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36話 便利屋の仕事 裏2

「か、鎌田さん、気をつけてください、こいつら・・・ボヘッッ!!!」

「「!!」」


 シャッターの近くにいた半グレが男に声を掛けた、次の瞬間、男はゆっくり銃を取り出し、声を掛けてくれた半グレの腹を一切の躊躇もなく撃った。


「チっ!! うるせぇなぁ~~~、話掛けんじゃねぇぇ、殺すぞ」

「ぐぅぅ!!!」


 男はドスの効いた低い声で半グレに言う。半グレはその場で膝を付いて蹲り、声を押さえつつ、両手で傷口を押さえる。


「んんんんんっっっ!!!!」

「うるせぇって、言ってんのが聞こえねぇのか!!!」


 それでも男にはうるさかったらしく、激昂し半グレの腹を思いっきり蹴る。

 

「うぁぁぁぁあ!! あぁぁぁぁあぁ!! あぁぁぁぁぁぁ!! いだい!!! いだい!!!!」


 半グレは堪らず声を上げ、苦しむ。あれはひでぇぇな、バカみたい痛いだろうし、傷口も広がる。ただでさえ腹を撃たれて痛いだろうに、思わず同情してしまった。

 

「もういい、静かにしろ」


 男は先程とは打って変わり、声を荒げなかったが、声をさらに低くさせ、銃口を再度半グレに向けて、半グレの頭を撃つ。


「・・・・ぁぁ・・・」


 半グレは頭から倒れ、血の池を作って絶命した。

 だけど、誰も声を上げない。もし、喋ったらこの半グレと同じ末路を辿るからだろう。


「すまねぇぇぇなぁ~~、うるせぇ~やつがいてよぉ~、オレは鎌田。情報屋をやってんだ」


 男は半グレの死体の頭部を何度か踏みつけた後、俺達の方を向き不気味な笑みを浮かべ自己紹介する。

なるほど、こいつが紙で書かれていた情報屋の一人だ。


「そうか、じゃあ死のうか」


 俺は鎌田の言葉に返事をし、サブマシンガンの銃口を向ける。


「なんだぁぁ~、つまんねぇぇなぁぁ~~、お前も名乗れよ」

「これから殺す相手に名乗るほど、俺は親切じゃない」

「冷てぇぇやつだなぁぁ~~、そこのあんちゃんも名乗れよぉぉ~~」

「? なぜ、名前を言わなきゃいけなんだ?」

「あんたもかよ、まぁ、でも、知ってるからいいか」


 鎌田はそう言うと口を開け、奥歯の歯を舐め持っている銃を俺に向かって下から軽く放り投げる。

 何がやりたいだ、こいつ。

 俺は銃をサブマシンガンで撃ち抜こうする。その時だった、投げられた銃の持ち手にシールのような銀色な物が貼られているのが見えた。


「!!」


 何かある!! 俺の勘がやばいと告げている!!

 俺は自分の直感を信じ、拳銃を捨てサブマシンガンの銃口を野球のバットを持つように両手で握り、バッターの構えをとる。


「ふん!!」


 タイミングを合わせ、銃を打ち上げる。銃は高く打ち上がり、天井にぶつかった瞬間、銃が青白く光り、爆発する。


「・・・てめぇ、銃に爆弾仕込んでたな」


 あのシール、超小型爆弾を張っていたな、打った時に持ち手を一瞬だけ見たが少し膨らんでいた。奥歯にスイッチを仕込んで時間差で爆発。野郎、銀色なんかにしやがって、銃の色が黒なんだから、黒色にしていれば気づかれにくいものを、わざとだな。

 

「おちょくりやがって」


 正直、あのまま撃っていたら、吹き飛ばれていた。でも、もし俺が投げた瞬間撃っていたら、爆発を食らうのは自分だろうに。


 やはり、変人か。


「いやぁぁ~~~、さすが天下の来未団の団長の側近だった男、結構自信作だっただけどなぁぁ~~」


 鎌田はけらけらと笑い、俺に拍手を送る。

 あぁ、腹立つぅぅぅぅ、こいつの舐めた態度が腹立つぅぅぅぅ、こいつの口調が殺したいぐらい腹立つぅぅぅぅぅぅぅ。


「知ってるぜぇぇ~~、お前のことはぁぁ、空原瞬、13歳で来未団に入団、入団からたった二年で銃の腕前で来未団のNO.3(ナンバースリー)になった天才」

「・・・・・・」

 

