかな双丘を手で確認しながら眺める…。
(…エカンナイ…あのお方も…ミチヒメの…すべてにウォラムコテのイレンカ抱いておりましたね…。今のワラワも…彼の刻のミチヒメと…スクㇷ゚具合は同程度でありましょうか…)
「…さっきのあのお方が大スキだったのがミチヒメちゃんでしょ? お話から…キット今のヒメちゃんくらいだったんじゃないかなぁ~? だから…マチガイなくゆ~ぼ~よ♪」
「は、はわわ…ありがとうございます…しかし…寛世さまは…」
「…いっしょに仲良くしちゃえば良いんじゃない? ひろせちゃんはヒメちゃんも一緒のほ~が楽し~よ♪」
「…本にそれでよろしゅうございますの…寛世さま…?」
「ふふ♪ じゃ~二人っきりになりたい刻は…じゅんばんこね♪」
「は、はわわ…! そ、そのような事決めしは…ま、まだ尚早かと存じます…。…。…。…よろしいのでございましょうか…?」
「え? だぁってヒメちゃんってひろせちゃんよりもずぅっとオネ~さまでしょ? ぜぇんぜぇんモンダイないよ♡」
そう言われた後…丁寧に磨き上げる様に洗った自身を再三確認し…少々のぼせ気味になり湯船を後にした。
「…ヒメちゃん大丈夫~?」
「ご…ご心配無用でございま…」
身支度を整え二人で歩き出てきた刻、そこまで言いかけてヒメはよろけて寛世にもたれかかってしまった。
「おい、ちょっとヒメさん…大丈夫かい?」
その様子を離れたテーブルから観ていた焔が駆け寄る。
「も、申し訳ございませぬ…斯様な処まで緋徒と同様でなくとも宜しいかと思いますが…」
「中身のヒメさんは間違いなくヒトだろ? その心があるからオレ等と同様のリアクションを起こすんじゃないのか…? どちらにせよまずハイコレ! ゆっくり飲んでくれ」
「…かたじけのうございます…」
「ひろもホラ! あんまりにも長湯だったから念の為買っておいたのさ♪」
「わ♪ さっすがほむらね~♪」
「オレがいるのに体調崩されるなんて治療家の名折れだからな…!」
そう言いながら焔は二人にスポーツドリンクを渡した。体内における水分とは食塩を含む電解水である。塩分濃度0.9%と血液も体液も決まっており、その状態を厳格に自動で調整して維持している。
(だからと言ってお塩摂ったらすぐに血圧上がるワケないんだよな~。減塩なんて…)
ウソである。もともとコンビニもス-パーもない時代の東北の人々は…冬場の食糧を塩漬けの保存食で賄っていた為に成人病患者が多かったのに対し、減塩を勧め塩分摂取量を適正にしたら如実に患者が減った事例を食品メーカーが都合良く拡大解釈して出来たのが減塩食品であるが、当時の東北の人々の塩分摂取量は…30~40g/日と言う摂取量だった為功を奏しただけで、現在の我々の生活様式で塩分摂取量に留意しなければならないのは透析患者位なモノである。
(…何年も前にすでに塩分摂取量が3~30g/日のヒトは成人病や高血圧との関連性するエビデンスは見当たらないって出ているもんな…しかも人種やクニ問わずの大規模調査で…)
「足りなかったらこれもな♪」
そう言って焔は目の前のテーブルに山盛りのフライドポテトを置いた。
「塩と水摂って安静にしていれば大丈夫ですよ♪」
「そういうモノでございましたか…。少々イタクが弾みすぎてしまいまして…」
「そ~そ~♪ ガールズトーク大もりあがり♪」
ガールズな年齢では…と言いたい処だが…この二人の観た目からは全く違和感を観じないので焔はそこには触れずに聞いていた…。
(…ひろもたいがいだが…このヒメさんが…ダントツ世界一の年長だなんて…ジョーシキではどうやっても対処できないコトだぜ…!)
そうヲモヒ抱きながらヒメを観ると…すでに紅潮は治まっていた。
「お! トンデモなく回復が迅いぜ! これはその身体の…チカラかな?」
「その様に存じます…すべての廻りがとても迅いのではと…」
(…代謝の活性化か…観た目と相まって未成年のそれの様だな…胸腺とかあるのかな…?)
