5話 非日常
「とりあえず・・・治してもらおうか」
次の瞬間、空原は保治を向き飛び込み、保治の懐に入る。
「は?」
保治は混乱し、その隙に鳩尾に正拳突きをくらわす。
「かっは!!」
倒れる前に空原は保治の髪を片手で掴み、持ち上げる
「痛い、痛い、痛い」
「おい」
「は、はぃい!?」
「治せ」
「はい?」
「幸田の傷を治せって、言ってんだろうが!!!」
ドスの効いた声で空原は恫喝する。
「は、はぃぃい!?すみませんなおしますー!」
保治がそう言うと、空原は髪を離す。離した瞬間、保治はすぐに私に駆け寄り、空原に怯えてながら治療を始める。
「さてと、次は・・」
「おい」
空原が振り返ると、弁田が苛立っていた。
「お前・・調子乗ってんじゃねーぞ!!」
そう言うと、弁田は指の関節を鳴らし、スキルを発動させ身体能力を上げる。
「とりあえず・・・一発殴らせろ!!!」
弁田がそう叫ぶと、拳を振り上げ空原に向かってジャンプする。
「おらーー!!」
弁田の拳が空原に振るわれる。
しかし、空原はすました顔でかわす。
「ち! まだまだ!!」
弁田は何度も殴りかかるが、空原は軽やかにすべてかわす。
「はぁー・・・・・おせぇー!!!」
空原は躱しながらため息を付くと、弁田とは比べ物にもならない速度で、弁田のみぞおちを殴る。
「うぅぅ!?」
弁田は腹を両手で抱え倒れこむ。
「おら・・・よ!!!」
空原はすかさず弁田に横蹴りをかます。
「だぁー!?」
弁田は後ろにいた七風、斬島の所までとんでゆき倒れこんだ。
「身子!!・・・てめぇ、よくも!!」
七風が怒声を上げると、弁田を庇うように前に立つ。
「おらーー!!」
七風はスキルを発動させて、空原を風で飛ばす。
「くぅ!!」
空原は風で少し飛ばされる。
「ははは!! どうだい近づけないだろ」
七風は笑いながら、空原に近づく。
恐らく、空原を壁に押し付けるつもりだろう。
空原は少しバックステップして、距離を置くと少ししゃがみ、すぐに立ち上がり、腕を90度上げる。
「は?なにして・・・・」
次の瞬間空原は親指でなにかを弾く。
「いて!!」
弾いたのは小石だった、恐らくしゃがんだときに拾った物だと思う。
七風は少し怯み、風が止む。
その隙に空原は一気に七風との距離を縮め、七風の前に立つ。
「おらぁー!!!」
空原は拳を大きく振りかぶり、振りかぶった拳を七風にくらわせる。
「ぐへ!?」
七風は1回転しながら吹き飛び、大の字に倒れる。
「あ・・ああ・・ああぁ!?」
それを見た斬島はひどく怯えているだろう、後退りし体をぶるぶると震わせていた。
そして、空原はゆっくり、じっくりと斬島に近づいて行く。
「ひぇ!? く・・・くるなぁーー!!!」
斬島は混乱しながら、むやみやたらに斬撃を放つ。
その斬撃の数はとてもじゃないがかわせるものではなかった。
「空原逃げ・・・」
「カッ」
私が言おうとした瞬間、空原は舌を鳴らす。
そして、斬撃が直撃して砂ぼこりが舞う。
「へ・・へへ、さすがに」
斬島は薄笑いし、安心した表情を浮かべていると、砂ぼこりがだんだん晴れてゆく。
「これであいつも・・・・・・・・・は?」
斬島は驚いた表情を浮かべる。
何とそこに空原は・・・・・・・いなかった。
破損した機械のようなものを残して、空原は消えていた。
「あ・・あいつ、一体どこに」
「たく・・何しやがる」
「「!!!」」
空原は斬島の後ろにいた。
「無寺さんに怒られるじゃねぇか」
斬島が後ろを振り向く、その瞬間に空原は頭突きをくらわせる。
「うぅぅ」
斬島はふらつきながら、四つん這いになって倒れた。
「あ・・あぁ」
私は驚いた。あの斬島達が何でも出来ず、倒れている光景に。
「あ・・・あの」
「うん?」
私が驚いている中、保治が空原に恐る恐る声を掛ける。
「な・・治しました。幸田さんの傷を」
「そうか・・・じゃ、とっとと失せろ!!!!」
空原は威圧的な態度を取り、保治を睨む。
「は・・はぃいい!!」
保治は怯えながら言うと、その場から逃げるようにどこかに行った。
それに続いて志透も怯えながらどこかに行った。
弁田と七風も立ち上がり、倒れている斬島を起こし、肩を貸した。
斬島は起き上がりるとまるで親の仇を見るような鋭い目で空原を睨んだ。
「空原・・・・・覚えてなさい私を怒らせたらどうなるか!!!」
そう言うと斬島たちも路地裏を出て人混みに混じり、霧のようにその場を去った
「・・・・・・さてと」
そう呟くと空原が私の方に振り向く。
「少し話したいことがあるんだけど・・・いいか?」
空原は今までに見せたことが内容な赤ん坊に向けるようなやさしい笑顔で私に言った
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