 さすが、情報屋といったところか、俺のことを知っているか。まぁ、それぐらいの情報ならモグリでもない限り知ってるけど。


「そして、お前も知ってるぜぇぇ~~~、無寺智和、14歳で来未団に入団、戦闘集団の来未団にはめずらしい技術者であり、副団長」

「・・・・・」


 こいつ、無寺さんの入団時期を知ってる。俺は入団してからすぐに活躍したので入団時期は良く知られている。だけど、無寺さんは副団長なってから活躍していた。だから入団時期はあまり知られていない。

 

 どうやら、こいつは本当に情報屋らしい。


「まぁぁ~~、ようはお前らはぁぁ~~、機械オタクと銃しか使えないガキってことだなぁぁ~~~」

「・・・は?」


 は?


 はぁぁ!?


 こいつ、今、俺のことを銃しか使えないガキって。


「・・・・・・」


 俺も舐められたものだな。


 確かに俺は射撃が得意だ。誰よりも、義兄さんよりも優れていると自負している。その気になればこんな鎌田(雑魚)、そこに落ちている銃を拾い、撃てば一秒で殺せる。

 だけど、俺は11年間、ナイフや体術も鍛えてきた。少なくてもこんな鎌田(雑魚)、銃を使わなくても殺せるほどには強くなった。


 体が勝手に動いていた。俺は捨てた銃を懐にしまい、サブマシンガンを無寺さんに渡していた。


「・・・・・・周りのことは気にすんな、邪魔するようなら邪魔する前に殺す、全力で行け」


 無寺さんは察してくれて、サブマシンガンを受け取り、激励の言葉を送り、その場から少し離れる。


「おい、おい、銃を使わないのかよぉぉ~~、死んでも知らないぜぇぇ~~」


 鎌田は舌を出して笑い、戦闘の構えを取る。

 

「死ぬのはお前だ、腐れ外道」


 俺は黒いキューブを取り出し、強く握り二本のロングナイフに変化させ、構えを取る。


「じゃあ、行こうか!!」


 次の瞬間、鎌田は顔の上半部をカマキリの顔に変化させ、両腕をカマキリの鎌に変え、俺に向かって飛び込み、俺との距離を詰める。


「死ねぇぇ!!!!」


 鎌を振り上げ、俺目掛けて一気に振り落とす。


「ふっ!!」


 俺はそれを姿勢を低くして孤を描くように躱し、鎌田の背中に周り込む。


「おらよ」


 俺は高く飛び、やつの左肩に肘をねじ込む。


「ぐぅぅ!! てめぇぇ!!」


 直後鈍い音が響き左肩がおしゃかになる。鎌田は苦痛の声を上げながらも、俺を鎌で挟もうとと体を捻り、俺を捕まえようとするが、俺は地面が足に着く前に鎌田(こいつ)の背中を足場にし、後ろに飛び数m離れた所で着地。


「チっ!!」


 鎌田は堪らず体勢を崩しよろけ、動きが止まる。その隙を俺は見逃さない。直進し二本のナイフを振り上げる。やつは急いでこちらを向くが、遅い。ナイフを交差するように振り下ろす。

 

「ぐぅぅ!!」


 奴は間一髪で右の鎌を間に入れたが、鎌に傷が入り少し押され後退。俺はその隙にその場からバックステップで離れ距離を取る。


「く!! く!!! クソガキがぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」


 自分が圧勝出来ると思っていたのだろう。鎌田は自分が圧されていることに怒り、叫びを上げる。すると鎌田の体がどんどんカマキリになってゆき、人間サイズのカマキリへと変身する。


「ひjfrhwqhくbふぃうんfwぅbgvf!!!!!」


 言葉になっていないきたない憤怒の咆哮を上げ、鎌田は羽を広げ俺に襲い掛かる。

 

「ふんっ!!」


 俺は二本のロングナイフをやつ目掛けて槍のように投げる。一本は空を裂き、もう一本は奴を捉えるが、右の鎌で弾く。


「jfksgkfhyぎんれhぐぃうねvgrねうういgvrうぇいうんgy!!!!!!」


 俺と鎌田の距離が箸一本分になった瞬間、右の鎌を振り上げる。俺を掴もうとしているのか。

 だけど、俺は見えていた奴が弾いたナイフが、天井に刺さりそうな勢いで回転しているのが。鎌が振り下ろさた刹那、俺は指を鳴らし空中にあるナイフと位置を入れ替える。


「hgfdjhs!!!!!」


 鎌田は汚い声で驚く。やはり、こいつ俺の異能力を知らない。戦闘スタイルを具体的に語っていなかったので、もしかしてっと思っていたが、当たっていたようだ。所詮は三流の情報屋か。


