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【SF 空想科学】

安心ロボット

作者: 小雨川蛙

 

 ロボットの開発者達が集まって会議をしていた。

「性能面はどんどん良くなっている」

「あぁ、そして今後も良くなり続けるだろう」

「だが、そろそろ別の機能をつけたいところだな」

 そう言って、皆でうんうんと悩み続けていた。

 そんな中で開発者の一人が一つ思いつく。

「こんなのはどうだろう? 人を安心させる機能!」

「人を安心させる?」

 皆が問いかけると発案者が頷いた。

「我らは緊急時にパニックになりがちだ。しかし、ロボットならそれはない。そして、穏やかな言葉一つで人々は落ち着くものさ」

「なるほど!」

「確かに悪くない!」

「素晴らしい!」

 そんな考えのもとに彼らはロボットに新機能『人々を安心させる機能』を新たに搭載した。

 これは人間をリラックスさせる音楽や香りを出すことに加え、何よりも緊急時に人間が陥るパニックを安心させる言葉を話してくれる機能だ。

 そして、彼らの読み通りこの機能は実に役に立ち、人々の暮らしはより豊かに、そして穏やかなものに変わっていった。

 ロボットは急速に人々の間に普及されていき、最早一人に一台という時代にさえ変わった。

「このロボットのおかけで本当に安心できます」

「ええ! 誰かが隣りに居て声をかけたり、話を聞いてくれるだけで本当に幸せなんです!」

 この結果や人々の反応に開発者達は満足して大いに喜んだったのだ。


 それから数十年。

 大災害が起こり数え切れないほどの死者を出した。

『落ち着いてください。ご安心ください。パニックになってはおしまいです。今は冷静になりましょう』

 そんな最期の言葉を聞きながら、死亡者の多くは血も涙もない機械の隣で穏やかに死んだのだ。

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