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page︰6 魔力訓練1

「今から、魔力を扱う訓練を開始する!」


魔導部隊の兵士達が訓練を行っている訓練場の一角で、横列に並んだ俺達の前でアウター少将が声を張った。

声を揃えてお願いしますと挨拶すると、彼は少し感心したように頷いて説明を始めた。


「魔力について何か知っていることはあるか?」

「はい。フェイス神官長から魔法、魔導、魔術の違いについての説明と、エスポワールが持つ力について説明を受けました」

「よろしい。属性については何か聞いたか?」

「無属性魔法については聞きました。他は分かりません」

「ならばその説明をしよう」


少将は腰袋からカラフルな石を6つ取り出すと地面に並べた。

彼は俺達に座るように促すと彼自身もしゃがみ込んで指を差しながら説明をする。


「まずは基礎四属性。火、水、風、地。魔石の色は順に赤、青、緑、茶に染まる。属性ごとの特徴は座学で教えよう」

「イメージ通りの色ですね」

「ああ。四属性以外に派生属性、特殊属性と呼ばれるものがある。派生属性とはその名の通り四属性から派生して生まれたもので、アドミッターの色が四属性以外に染まった者達がより最適な属性を探していく過程でできたものだ。新たな属性に適応する魔石を生成するのは波の努力ではならないが、そう言った部分は帝国軍研究部が担っている」

「なるほど。派生属性ってどれくらいあるんですか?」

「挙げていくとキリがないが、数で言うと帝国には21存在する。今日は派生属性の魔石は持ってきていないが、色は似通っているものも多くなるな」

「区別が難しそうですね」

「そうだな、だが間違えると使えないので確認は必須だ。最後に、特殊属性だが。これは光と闇の2つのみで、四属性からの派生ではない上にこの2つから派生するものもない。適性を持つ者が希少とされるものでもある」

「へえ、色は何に変わるんですか?」

「ここにあるように光が金で、闇が紫だ」

「これもイメージ通りだ」

「魔石は全部、その属性から連想される色に染まる」

「分かりやすくて良いですね」

「そうだな。これ以上の説明は省こう、どうせ後々座学で学んでもらうことになるからな。早速実践に入ろう、まずはこれを見ろ」


6つの魔石をしまうと、ディール少将は自身のアドミッターを握った。すると黒色であったそれは水色と紫に8︰2程度の割合で染まり、ほわっと水色の光が彼の拳を包む。


「私は氷と闇に適性があり、このようにアドミッターが水色に光る。適性属性が複数ある場合、アドミッターは適性の高さに準じた割合で染まり、最も高い色で染まる」

「派生と特殊なんですね」

「ああ、私は四属性には適さなかった。それはさて置き、早速訓練をしよう」

「はい!けど、魔力を扱うってどうやるんですか?」


尾瀬が問うと、アウター少将は少し悩ましげに眉を寄せた。


「一般的には成長していく過程で勝手に身についているものなので、7歳くらいの子供でも簡単な無属性魔法は使えるようになる。感覚的な要素も大きいので説明するとなると難しいのだが………代々のエスポワールがコツを掴んだ方法等を粗方まとめてきたので、それを参考に試行錯誤していこう」

「はい、お願いします!」

「まず、体内にある魔力を感じるところから始めよう。人は誰しも心臓の対象の位置に魔力塊と呼ばれる魔力の源となる器がある、君達は魔力の存在しない世界で生きてきたようだが転移の際に恐らく魔力塊ができているはずだ」

「心臓の対象…右胸(ここ)か」

「そうだ、そこから全身に魔力が行き渡っている。無属性である魔力は暖かいだとか冷たいだとかそう言った性質を持っていないので感じることは困難だろうが、魔力塊から流れる魔力を実感出来なければ絶対に扱うことは出来ない」


右胸に手を当ててどうにか感じ取ろうとするも変化は無い。

少しするとアルター少将がまとめてきたという代々エスポワールがコツを掴んだ方法について書かれた書類をくれた。


「全員感じ方はそれぞれなので真似しても意味は無い、参考程度に留めておくのが良いだろう。読みなさい」

「えー……血流が流れる様子に近いものを想像したら、体内に空気のようなものが流れていることに気が付きそれが魔力だと分かった」

「アニメや漫画で魔法はイメージが大切だと聞いたことがあるので、とにかくイメージをした。すると一つのイメージが正解だったのか魔力塊に行き着いた」

「普段から瞑想をする習慣があったので、いつも通り瞑想をして邪念を取り除いた。体内に自分の意識外にある何かを見つけ、それを取り込むと魔力を扱えるようになった」

「あまりにも感知ができなくて泣きそうになっていると魔力が不安定になったのか、突然身体強化がされて軽く地団駄を踏んだら地面が割れた。これが魔力かと理解した」

「んー…一個も理解できないね!」

「ううん…よく分からないな」

「私もまとめていて共感できるものは一つもなかったからな、やはり自身で見つけるしかないのだろう。静かな環境である方が集中できるだろうから、防音と視界遮断の結界を張っておく。集中して臨みなさい」


アルター少将が結界を張ると、先程まで聞こえていた兵士達の掛け声が聞こえなくなり、また結界外の様子が見えなくなった。

参考にできそうになかった先代達の方法は一旦忘れ、集中して体内を意識し始める。

簡単には見つけられそうになかった。

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