19話 最強の便利屋
「てめぇ、何してんのかわかってんだろうなー!!」
アスマの声に怒気が宿り、来叶に向かって言い放つ。
「何って、愚者を殺した、それ以外に何をしたと言うですか?」
来叶の言葉を聞くとアスマは眉間にシワを寄せ叫ぶ。
「お前!!信徒ではないな、誰の差し金だ!!!」
「そこで気絶している人が勤めている会社の社長の差し金だ」
((いや、何素直に言ってんの!?))
アスマの質問に普通に答えた来叶を見て二人は心の中でツッコミを入れる。
二人がそう思っていると来叶はリボルバーをしまいながら二階から飛び降り一階に着地する。
「さてと、ちゃちゃっと終わらせるぞ」
そう言うと来叶は二人に視線を送る、二人はため息をし瞬は二階から小石を投げる、小石は来叶の左側に落ちそれを見て瞬は指パッチンをし小石と位置を入れ替える。
智和は両靴に付いてある4つのダイヤルのうち一つを左右とも回す。すると、靴底から小型の竜巻が発生し飛行、そのまま来叶の右側に行き、竜巻は消え着地する。
それを見たアスマが驚きの表情を浮かべ言う。
「まさか、お前ら、来未団のトップ3か?」
「あぁそうだ」
((この人はまた))
それを聞いたアスマは気持ち悪い笑みをを浮かべる。
「そうか、そうかそうか、やったぜ!!! こいつらを殺せば『リセット計画』の信憑性が格段に上がる、あの人も喜ぶ」
(? あの人、まぁ、いいか)
そう言うとアスマは天井に手のひらを見せる様に片手を上げ叫ぶ。来叶はアスマの発言に少し違和感を感じたが、対して気にしなかった。
「みなさん、こいつらは神敵です!! 排除なさい」
次の瞬間、観客席にいた信徒たちが二階から一階から飛び降り、三人を囲む。
三人を囲む信徒の数は約400人。
来叶は観客席を見る、さっきと比べると少ないが信徒が数十人いた、全員俯いていてどこか怯えている様に見える。
「そこにいるのは、無理やり入信させられた人たちてことでいいか・・・・これは襲撃は俺たちが初めてじゃないな、相当自信があるようだな、道理で入りやすいわけだ」
それを聞くとアスマは信徒の後ろに下がりながら高らかに笑い言う。
「そうだよ、400人も戦う信徒がいるんだ、わざわざ面倒なことをする必要なんてないのさ、ははは」
(なるほど、この数なら警備も手荷物検査も必要ないてことか)
「さぁ、おしゃべりの時間は終わりだ、みなさん、彼らに天罰を!!!」
次の瞬間、約400人の信徒が三人に襲い掛かる。
その頃新渚は栄馬カンパニーの茶室で商田社長とお茶を飲んでいた。
「いや~~、おいしいでしょ、幸田さん」
「・・・・・」
新渚はうつむいたまま黙る、商田社長はその様子を優しく微笑んで言う。
「・・・・三人のことが心配かい」
「!!・・・はい」
新渚は商田社長の目を見て少し間を空け返事をする。
「大丈夫だよ、三人なら」
「で、でも、もしものことがあったらと思うと私、不安で」
新渚がそう言うと商田社長は真面目な顔になって語る。
「彼らは本当にすごい子たちだよ」
「?」
「彼らが一年前までいた組織『由安』は日本の秩序を裏から守る組織だ」
「・・・」
「由安には三つ団がある、情報の収集、情報の統括、負傷者の治療をする『在現団』、組織の資金管理、捕虜の拷問をする『去過団』、そして三人が所属していた団、国を脅かす者どもを暗殺する『来未団』」
「・・・」
「三つの団は裏世界では有名だ、特に来未団はすごかった、国にたてついたら奴らに必ず殺されるから『来未団だけは敵対するな』とよく言われていたよ、三人はそこでトップ3していたんだ」
「あの三人が・・・」
「三人にはそれぞれ異名があった、あらゆる銃を完璧に使いこなし、『撃てば千万発千万中』と言われるほどの実力を持っていた瞬君には『銃天』、武器、道具、機械を作り出し、それを使って敵を蹂躙する智和君には『機天』、そして、圧倒的強さですべての敵を無慈悲に殺す来叶君は『死神』と呼ばれていたよ」
「・・・」
「ま、簡単に言ったら由安・・・来未団は『最強の暗殺組織』だよ、今は最強の便利屋だけどね」
商田社長はそう言うと少し悲しい顔をしていた。どこか、後ろめたさを感じるような。
その頃三人は信徒100人の死骸の中心にいた。
「・・・・・は?」
アスマは驚きのあまり変な声を出す。
30秒前、約400人の信徒が三人に襲った。
「智和、爆弾、俺はシールドを張る」
「了解」
来叶の指示を聞くと智和は返事すると同時に右斜め、左斜め、後ろ右斜め、後ろ左斜めに黒いキューブを投げる。
投げたことを確認した来叶は自分の足元に青い玉を投げつける、すると青い玉は来叶を中心に青い5㎥の立体になり、三人は立体の中に閉じ込められる。
「ぷ、何だそ・・・」
アスマが笑った、次の瞬間黒いキューブが白く光り爆発した。
