番外編 知らないほうがいいことって、あるよね・別にそう言うのじゃない
知らないほうがいいことって、あるよね
時は遡り、約二週間前、新渚が便利屋有事で働きたいと頼み込んだ時だった。
「依頼料、全然足りてないんじゃないですか」
新渚は少し口調を強めてそう言った。この時、新渚は瞬たちが斬島カンパニーの社員から情報をもらうために依頼料200万円なのに対し2000万円以上支払ったと思っている。
しかし、
「・・・君は本当に賢いな」
真実は、
(頭が良いとは聞いていたいたけど、本当に良いんだな、まさか、)
少し、
(俺が情報を広めるために情報屋を使っていることを知ってるなんて)
違っていた。
そう、今回の依頼は依頼料以上のお金を使っている。
そこはあっている。
だけど、新渚が考えている方法とは違った。来叶は元々、斬島カンパニー不正情報を持っていた。しかし、不正情報は広めないと意味がない。下手にネットで投稿しても揉み消されるのが関の山だ。
そこで来叶は信用できる情報屋10名に不正情報を渡し広めてもらった。
もちろん、情報を広めることも情報屋の仕事の一つ、さらに今回はリスクもかなりでかい。もし情報を広めたことが斬島にバレたとなったら命が狙われるし、広める前にバレたら、政府が率先して殺しに来るだろう。その場合は死の一本道を歩くことになるだろう。
なので一人あたり、5000万の依頼料を支払っている。
(やっぱり、新渚ちゃんは賢いなぁ~~~)
考えがズレている二人であった。
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裏話
・斬島カンパニーの大半の社員(不正に関与した社員を除く、不正に無理やり関与されてしまった社員は含まれている)は栄馬カンパニーが雇うことになり、ほぼ買収する形になった。
・来叶は新渚の叔父さんからの依頼料200万円をいつか瞬と新渚が結婚する時に費用の足しにしてもらうつもりで残しておいたが、新渚が有事で働くことになったため、今後の新渚の給料を依頼料から出すことにした。
・斬島父が自分を落としめた者が来叶達だと知っていた理由。来叶が依頼した情報屋の一人が効率良く広めるために自身の部下の何人かに広めるように頼んだ。その中の一人が斬島父の情報網にひっかかり、捕らえられてしまった。拷問されても情報を吐かなかったが、自白剤を使われ情報を吐いてしまう。その部下はその後、殺された。(来叶が依頼した情報屋も襲われたが、刺客を返り討ちにし、惨殺した)
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別にそう言うのじゃない
時は少し遡り昨日、私を含めた便利屋と医田さん達、商田社長と高級焼き肉を食べている時だった。
私はネギ塩タンを自身の口に運ぶ。
「う~~~~~~~~~ん!!!」
タンの旨味の業火がネギとレモンでさらに激しくなった。
何が言いたいかって、このタン、バカみたいに美味しいってこと。
カルビ、ハラミ、レバー、鶏もも、ホルモン、どれもバカみたい美味しい!!
「はぁ~~~~~~~!」
幸せだ。どれも美味しいすぎる。良い肉だからというのもあるが、それだけが美味しい理由じゃない。もう一つ理由がある。それは医田さんが焼いているからだ。
個室に入った瞬間、トングを持ち、肉が置かれ店員が背を向けると熱した網に肉をまばたきする間に肉が完璧な位置に置き、完璧なタイミングでひっくり返し、完璧な焼き上がりになった肉を素早く回収しみんな皿に置く。
その肉の美味しさは本来の旨さ1とするなら、医田さん焼いた肉は1200、これは箸が止まらない。
「お前・・・・以外と食べるんだな」
私の食いっぷりを隣で見ていた瞬が苦笑いを浮かべて言う。
「あんたに言われたくない」
あんた、一人で20皿は食べてたよね。しかも、20皿の内7皿はホルモンで、特盛のご飯を6杯は食べている。こいつ、バケモンか!!