 俺はそのまま重力に抗うことなく落下してゆく、着地点は鎌田の頭上。落下しながら調整する。


「hfsだgfhg!!!」


 鎌田は俺を周りを見るが、気づかない。周りの半グレの中には気づいている奴もいるが、遅いとわかっているのだろう、誰も声を上げない。

 いや、もしかしたら、やつに怯えて声がでないのかもしれないな。騒いだら殺すだろうし。

 まぁ、でも、


「お前には、お似合いの最後だな」


 俺は足から鎌田の頭に着地。


「gはshd・・!???」


 鎌田は踏まれた虫のようにぐちゃぐちゃになり、死んでいた。


「・・うぇ・・」


 俺は鎌田の返り血で服が緑に染まった。


 ・・・・・・・・・・・気持ち悪い。


「・・・お疲れ」


 戦いを見届けた無寺さんはサブマシンガンを俺に投げで渡し、ねぎらいの言葉を贈る。


「・・・・・・何か、遠くないですか」

「・・・・・気のせいだ」

「・・・・・・・・」


 まぁ、汚いしな、仕方がない。


 ・・・・・・それでも、悲しいけど。





 





 およそ五分前、来叶と桜が梯子を登りきっていた。梯子は屋根裏部屋に繋がっており、部屋の広さは思っていたより広く学校のプールぐらいはあった。

 

 そして、そこに広がっていた光景はさきほどよりも、胸糞悪いものだった。


 部屋の隅には一階と同じように四つの檻があり、中には小学ニ三年生の女の子が何十人も入れられていた。四つの檻の前には門番の半グレが二人ずつ配置されていて全員つまらなそうにしていた。子供達というと、ほとんどの子は目元が腫れており、泣いていたのがわかった。けど、今は誰も泣いておらずただただ怯えていた、両手を頭に置いて。

 そして、部屋の奥ではボロボロの服を着た嫌がる女性を十数人の男が襲っており、服を無理やりぬがそうとしており、それを韓流アイドル風のイケメンが少し離れた場所でつまらなそうに静かに見ている


「いやぁぁぁ!! やめてぇぇ!!! いやぁぁぁ!!!」


 女性は悲鳴を上げて、抵抗していたが、取り押さえていた男がガタイが良く、力で抑え込まれていた。


「!!! 何だてめぇ、見ない顔だな」


 相当女性を襲うことに夢中になっていたからか、はたまた下の騒ぎに興味がなかったのだろうか、半グレ達は少し遅れて二人に気付き女性を襲うのをやめ全員が2人を睨みつけ、半グレの一人がゆっくりこちらに向かって歩き出す。

 次の刹那、憤怒の表情を浮かべる桜が動く。近づく半グレの距離を一気に潰し、切り掛かろうと右手に持ったナイフを振り上げる。


「え?」


 当然、そこらへんの雑魚が対応できるはずもなく、半グレは状況を理解出来ておらず、桜が目の前にいるのにその場で突っ立っているだけ。


「死ね」


 桜がそう発し、ナイフを振り下ろそうとした瞬間だった、乾いた音が部屋中に響き、それと同時に桜のナイフが止まる。


「!!!!」


 その音の正体は来叶。音もなく桜を追いかけ振り上げた腕が上がりきったタイミングで桜の腕を掴んでいたのだ。


「・・・!!!!」


 桜は振り返り、来叶を鋭い眼光で睨みつける


「落ち着け、子供が見てるんだぞ、血生臭いとこを見せるわけにはいかないだろう」

「!!!」


 来叶の言葉に桜は自分が怒りに任せて、一番大事なことを見落としていたことに気付く。


「・・・・ごめん」

「分かればいいだ、よ!!!」


 謝罪を受け入れた来叶は桜の腕を後ろに引かせ、ボーっと突っ立っている半グレの腹に前蹴りをくらわす。


「ぼへっ!!!!」


 半グレは10mぐらい吹き飛ぶ。


「まぁ、腹が立っているのは同じだ、だけど、冷静いろ」

「いや、派手に吹き飛ばしてるんですけど!!!!」

「手は抜いた、俺が本気でやったら腹を貫通してただろ」

「確かに・・・」

「あぁ、そうそう、言い忘れていたが、お前にはやることがある。これを使え」


 来叶はリボルバーをしまい、懐から黒いキューブを三つ取り出し、それを後ろにいる桜に向かって見もせずに投げる。


「え、うぁぁ! おーと、と、と」


 桜は急なことで少し慌てるが、危なげなくキャッチする。


「これは?」


 桜が問いかけた時、数人の半グレがナイフで切り掛かる。

 

