2話 日常その1
目を開け、時計を見ると5時半になっていた。
家に帰宅したのが19時でその後すぐにベットに行ったので約10時間寝た。
疲れてシャワーを浴びなかったからだろうか、なり臭う。
私はシャワーを浴び、制服に着がえ朝食を作る。トースターで焼いた食パンに目玉焼きをのせたものとさっき作った野菜の皮から出汁をとったポトフを食べる。
食べ終えた後、食器を洗い、歯を磨き、私は「いって来ます」と言い、アパートを出た。
聞く人はいないのにおかしいものだ。
私はとぼとぼと歩き学校に向かう。正直、今からでも体を180度回転させ、家に帰って家に引きこもり、学校を休みたい。学校へ行っても・・・あいつらにいじめられに行くようなものだから。
でも・・・・もし私が休んだら、他の生徒がいじめにあうと思うと休むことができなかった。
結局、わたしは苦悩しながら今日も登校する。
13分ほど歩くと学校に着いた。少し年季を感じる汚れた校舎。さすがに一年も通えば見慣れたもので、入学当初は汚いと思っていたが、今では少し愛着すら感じる。
私は最低限前を向きながら、門を潜り教室に向かう中、沢山の視線に晒される。
特に男子がいやらしい目で。
女子からは嫉妬の目で。
いつものことだ。私は容姿が人より数十倍は良い、異能力が無かった私が磨けるものは勉強と礼儀、容姿ぐらいしかない。
なので私は徹底的に容姿を磨き、勉強を毎日欠かさずやり、礼儀正しく生きた。結果、勉強は学年一位、礼儀作法は完全にマスター、容姿は街中を歩けばモデルのスカウトが8回声をかけるくらい(全部断っている)の容姿を身につけた。
まぁ、そのせいで斬島達にはいじられているけどっと考えると、何のために努力したのか。私はそう考え数分前より重い足で階段を上がり、教室に着きドアを開ける。
「おはよう幸田さん」
教室に入った途端、すぐに爽やかにあいさつをしてくれたのはクラスメイトの町田氷介だった。
生徒会に所属していて、2年A組のリーダー的存在でコミニケーション能力はかなり高い、しかもかなり顔立ちは整っている。
「おはよう町田くん」
すかさず、私は無理やり笑顔を浮かばせる。
「いや〜〜今日も暑いね。まだ5月なのに」
「そうだね。今日は25度なんだって、この制服じゃ、さすがに、、、ね」
町田は発言に対し、私は苦笑いしながらそう返す。
私たちが通う学校私立規唯高等学校は進学校で偏差値は何と71という名門校だ。
私は特待生で学費を全額免除して通っている。
偏差値が高いのと学費が全額免除できるのでこの高校を選んだが、この学校を選んだことを私は後悔している。いじめられていなくてもだ。
「この学校て古くさいよね」
町田は俯き頭を抱え苦い顔をし本音を吐露する。そう町田の言う通りこの学校は古くさい。
設備は最新の物が揃っているが、伝統を重んじるという理由で無くした方がいい校則をわざわざ残している。
スマホはホームルームに一斉回収。制服はブレザーで夏服はない。などの校則が残したままだ。今時スマホを学習に転用しないなんて、正直意味がわからない。
今は教科書は電子になり、課題をスマホで送信して済ませるのが主流なのに、わざわざ、紙の教科書を使用したり、課題を学校で直接渡すという効率が悪い方法を今でも採用している。
制服も夏服がないので年中長袖になるので冬はどうにかなるが夏は地獄だ。
「はぁー。生徒会でも何度も議題にあげているんだけどね先生方が許してくれなくて。何が『伝統を重んじる』だよ!ただの嫌がらせだよ」
「あ、あはは生徒会も大変だね」
ため息をつき、愚痴を言う町田に対し、私は苦笑いを浮かべ、少し町田に同情する。
「本当に大」
「氷介くん、おはよう」
町田の話し続けようとした、その時、斬島が話を遮り出会って早々、無理やり町田の腕を組ませる。
「き、斬島さん、おはよう」
町田は笑ってあいさつをするが、どうみても嫌がっている(町田と斬島は付き合っていない)。
「あ、新渚も、おはよう」
「うん、おはよう」
斬島が笑顔であいさつをしてきてので、私も笑顔であいさつをする。
「き、、斬島さん、はなれてくれると助かるん、、だけど?」
「え~いーじゃんこれくらい。ちぇ~~」
嫌がる町田を見て、嫌々ながらも斬島は渋々町田の腕を離す。
「あ、新渚少し話があるんだけど?」
斬島はそう言うと私の耳元まで自分の口を近づける。
