22話 本性
「う、うぅぅ・・・」
私はまぶたをパチパチしながら目を覚ました。
確か、私は町田と帰っていて、町田の家に着いて、町田にあの事を問いただして、それで。
「そうだ、私!!」
体を動かそうとするが動かない、私は自分の状況をよく見る、椅子に座った状態でいて、両手両足を縄を使って括り付けられている、なるほど動けないわけだ。
自分の状況がわかったので私は周囲を見てどこにいるのか確認する。どこかの一室で私はその中心にいる、私から見て真正面と右の壁に窓があるがすべてカーテンでがっちりと閉めらている。真正面の窓の近くに勉強机とオフェスチェア、右の壁の窓の近くにベッド、私の丁度真後ろにドアがある。
そして、この部屋で一際異彩を放っているのは私から見て左の壁にくっつけている棚の上に置いてある人形だ。赤髪、白髪、青髪、緑髪、金髪、銀髪の6種類の人形が並んで置いている。すべての人形に共通点があった、髪がロングでワンピースを着ていることだ。
一見すると、普通の人形だ、ただ・・・・・何か気持ち悪い。
私がそうして怖がっていると後ろからドアノブを回す音が部屋に響きドアが壁にぶつかる音が聞こえる。私は限界まで首を右に曲げ、後ろを見る。開いた先にいたのはやはりと言うべきか、町田だった。
「あれ、もう起きたの、思ったより早いね」
開口一番に町田はいつものさわやかな笑顔で言う。
「私が起きたから、開けたんでしょ」
「さすが、新渚ちゃん、ばれたか」
私が指摘すると、町田は醜悪な笑みを浮かべながら勉強机に近づきオフェスチェアを私の椅子前まで移動させ、座って問う。
「さて、いじめられて満身創痍の中で何で俺に気づいたのかな?」
「ボコられている時って、誰でもいいから助けを求めたくて周囲を見るものなの」
「なるほど」
町田は私の返しに納得する。
あれはそう、斬島達にいじめれられてから一ヶ月経った頃、イケメンをふった私に斬島が怒っていじめが激しくて志透のスキルが発動してない時、あの時の私はまだ希望はあると信じていた、知らない誰かが見つけてくれたら助けてくれると思っていたから、そして、絶好のチャンスが来た!! その時の私は周囲を見る、町田が建物の屋上でこちらを見ていた。
私は喜びのあまり、こんな状況なのに笑みを浮かべた。
だけど、すぐに希望は絶望に変わった。町田の表情が、彼の笑みが、とてもとても醜悪だった。
その後、私の笑みを見た斬島は苛立ち、いじめが激しくなった、それでも、町田は助けてくれず、いじめが終わるまで表情を変えずにこちらを見ていた。
私は町田に問いただす勇気もなく、今まで普通に接してきた。
そして、いじめから救われた今、余裕ができたので聞いたが、こんな結果になってしまった。
「私からも質問するけど、何で私がいじめられている時、あんな表情をしたの、何で拉致したの?」
私は怖いが、平常をよそおいして質問する。
「うん、いいよ」
町田は頷くと立ち上がり私の髪を優しく持ち上げ、私の髪を舐める勢いで町田の唇に近づける、キモッッッ!!!
「俺ってさ、女性の髪が好きなんだよね」
「は?」
「特にロングで、美女の髪は・・・素晴らしい!!!」
町田はそう言いながら、私の髪から手を離し、両手を広げ、天井を見上げ笑う。
「もう、もう、もう、もうもう!!!! 見てるだけで興奮して・・・・・勃起してしまう」
「!!」
町田の笑みがさらに醜悪になり、気持ち悪さが増す。
「もう、ロングの美女を見ると勃起して仕方なくてさぁ、だから襲っちゃた」
「・・・え?」
私は町田があまりにも意味不明なことをさらっと言うので、理解が追い付かない、それでも町田は楽しそうに話を続ける。
「初めては、小6の時、同じクラスの赤髪の速水ちゃん」
「?」
「いや~、簡単だったよ、俺小5の頃からこの一軒家で一人暮らしだったから、自分の家に来ないか言ったら簡単に着いて来てさ、簡単に拉致できたよ、その後は楽しかったよ、今の新渚ちゃんみたいに縛って襲ってやったよ、たくさんやったなぁ~、特にやっている時の速水ちゃんのあの怯えた顔がさ~最高だったよ、まぁでも、三日で飽きて、殺したけどね」
町田は気持ち悪く笑いながら言う。
「その後も、我慢できなくて、襲った女性が五人いて、白髪の柏木ちゃん、青髪の上田先輩、緑髪の森田ちゃん、金髪の鉱田ちゃん、あ、銀髪の堀山さん! あの人が一番よかったなぁ~、中3時にやったんだけど、あの人、大学生で俺とやろうとしてたから、逆に躾けて、やったよ、あぁ、あの顔、最高だった」
私は町田の話に恐怖し体が震える、そして、あの人形が異彩を放っていた理由がわかった。
「ま、まさか、あの人形は!!??」
「あぁ、あれは、自慰用に彼女達の髪を切って、人形に着いてあった髪を引き抜いて、違和感ないように彼女達の髪を付けたんだよ、どう、うまい」
「!!」
私は更に体が震え、冷汗をかくが、町田は私の髪を触りながら言う。
「君を初めて見た時、一瞬で勃起したよ、黒髪ロングの清楚美人、モデル顔負けのスタイル、襲いたくてたまらないよ、本当はあの時、家に呼ぶため探していたんだよ、でも、あんなの見たからね、さすがに斬島から横取りはできないよ、まぁ、でも、見てただけでも、俺は満足できたよ」
私はそう言われ自分がどうされるか想像してしまい、過呼吸になる。
「君は、これまでとは比べ物にならないほど、楽しめそうだ」
町田はそう言うと自身の唇を舐めながら私の両肩を両手で掴む。
「!! 誰か!!」
私は叫んで助けを呼ぶが返事がない。
「無駄だよ、この家の防音は完璧だ」
町田はそう言うと自身の唇を私の唇に近づける。その時、インターホンが鳴る、町田は舌打ちをし、体勢を正しドアに向かう。
「タイミングわりぃーなー、近所のババぁどもか」
町田は苛立ちながらドアノブに手を掛けた、瞬間誰かの叫び声が聞こえる。
「たーーくーーはーーいーーーーでーーーす」
「「!!!」」
その声はここ一年で聞き慣れた声だった。
「お届け物は、罰です」
「何で、わかった!!」
町田は焦り、更に苛立ちが増す。
「瞬!!」
私は叫び声の主の名前を言う。
読んでいただきありがとうございます。
評価は自分がこれくらいかなと思った評価でいいので、下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を押してくると嬉しいです
面白い、続きが気になる人はブックマークをしてくれると嬉しいです。
誤字があったら報告してくれると助かります。
良い点でも悪い点でもいいので感想をくれると、助かります。
みなさんが少しでも面白いと思えるように頑張ります。
これからも話を書こうと思っているのでよろしくお願いします。




