14話 ごめん
「おーい、お前らー、生きてるか?」
空原は先生方、斬島兄、斬島達の前に行き、呼吸をしてることを確認する。
「うん、生きてるな、よーし俺と幸田は早退しまーす!」
そう言った空原は浮いたドローンに近づく、するとドローン三機が床に着地する、空原はそれを回収し教室を出る。
私もそれを見てスクールバッグを待ち教室のドアに手をかける。
「幸田さん!!」
「?」
私を呼ぶ声が聞こえたので私は声の聞こえた方向を向く。聞こえた方向には石田さんがいた、後ろには後藤さんと山田さんもいる。
私が見たことを確認した石田さんは後ろにいる二人に視線を一度合わせ、またこっちを向き泣きながら言う。
「「「ありがとう!!!・・・・・救ってくれてありがとう!!!」」」
「・・・いいのよ、お礼なんて、むしろお礼を言うのは私だよ」
本当にそうだ、三人が行動を起こしてくれたから、今、私は安心できている。
三人がいじめられているところを見たことで私はいじめられた、多分三人は私がいじめられてからとてつもない責任を背負っただろう、その重さはよくわかる。
けど三人は加害者じゃない、被害者だ。責任を負う必要もないのに。
そもそも私は救ったなんて思ってない、むしろ、三人に責任を持たせたのは私、私の方が加害者だ。
だから、助けてくれた三人にはお礼を言いたかった。
「助けてくれてありがとう」
私は満面の笑みで感謝を伝える。
「う、うぅぅ」「ひく、ひく」「ずうう、」
それを見た三人はさらに泣き、嗚咽する。
「う、うん」
石田は泣きながら頷いて返事をする。
私は三人に手を振りながらドアを開け、教室を去り空原を追う。
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30分後
私と空原は無言で帰っていた。私は昨日空原に送ってもらった時は無言に少し気まずさを感じていたが、今はこの無言が居心地が良い、不思議なものだ。
「・・・・・・やりすぎたと思うか?」
空原が無言の中口を開く。
「え?」
「いや、幸田、作戦を聞いた時、少し躊躇っていたからさ、一応聞こうと思って」
「あぁそっか・・・・・・いや、やりすぎたと思ってないよ」
いや、少し違うな。本当はこの作戦を聞いた当初は流石にやりすぎたなんじゃないかと思った、けど、斬島達、特に斬島はどんなに説いていても、意味がない、だったらいじめができない環境にする、それしか止める方法がないと私も思ったから意義を唱えなかった。
「そうか、ならよかった、じゃあ、お前ちゃんと家に帰れよ」
「え、事務所じゃなくて?」
「あぁ、とにかく帰れよ」
空原はそう言いながら、クラウチングスタートの体勢をする。
「じゃあな」
空原は踏み込み全力疾走で去る。
「あ、ちょてはや!!!!」
私が声を掛けようとした時には空原は団子ぐらいの大きさに見えていた。
一瞬追う事を考えたが、空原の100m記録は10秒、私の記録は17秒、追いつくことは不可能。
私はそのまま軽い動きで帰路を辿った。今までとは対照的に。
それからゆっくり鼻歌を歌っているいつの間に住んでいるアパートの部屋の前まで来た。
私は鍵を取り出し、鍵を鍵穴にはめるが、違和感がある。
私は鍵を外し、ドアノブを握り、ドアを開ける。
「え?」
私は自分の目を疑った。ドアの先に叔父さんと叔母さんがいた。
「え・・・あ・・・・え?」
どうしよう、何を言えば言いんだろう「ありがとう」、「久しぶり」・・・・・・何を言えば。
パシッ!!!
私が何を言えばいいか悩んでいると叔母さんが私に近づき私の頬に平手打ちをされ視線がズレる。
私はゆっくり視線を叔母さんに向ける・・・・・叔母さんは大粒の涙を流していた。
いつから泣いていたんだろう、私が部屋に入った瞬間、私の帰りを待ってる時から、ドアを開け、気付いた時に私は叔母さんの顔をちゃんと見ていなかった。
私が考えていると、叔母さんが抱きつき泣きながら言う。
「バカ!!!! 本当に!! 何で頭良いのに助けを呼ばないの!!!!」
叔母さんは抱きつく力を強めながら言う。
「本当に、本と〜〜に心配したんだから!!」
叔母さんは周りを気にせず泣き叫ぶ。
「あ・・・・・」
私はあの時、涙を出し切ったと思っていた、けど出し切っていなかったらしい。
だって・・・・私は今、大粒の涙が雨のように流れ全く止まらないのだから。
「ごめん・・ごべんなさい、ごめんなさい、叔母さん、叔父さん、ごめんなさいぃぃぃ」
私は泣きながら叔母さんに抱きつき返した。
「・・・本当よ、もう、この娘は」
叔母さんは抱きつく力を弱めて優しく抱きしめる。
「本当に・・よかった」
叔父さんも涙をこぼしながら私達を抱きしめる。
そうされると私はさらに泣き、泣き続けた。
「ぜーはぁ、ぜーはぁ、ぜーはぁ、はぁ・・・よかった」
俺は全力疾走し、めちゃくちゃ遠回りしながら幸田達が見えない位置で見守っていた。
めっちゃくちゃ疲れた。
俺は一旦下を向き、幸田達を見る。幸田が二人に抱きしめられながら人目を気にしな・・・・いや気付いてないだけだな。
『ごべんなさい』
「・・・・・・・」
幸田の心のこもったごめんなさいを聞いた時、俺は思い出す。
『ごめん、ごめん、ごめん』
あの時の後悔を。
「・・・、ごめん」
俺はそう言った後、静かにその場を立ち去った。
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