「でも、確かに食べ過ぎたし、冷麺でも頼もうかな」
「あ、じゃあ、俺もたの・・・」
瞬がそう言い欠けた時、私は注文する時に使うタブレットに手を伸ばす。すると同じく瞬もタブレットに手を伸ばしており、瞬の手に触れてしまう。
「!!!」
私は肌が触れ合った瞬間、頬が熱くなり即座に手を引く。
「え、えっと、冷麺で、いいか?」
瞬は少し驚きつつも、タブレットを手に取り注文していいか私の分も注文していいか聞く。
「う、うん」
私は縮こまり視線を逸らし、小さく返事をして頷く。
「・・・・・・」
そんな、私と瞬の様子を見ていたお兄さんは黙ってビールを飲んで見ていた。
「お前ら・・・・・」
しかし、突然お兄さんはグラスを静かに置き私と瞬を見て、口角を上げ口を開く。
「本当は、付き合っているのか?」
「「え?」」
そう言われた私はじーーんっと頬が更に熱くなる。
「義兄さん、前も言ったけど俺と新渚はそんな関係じゃないから」
「でも、名前で呼び合ってるし」
「それは・・・・その・・・・・親友だから」
「ふーーーーん」
瞬とお兄さんが話し合っていた。次の瞬間、お兄さんの左隣に座っていた無寺さんがお兄さんを捕まえようと手を伸ばすが、お兄さんは少しのけぞって躱す。
しかし、それだけでは終わらなかった。何とのけぞった瞬間、お兄さんの右隣に座っていた続打さんがお兄さんの首根っこを掴もうと手を伸ばすが、お兄さんはそれすらも気づき、更にのけぞって躱す。
その後もお兄さんを止めようと二人は仕掛けるが、お兄さんはニヤニヤっと笑いすべて躱しながら話を続ける。
「はは、まぁでも、仲良くやっているようで安心したよ」
そう言うお兄さんの表情は安堵の笑みを浮かべており、さっきの言葉がからかうために言ったのではなく、私と瞬が仲良くやっているかを心配して言ったことがわかる。
「義兄さん・・」
「その調子だったら、きっと・・・・・・5、6ヶ月後には付き合うでしょ」
「「「「「「「!!!!!????」」」」」」」
お兄さんの発言に私は頬の熱さが広がり、顔が熱くなる。
「はぁぁぁぁ~~、来叶君、君って人は・・・」
「え?」
「智和君、これを」
今までの一部始終を見ていた商田社長はため息を吐き、左隣にいた無寺さんに無理やり札束を渡す。その札束は100万は確実にある厚さだった。
「えっと、これは」
無寺さんは少し困惑しながらも質問する。
「会計用のお金、私は医田さんと来叶くんで、行きつけのバーで飲み直すから、おつりは今回の依頼料として受け取ってくれ」
「は、はい」
無寺さんは少し困った表情を浮かべたが、渋々了承する。
「さぁ、行くよ、医田さん、来叶君」
「えぇ、今行く」
「え、えっと」
「来叶君、行くよ」
「・・・・・・・はい、喜んで」
お兄さんは商田社長の圧に押され、席を外す。それに医田さんも「じゃあ、みんなお休み」っと言い、その場を去る。
「あ、そうそう、瞬くん、幸田さん、明日の10時、生徒会室に来てほしい、二人に話がある人がいるんだ」
商田社長は席を外す間際、私と瞬の方を向いて言う。
「はい、大丈夫です」
「私も・・・・大丈夫・・・です」
瞬ははっきりとした声で返事をしたが、私は小さい声で返事してしまった。
「ありがとう、それじゃあ」
商田社長は優しい笑みを浮かべ、少し急いで個室から出る。二人を待たせないためだろう。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
その後、私と瞬は言葉を交わすことなく、気まずいまま解散してしまった。
明日、大丈夫かな。
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これからも話を書こうと思っているのでよろしくお願いします。
さきほど、裏話で出てきた来叶が信用している情報屋は今後出る・・・・かもしれません。




