7話 ・・・・・・・・は?
今まで我慢していた涙を全て出した後、私は・・・・・・・蹲り・・・・とてつもない羞恥心に襲われていた。
「ううぅぅぅぅういいううううう」
めっっっっっっっっっちゃっっっっっっっっっっっっっ恥ずかしい。
男の胸で泣くって何、恋人か!!!
「・・・・なぁ、幸田」
「!!!」
空原に声を掛けられことで私は冷静になり、顔を上げると空原はゲラゲラ笑っていた。
「お前泣きすぎ、服めっちゃ濡れたやんけ」
笑いながらそう言う空原を見た私は立ち上がり渾身の右ストレートを空原の頬にぶち込む。
「ぶへぇー!!」
空原は唾を吐きながら倒れ込む。
「な・・・ナイスパンチ」
「それりゃどうも!!」
右腕を上げ親指を立てて賞賛する空原に対し、私は突き放す口調で言う。
「いや本当に・・・・・いてぇぇ」
殴れられた頬を手で抑えながら空原は立ち上がる。
「さて、付いて来い」
「?」
私の困惑を空原は感じ取ったのか空原は「あぁごめん、ごめん」と言いながら謝る。
「今後のことで話がしたくて、あの斬島達について。ここで話すわけにもいかないし、俺ん家で話そうと思ってな」
「え!?」
「安心しろ。義兄さんともう1人の従業員もいるから」
空原が話した内容を聞いた私の反応を見て私の心配をカバーをする。
「さぁ、行くぞ」
後ろを向き歩きだした空原を見て私は急いで後を追う。少し残念と思いながら。
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「そういえば」
「うん?」
「あんたの異能力初めて見たわね」
「あぁ、そうだな」
路地裏を出て空原の家に向かっている中、私は空原に質問をした。空原は頑なに異能力の事を教えてくれなかった。
あの時、斬島の斬撃が飛んだ時、空原は斬島の背後にいた。
恐らく空原は自身のスキルであそこに移動したんだと思ったけど、どうやら当たっていたようだ。
「どういうスキルなの?」
「う〜〜ん、まぁいいかお前なら」
空原は葛藤しながらも答える。
「俺のスキルは自分の視野にある物体と俺自身の位置が入れ替えられるんだ、まぁ、条件があって、視野にある物体に俺が出した音が届いてないと入れ替えられない、あの時は飛んでいたドローンと入れ替えたんだ。」
「え・・・あんた人様のドローンを!?」
「ちげーよ、俺のだよ・・・・借りた物だけど」
「・・・・・・・・」
私はジト目で空原を見る。
「はぁー、、、はぁー、、、やめろ、、やめろ、、お、俺を、俺をそんな目で見るなーー!!!」
空原は膝をつき変なポーズをとりながら人目を気にせず叫ぶ。
「やめて、やめて、私が恥ずかしから」
私が恥ずかしさのあまりジト目をやめると、空原はニヤニヤと笑いながらすぐに立ち上がり歩き始める。
しばらく歩くと空原は歩きを止める。
「着いた。ここの建物の2階が自宅兼便利屋有事の事務所だ」
そう言い空原が指差した建物は二階建てで一階はカフェ、2階は『便利屋有事』と書かれた大きな看板が手すりにかけられていた。
「よし入るか」
「・・・・・うん」
私たちは建物の横にあった螺旋階段を上り、2階のドアの前に立つと鼓動の音がどんどん高鳴っていく。
空原がドアを開けようとするが、開かない。
「あれ? 鍵かけられてる。はぁ〜何やってんだ義兄さん」
ため息をつきながら空原はドアの横にあったインターホンを鳴らす。
「はぁーい、今行きまーす」
インターホンが鳴ると同時にドア越しで男の人が大声で返事をする。
「どちら様・・・・・で」
ドアが開くと男の人が現れて、驚いた表情を見せる。
「はぁぁ・・・・・はわわ!?」
「義兄さんただい・・」
「とーーーーーーーーーーーーーーーーもーーーーーーーーーーーかーーーーーーずーーーーーーーーーーーー!!!!! 瞬が!!! 瞬が!!瞬が!! 彼女連れてきたーーー!!!」
そう叫びながら狂喜乱舞し、男の人は走ってどこかの部屋に入った。
それを見た空原の顔はまた鬼のようになっていた。
「幸田・・・・ちょっと待ってろ」
「うん」
そう言うと、空原地を蹴るかのように踏み込み斬島達と戦っている時とは比にならないくらいとてつもない速さで走って家に入る。
「待ってごら!!! バカ兄貴!!!」
空原は叫びながら、男の人が入った部屋に入った後、力強い足音が無数に響く。
私はその光景を見て呆然と待っていた。その時、何故か顔が暑かった。
10分後
「幸田、待たせてすまない。さぁ上がってくれ」
空原は戻ってくると頭を下げ、左腕を玄関の方に向け進む方向をジェスチャーする。
「お邪魔します」
私は頭を一度下げ家に入る。靴を脱ぎ空原があらかじめ用意していたと思われるピンク色のスリッパに履き替えた後、空原も同じ行動をし、空原は「こっちだ」と言いさっき男の入った部屋に案内する。
部屋に入るとそこには頬が腫れているさっきの男の人ともう1人男の人がソファーに座っていた。
私たちは空原が先導してもう一つあったソファーに座る。
「いや〜〜〜〜ごめんね。こいつ友達連れきたの初めてだからさ、しかもこんなに可愛い女の子だからつい、あぁ、俺は空原来叶こいつの義兄さんだよ」
頬が赤い人が謝りながら笑顔であいさつする。その笑顔は太陽のように全てを温め安心する笑顔だった。
「社長がバカなことをしてすまない。俺は無寺智和だ。便利屋有事の従業員だよろしく」
もう1人の男の人は低音の声で丁寧にあいさつし無寺と名乗る。
「いえ別に、あ、初めまして幸田新渚といいます」
私も2人に挨拶をする。
「さて、瞬から聞いてると思うけど、作せ・・・・ん・・・・か・・い・・ぎ」
「「「????」」」
空原のお兄さんは話している途中に目を細めて後ろにあった窓を見る。
「義兄さんどうし・・」
「みんな伏せろ!!」
「「!!!」」
「????」
空原の言葉を遮り、お兄さんは意味不明なことを叫び、私以外の三人は頭を伏せる。
「皆さんどうし・・」
「すまん!!」
「うぁ!?」
空原は私の頭を掴み無理矢理頭を伏せさせる。
次の瞬間、後ろの窓が突然割れ、聞いたことがない轟音が響き何かがものすごい勢いで飛んでくる。
「!!!」
飛んできたものが床にめり込み、私はそれを見る。それは小さい鉄の塊・・・・・・銃弾だった。
「・・・・・・・・は?」
驚きのあまり私は素っ頓狂な声をだす。
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