焔が有無の疑問抱いた“胸腺”は、新陳代謝を活性化させる器官である。我々の場合、成人後緩やかに脂肪組織に置き換えられていく。その為学生卒業後…二十代の頃は良いが三十路にかかる頃から学生時代と同量の食事を摂取していると下がった代謝の分だけ太るのである。
(…基礎代謝高くってカラダ遣っていれば別だけどな…。でもそれも遣いすぎると…ジュミョー縮むんだよな…)
実は人生の内で…呼吸や細胞分裂、心臓の拍動可能な限界回数は決まっているからである。
(まぁだからムダに消費…いや浪費する事にはオレは賛同できない…が、それが好きなら別だよな…シュミとしてならな。ま~オレは趣味で運動しないけどな…健康維持の為だけなら…普段の治療行為でじゅ~ぶんコト足りいるからな…♪)
普段に比べ少々歩幅を広げ速度を少々上げて自然に手を振っての歩行を1~3分程行えば…実は大脳生理学的には体調や筋力、関節の可動範囲の維持が可能なのである。この様に“正しく”歩行を行うと全身運動になり、各関節、筋肉に存在する固有受容器と呼ばれるセンサーより大脳に向けて…“この関節はここまでの可動域が必要”“この筋肉はこのくらいの強度と柔軟性が必要”等の信号が届き、大脳から…“了解したのでその状態を維持せよ”…この様に命令を貰う為、体調や体力を負担なく維持可能となるのである。
人生と寿命から考慮すればアスリートも…“好き故に悪くなるのを覚悟の上で行う”モノであると言えよう。ちなみに武術や日本舞踊などの、“鍛えなくても強く重心と連動する”姿勢保持筋”を使用する身体操作で行う場合はこの限りではない。この場合…負担と消耗は最小限になり程良い有酸素運動の範囲に収まる為健康寿命を延ばすモノになるだろう。武術家だけではなく、スポーツの分野でも“超”の付く一流はこれを究極レベルで行えている選手も少なからず存在する。我々の世界で言えばイチローやタイガーウッズ、マイケルジョーダンあたりがわかりやすいだろう。共通するのは究極に近い“脱力”っぷりである。実は先の姿勢保持筋、自分の力感の意識と感覚のある部分の正反対に存在するのである。そして互いに拮抗している為、自身で力を入れている感覚のある部分を弛緩させるほど…重心と連動して疲労し難く鍛えなくとも強い筋肉が作動するのである。これが…“ホームランに手ごたえがない”理由である。最大効果を発揮する為には、最大限の脱力が出来ていなければならないという訳である…。
(オヤジや…あの上伽耶さんはその域だよな…。っと、そろそろ良さそうだな…)
「…さぁ…落ち着いたらおスキなメニュー堪能しようぜ♪」
「…斯様な刻に…緋徒の身に地のモノのイクは危のうございますか…?」
(…もしかしてケッコースキなのかお酒…?)
「イヤ、多分ヒメさんならもう平気だと思うぜ? スキなの頼むとイイさ♪」
「ひろせちゃんも~♪ あ、でもメンド~だからほむら買ってきて~♡」
寛世の言の葉を聞き程無く察して微笑みながら頷いて売店へ。
(…そりゃふたりとも飲んでイイ証明とるのタイヘンでメンドーだよな…)
「わぁ~♪ あ、ほむらはジュースなのね♪」
「そりゃオレまで飲んだら還りダレも運転できないじゃん…」
「…その様なイレンカが存在したのですね…! かたじけのうございます…」
「イイですよ♪ オレ元々甘いモノの方が好きなので♪」
そういう焔の眼前には…余市産のブドウを使用したジュースが置かれていた。
(…まぁ…ブドウは…ひぃばあちゃん山形だからな…サイコーの味知っているからな…)
そうヲモヒ抱きながらも飲んでみると…かなり健闘していて焔も満足の美味しさであった。
「…暑さは足りなくても潮風にはよく当たっているみたいだな♪ これは中々にウマい♪」
飲み干した後の本命…地物の牛乳の味には迷うことなく舌鼓を打った。
「やっぱ牛乳は北海道がサイコー! これはめちゃオイシイ♪」
飲みながら女子達を横目に観ると…すでに出来上がっている様である…。
「あっはは~♪ ヒメちゃんたら~またまたそんなワケないでしょ~♪」
「いいえ! これはシンノなのでございます!」
「…ナニが本当なんだい? ヒメさん?」
「良くぞ聞いて下さりました焔さま! 実は…」
「あ、ええ? 処女膜…それ自体は再生はしない…でも一度でなくなるものでもない。数回かけて行為を重ねるごとに…ってカンジかな? それよりも性交渉自体がしばらくないと膣口を中心に委縮が起きて、そっちが性交時の痛みの原因になる…この観点から行くと間隔開けず定期的に行っている方が次も無理なく行為しやすい…と言えるな…」
「えぇ~そ~なの~? じゃぁいっぱいたぁんとシておかないと縮んじゃうのね~?」
「まぁそう言う事になるかな? そこらは他の器官や臓器の廃用性萎縮とおんなじだろ? そんなワケで年単位で間隔があいている場合は…萎縮を考慮して配慮すべきだろうな…」
「…で、では今宵…契らんと欲する刻…相応の痛みも覚悟の上でないと完遂出来ませぬ…そう言う事でございますね…!」
「まぁそうだな。しばらく間隔空いてるんなら初めてのつもり…え? えええ~! ヒ、ヒメさんお酒にまかせてナニ言ってるんだ?」
「…先程焔さまがススを終えしワラワのカㇺカ観る事をご所望と言われておりました故…隅までトゥルサクして参りました…ご安心下さいませ…。
ただ、先のイタクより…今のワラワは…契り知らぬマッカチ同様ではございますが…よろしくお頼み申し上げます…!」
「ええ? さっきのは…温泉の効能でハダも滑らかになる…それのカクニンでは…?」
独り素面の焔は狼狽しながらも応えた。
「…ワラワは…シ・エラマスのイレンカ寄せしモノ以外にカㇺカ魅せる事は…ございませ…ぬ…」
ヒメはそう言いながら紅潮した顔で目を伏せた。
(え~と…なんなんだコレは…ヒメさんは…こんな観た目だけどオレよりず~っとオトナで…モンダイなくって…ひろ? ひろは…良いのかコレ…?)