 しかし、来叶は見えており、姿勢を低くし一歩横に動いて躱す。


「裏に印があるだろう」


 来叶は喋りながらも、半グレ達のナイフをすべて蹴り上げる。


「白い丸が完全遮断耳栓が200個入ってる箱」


 一人の半グレの腕を掴み、軽々と持ち上げ、それを剣のように襲い掛かって来た半グレに振り回す。


「「「「ぶはぁ!!!」」」」


 半グレ達は避けれるはずもなく、薙ぎ払われ、ダウンする。


「白い星が真っ黒のアイマスクが200個入っている箱」


 説明を続ける来叶だが、また数人の半グレが襲い掛かる。


「白いハートが匂い消すお香が20個とマッチが入っている箱」


 来叶は気にせず、説明を続けながら持っていた半グレを乱暴に捨て、流れるように横蹴りをくらわし、一気に数人を吹き飛ばす。


「それを子供達全員に配れ、時間は俺が稼ぐから気にするな」

「・・・うん」


 桜は少し呆れながら返事をし、一番近くにあった檻に向かう。


「さて、続きをしようか」


 来叶は改めて半グレ達の方を向き、余裕をもって戦闘に備える。


「ちっ!!! 舐めやがって!!!」

 

 一人の半グレがその態度にイラつき、自身の両手をとんかちに変化させ襲い掛かる。


「おらっ!!」


 半グレが来叶目掛けてとんかちを振り下ろす。


「おせぇよ」


 来叶は体を少しずらして避け、やつの腕を掴み、振り下ろす力をそのまま利用して投げ飛ばす。


「ぐはぁぁ!!」


 半グレは後頭部を強く打ち、気絶する。


「ちっ!! クソが、こうなったら!!」


 最初に蹴り飛ばした半グレがふらつきながらも立ち上がり、銃を取り出す。


「!! バカっやめとけ、子供(商品)に当たったら」

「うるせぇぇ!! 黙れ!! あいつはオレが殺すんだよ!!!」


 銃を使って間もないのだろう、半グレはめっちゃくな構えで撃とうとする。あのままでは絶対に来叶には当たらい。下手したら仲間の半グレか子供達に。


「おい」


 来叶は即座に判断し、一瞬で半グレの前まで行く。


「ひっ!!」


 半グレは一瞬で来た来叶に驚き、慌てて引き金を引こうと、指を伸ばす。


「聞いてなかったのか」


 しかし、遅すぎた。来叶は半グレの銃に触れ、まばたきの間に一瞬で銃を分解する。


「え?」

「そんなもん、子供に見せんな」


 そのまま分解した勢いで半グレの頬をぶん殴る。


「ぶぎゃぁぁ!!」


 半グレはまた吹き飛び、その場で大の字なって倒れる。


「おい、もう終わりか」


 来叶は敢えて半グレを挑発し、自分にヘイトを向けるように仕向ける。


「ぐ!! この野郎!!!!!」

「ぶっ殺す!!!」


 案の上、半グレ達は挑発に乗り、襲い掛かる。今度は檻の門番をしていた半グレ達も襲い掛かる。

 しかし、来叶にとっては半グレなど蚊よりも容易い相手、半グレ達を圧倒する。何人か戦闘向けの異能力を持っており、発動させ、襲い掛かるが、危なげなく対応し、投げ飛ばしてゆく。


「くっ!! ボス!! 蟹田さん!! どうしましょう」


 さすがにこのままではまずいと思ったのだろう倒れていた一人の半グレが指示を仰ぐ。その半グレの視線を来叶は見逃さない。半グレの視線の先にいたのは女性を襲っていたガタイのいい男と静かに見ていたイケメンだった。


「・・・・」


 しかし、イケメンはさっきとは打って変わり、明らかに動揺していた。その顔はどこか、恐怖に包まれていたように見える。


(・・・・なるほど)


 来叶はやつの様子を見て、イケメンに突っ込む。


「? どうした、ボス」


 ガタイのいい男がイケメンに声を掛ける。


(あのデカ物が蟹田、情報屋で、あのイケメンがボスか。ま、それより)

