10話 楽しかったあの頃
「***、はやく〜〜」
「はぁ、はぁ、まってよ、にいなちゃん。」
私達は公園で鬼ごっこをしていた。
私が逃げて、***が鬼。
***はばってていた。まったく情けない。
「はぁ、はぁ、まってよにいなちゃん」
***が弱弱しいな声で必死に叫ぶ。
私は放っておいて逃げ続ける。
「ま、まってよ、もうぼくはしれないからまけでいいよ」
それを聞いた私は走るのをやめて止まる。
「はぁ、***はたいりょきゅないな〜」
「し、しかたがないじゃない、にいなちゃん・・・はやいもん」
***は泣きそうになりがらも私の傍まで来る。
「も〜、いちいちなかない!!! だいじょぶ、だいじょぶ」
私は***の瞬の頭を撫でる。**おねえちゃんの真似だ。
「ぐす、ぐす・・・・・・うん」
***は涙を拭い、真っすぐな目で私を見つめる。
「うん! そりゃでいい。」
私はその様子を見て安心し、近くにあった滑り台に向かって走り、滑る部分をよじ登る。
「あ、にいなちゃんだめだよ、ちゃんとかいだんからのぼらないいと」
私は登り終えた時***を見下ろす。
「***、しらないいの?おちてはやぶるためにこそあるんだよ」
「? おちてってなに?」
私は姿勢を正し、滑り台を滑りながら***に言う。
「るーるのことだよ、***もやっててみれば?たのしいよ!!!」
私は滑り終えると***に駆け寄り誘う。
「・・・・・・・・いっかい・・・・いっかいだけだよ」
そう言うと***は滑り台の滑る部分をよじ登る。登っている時の***は楽しんでいるように見えた。
「やっほーーーー」
***はそう言って両手を広げ満面の笑みを浮かべて滑る。
「ははは、たのしいね」
***はそう言いながら私に駆け寄る。
「*!!!」
「え?」
***は声を掛けられた方向を向くと、***のおねえちゃん、**おねえちゃんがぷんぷんしていた。
「お、おねえちゃん」
「もう!! あそこからよじ登ったらだめでしょ!!!」
**おねえちゃんは***の顔に自身の顔を近づける。
「に、にいなちゃんがすすめられて」
「わたちはとめたんだよ、**おねえちゃん」
「こら! 言い訳しない」
「いたっ」
**おねええちゃんは***の頭を軽くこずく。
「う、うぁぁぁぁぁぁん〜〜〜、にいなちゃんがいったのにーーーーー」
***はぎゃん泣きした。
「はははは」
私はその様子を見て腹を抱えて笑った。
「・・・・うぅうん」
私は小鳥の朝の合唱を聞きながらゆっくりと目を開ける。
「・・・・・久しぶりに・・・・見た」
斬島達にいじめられ始めてから、怖い夢しか見れなかった。
見る夢は斬島達にいじめられる夢やみんなに笑われたり、みんなに失望されたり。
私は私が恐れている夢しか見れなかった。
「・・・・・・あの二人・・・・・何してるんだろ」
今日見た夢は私が5歳の時に同い年の子と遊んだ夢。
どうやって知り合ったのかはもう忘れたが、弱気な黒髪の男の子とよく遊んでいた。
当時の私は何もしてないのに自信に満ち溢れて、地域のガキ大将だったと思う。
だから、男の子を弟のように可愛がり、よく夢のように悪いことを無理矢理させていた。
今思えば男の子には申し訳ないことをした。
そして、私たちが悪いことした時、よく叱ってくれたのが男の子のお姉さんだった。
まぁいつもタイミングが悪く、男の子がだけが怒られることが多かったけど。
そんな、楽しい日々が続いていた、けど・・・・小学校入学直前に二人はどこかに行ってしまい、交流がなくなり会っていない。
今、どこで何をしてるかもわからない。そして、二人との記憶はどんどんおぼろげになっていき、今では、もう名前も顔もわからなくなっていった。分かるのはあの弱々しい声だけ。
「・・・・・準備しなきゃ」
そう言い、私はベッドから立ち上がり、学校に行く準備をする。
そして、準備ができ学校に行こうと玄関に向かう。するとインターホンがなり、私は荷物を置いて扉をあける。
そこには、笑っている空原がいた。
「よう、学校一緒にいこうぜ」
そして、明るい声で空原が言う。いつもと変わない明るい声と太陽のような笑顔で。
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