「ひろ…イイカゲンジョーダンと言うか…女性に対する礼儀の様なモノだってのを教えてやってくれ…」
「え~とねぇ、ヒメちゃんにはそ~言ったんだケド…なんか通じないみたい♪」
困り笑いを浮かべながらも少しだけいたずらっぽく寛世は応えた。
「通じないみたい♪ じゃなくってな~! いいのか? このまんま押し切られたり…! イ、イヤ万が一だな…」
真っすぐ見つめるヒメと笑いながら睨む寛世に挟まれて…焔は思考を放棄した…。
「おばさ~ん! 牛乳ソフトもうひとつ~♪」
売店にそそくさと歩いていく焔の後ろから話し声が…。
「…ね、ひろせちゃんいない刻なら…ってカンジだったでしょ♪」
「…え、ええ、意外にも…脈ありきで驚きました…!」
「だぁからほむらってば観た目テキには…どぉ~しても女性らしさあふれる人よりも…こ~ゆ~つつましやかなのがスキなのよ♡」
「ああ! また斯様な処を…♪ な、なりませぬ…♡」
イタズラっぽい処か…悪魔のような笑みを浮かべて寛世はヒメの彼方此方をそれこそピアノ奏者の様な滑らかさで自身の指を這わせていた…。
「お、おいおい! みんな大注目だぞふたりとも…!」
ヒメは慌てふためく焔にそう言われ周囲を見回すと…人だかりの輪が出来てしまっていた…。
「…! こ、こんな痴態を皆の衆に晒してしまいますとは…! もはやこれまで…!」
「これまで…! じゃ~ないでしょ! ひろもホントにやり過ぎ! ハイ、ふたりとも晩酌はこの辺でお開きにして帰りますよ! これでも食べて落ち着きなさい♪」
そう言って焔は二人分のソフトを取り出して頬張らせた。
「はむ…♪ お、おいしゅうございます…♪ は…! ワ、ワラワは一体…?」
「お~いし~♪ ヒメちゃんにお酒飲ませるとすっごぉくおもしろ~い♪」
血行が促進されかなり廻ってしまった様である…。
…街道をかける三人の頬を夜風が優しく撫でていく…。
「…そんなに落ち込まないで下さいよ…! 楽しかったからイイじゃないですか♪」
「…確かにとても楽しゅうございました…。こんなイレンカ抱けしは…いつ以来でありましょうか…エシカルン出来ぬ程でございます…♪ 焔さま…寛世さま…本にありがとうございました…♪」
「たのしかったね~♪」
「まぁ大抵のコトは…振り返れば懐かしき日々…だよな♪」
「…そう言っていただけますれば…ワラワも救われる思いでございます…!」
心地よい風を浴びながら一行は修行場へと還っていった…。
ヒメの彼の刻には観られぬ意外な一面でしたね♪
用語説明
・カリンパニ(サクラの木):エゾヤマザクラ、桜 より。
・トゥルサク:きれいだ 清潔だ 垢のついていない より。
・ラムハプル=トゥサレ=イノミ:惜しまずすべて与える+癒す+祈り より。
・タアン=ラマトゥ:この ここに(いる、ある)+たましい より。
・ウサライエ=ラマトゥ:別々の 分ける+たましい より。
・シリクンネ:夜を指す語より。
・ストゥ=モシリ:大元の 根+クニ 世界 大地 より。
・姿勢保持筋:主に伸筋と呼ばれる種類の筋。チカラを入れる感覚がないが鍛えなくても強い。これを使いこなすほど達人の様に自分の体重を最大限に活用した動きになる。
・シ・エラマス:とても、偉大な+好き、~が好きだ より。