「お前ら、逃げ・・・」

「お前、俺が誰だか分かるな」

「!!!!」


 イケメン改めボスが指示をだそうとした時、来叶はすでにボスの前までいた、光のような速さでボスの腕を掴み、お手本のように背負い投げに繋げる。


「かっ!!!」


 ボスは受け身が取れず、後頭部を強打し、意識が途切れる。


「て、てめぇぇ!!」


 それを何も出来ずにただ見ていた蟹田は激昂し、拳を振り下ろすが、それを難なく躱し、腕が伸びきった所で掴み投げ飛ばす。


「ぐふぅぅ!!」


 蟹田は床に叩きつけられ思わず声を上げるが、受け身はしっかりとっていた。


「く!! この野郎!!!」


 蟹田は雄叫びを上げ、立ち上がろうと床に手を付け腕を伸ばす。しかし、来叶は間髪入れず、蟹田の鳩尾に蹴りを入れる。


「ぶぅぅ!!!」


 今度はもろにくらい、蟹田は腹を両手で押さえ俯く。その何気ない行動が来叶にとっては好機。やつの顔面を鷲掴み、そのまま少し持ち上げ床に叩きつける。


「かぁぁ!!!!!」


 さすがにこの一撃には耐えられず、気絶する。


「よし、次は」


 蟹田が気絶したことを確認すると来叶は女性の元まで行く。


「ひっっ!!!!!!」


 女性はビビるが、来叶は構わず女性の前で膝を付き、黒いキューブを取りだし、握り、大きな黒の布に変化させ、女性に渡す。


「えっ?」

「羽織ってろ、後、あいつから耳栓とアイマスクを貰って、これから焚くお香の近くにいろ、じゃないと、お前、()()()()()


 そう忠告する来叶の目は周りを凍て尽くすような温かさを一切感じさせない冷たい目をしていた。


「!!!!?????」


 女性は来叶の冷たい目に恐怖し、何度も頷き貰った布を羽織る。


 それを確認した来叶は後ろから襲い掛かる半グレの顔面に裏拳をかまし、怯んだ隙に振り返って腕を掴み、半グレが密集してるところに投げ飛ばす。


「「「「ぼはぁぁ!!!」」」」


 投げ飛ばされた半グレは見事半グレが密集した所にぶつかり、全員ボウリングのピンのように吹き飛び、倒れる。来叶はそれに目もくれず部屋の中央に移動する。


「こ、このやろぉぉぉぉ!!!!」


 半グレ達は一気に襲い掛かるが、ここまでくれば赤ん坊でも結果はわかっていた。来叶は一気に全員を圧倒し倒してゆく。半グレ達は何度も立ち向かうが、圧倒され、倒れ、立ち向かう。これを何度も繰り返してゆく。

 その裏で、桜は檻の門番を気絶させ、牢にいる子供達に耳栓とアイマスクを渡していった。





 17分後


「はぁー、はぁー、はぁー」


 半グレ達は何度も立ち向かったが、来叶に敵うはずもなく、滝のような汗をかいてばてていた。

 それとは対照的に来叶は呼吸が崩れることもなく、一滴の汗を流さずに余裕の表情で半グレ達を圧倒していた。


 そんな時、桜が来叶に近寄る。


「配るの終わったよ」

「・・・・・16、7分ぐらい掛かったな、10分で終わると思っていたのに」

「10分で終わるわけないでしょ、これでも早い方よ!!!!!」

「そうか」


 返事をしながら来叶は四つの檻を見る。見ると子供達全員がアイマスクと耳栓をしており、すべての檻の周りにお香が四つほど置いて焚かれていた。女性も一番近くにあった檻に身を寄せ、アイマスクと耳栓を付けている。


「まいかちゃんはいたか?」

「えぇ、うん、助かったわ、他の子達が怯えていたけど、まいかちゃんが声を掛けてくれてたの、『大丈夫、便利のお兄ちゃんなら、きっと大丈夫だよ』って、懐かれているのね」

「・・・・そうだな」

「子供達とあの女性は私に任せて、あの子達には指一本触れさせやしない」

「あぁ、任せた」


 それを聞いた桜はしまっていた二本のナイフを取り出し、戦闘の構えをとる。それに呼応するかのように来叶もリボルバーとナイフを取り出し、半グレ達に告げる。


「さぁ、お前ら、ここを、()()()()()()()


 その目はやはり、周りを凍て尽くすような冷たい目をしていた。

読んでいただきありがとうございます。


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これからも話を書こうと思っているのでよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
36話の感想 カマキリの異能力…カマキリとかクモはメスの方が強そうなイメージがありますねえ。地味にカメムシの異能力があったら嫌だなあと。 蟹田はカニだったんでしょうか? カニになってたら泡ブクブク…
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