黒いキューブの近くにいた100人の信徒が爆発をもろにくらい、悲鳴を上げることもなく爆散し絶命した。三人は立体のお陰で爆発をくらわずにすみ立体は塵になり飛ばされて消える。
そして、現在に至る。
アスマと信徒達は仲間の悲惨な姿を見て怯え悲鳴をあげる者、発狂する者もいた、観客席からも悲鳴が聞こえる。
「はぁー、やっぱり大したことないな」
来叶はわざとらしくため息をし言う。それを聞いたアスマは怯えながらも顔を真っ赤にして来叶に指差ししながら信徒に指示を出す。
「あ、あの舐めたやつを殺せ、殺せ殺せ!!」
それを聞いた信徒達は大半は動かなかったが、10人ほどの信徒がスキルを発動させながら来叶に叫び襲い掛かる。
来叶は襲い掛かる信徒達の距離差が1mになると服の両袖からナイフを出し掴む。
来叶は襲い掛かる信徒達を次々と一瞬で通り過ぎ、通り過ぎる間際にうなじを切り信徒を絶命させる。
「これじゃあ、残虐ショーじゃねぇか」
来叶は悲しげにそう呟く。
「あぁ、あぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁ!?」
「助けてぇママぁー!?」
それを見ていた信徒達はさらに発狂、悲鳴を上げ誰かに助けを求める。
そんな中、アスマは恐怖していたが信徒達を叱咤する。
「み、みなさん、だ、大丈夫、大丈夫ですよ、こちらは300人、あっちは三人勝てます、勝てますよ!」
「そ、そうだ、こっちは300人だ、小手様の言う通りだ」
「そうだ、勝ってるぞ!!!」
アスマの叱咤に信徒達は士気を上げ戦闘体勢に入る。
「瞬、後は頼む」
「はい、義兄さん」
瞬は返事をすると智和に貰った黒いキューブを取り出し強く握る。
すると、黒いキューブはミニガンになる。
「うわ、おっも!」
瞬は突然の重さに少しよろけたが、すぐに体勢を整え信徒に銃口を向ける。
「死ね」
そう冷たい声で一言発すると瞬はミニガンの横に付いてあったハンドルを回す。
「ぐはぁ!!!」
「ぶはぁ!!!」
「こ、小手様たすけぐはぁ!!」
けたたましい銃音と共に信徒達の悲鳴が響く。銃弾は信徒を貫き後ろで縮こまっていた奴らも襲い、血飛沫を上げる。それはまるで噴水ショーのようだった。血は高く飛び散ってゆく。地面を紅色に染め。
「二人とも後ろに」
「おう」
「わかった」
二人は瞬にそう言われると瞬の背中にくっつき、瞬は二人が背中にくっついたことがわかると体を回し信徒全員に銃弾を放つ。
そうすると、さらに悲鳴が増えた。さらに地面が紅に染まった。
「ち、玉切れか」
40秒後、瞬は舌打ちしガトリング砲を地面に置く。
「いや、十分だ」
来叶はそう言うと周りを見る。信徒達は全員死に生き残っていたのは信徒を盾にしたアスマだけだった。
「さぁ、死のうか」
来叶はアスマに近づく。
「ひぃー!!」
アスマは腰を抜かし後ろに下がる。
「死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない」
アスマはそう言いながら懐から白い長方形の箱を出し開け、中にあった物を取り出す、それは怪しく光る液体が入っている注射器だった。
「・・・SNKか、そんなもの使っても、悪あがきにすらならない」
「死にたく、ない!!!!」
アスマは自分の腕に注射器を刺し液体を体内に注入し、四つん這いになり雄叫びを上げる。
アスマの体がどんどん毛深くなって大きくなり、全長10mの狼になり再び雄叫びを上げる。
そして三人を見るや否や来叶を右手で叩き潰そうとする。
来叶は前に、智和と瞬は左右に出てかわし、来叶はかわし際に右手の腱を切り、そのまま一瞬で左足に行き左足の腱を切る。
「はぁー、かたくねぇー」
来叶は右手に持っていたナイフを懐にしまいながらアスマの腹の下まで行き、右手でリボルバーを持ち右足に一発、左手に一発放ち撃ち抜く。
アスマは体制を崩し横に倒れ人間に戻る。
来叶は倒れているアスマに近づき、銃口を押し付ける。
「た、助けて、命だけは、命だけは!!」
アスマは両手、両足を血まみれになりながらも無様に許しを乞う。
それを見て来叶は軽蔑した目で冷たい声で言い放つ。
「だめだ、お前はやり過ぎた」
次の瞬間、銃音が・・・響いた。
読んでいただきありがとうございます。
評価は自分がこれくらいかなと思った評価でいいので、⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎押してくれださいお願いします。
面白い、続きが気になる人はブックマークをよろしくお願いします
誤字があったら報告してくれると助かります。
良い点でも悪い点でもいいので感想をくれると、助かります。
みなさんが少しでも面白いと思えるように頑張ります。
これからも話を書こうと思っているのでよろしくお願いします