「人の男にちょっかいかけてんじゃねーぞ。氷介は私が狙ってんだよ、仲良くすんな!!」
斬島はまるで友達と楽しく話している時のような笑顔で私以外には聞こえない小さい怒気と嫉妬がぐちゃぐちゃに醜く混ざりあった声で言った。
「うん、わかった」
「うん、よろしく」
町田に悟られないように私は適当に返事をし、斬島も私の返事に合わせる。
いつものことだ。5人にいじめられる前から私は町田と仲が良かった。1年の時、勉強を教えたことをきっかけに町田とは仲良くなった。
正直、話しかけないでほしいが、せっかく話しかけてくれるのに無下にすることはできない。
「おーい、斬島、町田ちょっと来てくれないか?」
2人の呼ぶ声がしたので、私たちは声が聞こえた方向に振り向くと廊下に担任の女教師が2人を呼んでいた。
「何ですか先生?」
町田が少し声を張りながら要件を聞く。
「少し手伝ってほしいことがあって、頼めるかしら?」
「いいですよ。」
「私も」
町田は頷きながら、斬島は手を挙げ左右に振りながら返事をする。
「じゃあね、幸田さん」
「また後でね、新渚」
「うん、また後で」
町田と斬島は手を振りながら、笑顔で先生のいる廊下に向かった。
2人がいなくなった後、私は少し視線を落とし自分の席である窓際の席についた。
「相変わらずあの2人と仲いいね」
背後から声がしたので、咄嗟に後ろを向く。
「おはようございます、幸田さん」
後ろにいたのは隣の席の男の子。
「はぁー、おはよう、空原」
ため息をしながら私はあいさつを返す。
「おいおい、なんで溜息をする?」
「いや、今日もあなたの顔を見なきゃいけないと思うとついね」
「ひどくね」
私が笑いながら冗談めいたことを言うと空原瞬は今にも泣きそうな顔で落ち込む。
空原瞬。二年A組の中心人物でとても明るい人。
去年6月に転校してくるなり、持ち前の明るさとコミ力の高さで、1ヶ月経たない内に町田、斬島に並ぶ学年を代表する生徒になった。
そして、
私は彼のことを親友だと思っている。
空原がこの学校に転校した直後、学校の案内人に私が選らばれ、それをきっかけで一気に仲良くなった、以降気が合い、仲がすごく深まった。
「で、何か用?」
「うん? 友達にあいさつするのは当たり前だろ。用なんて・・・それ以外にあると思う。」
「あんたがちゃんと『おはようございます』ていう時はいつも私に頼み事がある時・・・でしょ」
私は空原に鋭い視線を送りながら言う、すると空原はそれに対し不敵に笑う。
「流石幸田さん。察しがいい」
空原は軽く拍手し賞賛の声を上げる。やはり空原は私に何か用があるようだ。
「課題を見せて」
空原は太陽のような明るすぎる笑顔で懇願する。
「やだ」
私がそう即答すると空原は膝から崩れ落ち、その勢いのまま土下座する。
「頼むぅぅぅ、マジでやばいんだよ~~~。この課題ださなきゃ、留年するかもしれないだ。頼むよぉぉぉぉ!」
空原は自身の額を床に擦りながら私に懇願する。そんな空原の姿を見て、クラスのみんなが笑う。中には腹を抱えている人も。
この人にプライドはないのか、出会ってからずっと私は思う。
「はぁー、ちゃんとやったの?」
私は呆れながらも質問する。せめて、何度かやってから写させてと言っても欲しいものだ
「もちろん、やったよ」
空原は顔がぐしゃぐしゃなまま勢いよく顔をあげる。
「けど・・・・・けど・・・・・けど全っっっっっっっ然わからないんだよ。」
空原は悔し涙を流しながら、拳を床に何度叩き続ける。そう、空原は別に課題をやってない来てないわけじゃない。
ただ・・・・勉強が全くできない。
だから、私がいつも課題を見せている。
正直、何で規唯を受けた?
何で転入試験に合格できた?
そもそも、何で一年生の6月に転校した?
私はいつも疑問を抱く。
「はぁー、学食奢ってくれるならいいよ」
私は空原が何やかんだ留年するのが嫌なので、承諾する。正直、こいつがいないと・・・・寂しいし。
「まじで!!ありがとう。さすが、俺の親友だ」
空原は私を神に感謝するように何度も「ありがとう」と言った、私はそれに対し目を瞑り、右手の5本の指を額にピッタっと当てながら溜息をついた。
その後、私はやった課題を見せ、空原は急いで写し、ホームルーム5分前に課題を写し終えた。
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