中古のドラグナークエストに入っていたパスワードのメモ書き
挿絵の画像を作成する際には、「AIイラストくん」を使用させて頂きました。
大掃除の時に押入れから出てきたゲーム機は、お父さんが子供の頃に遊んでいた年代物。
だけど今でも普通に動くから、時々借りて遊ばせて貰っているんだ。
レトロゲームは攻略法も出回っていて早解きし易いし、レアゲーを除けば中古で安く買えるから、お小遣いの少ない女子小学生には有り難い存在だよ。
この日も私はお小遣いを握って中古屋へ行ったんだけど、そこで手頃なソフトを見つけたんだ。
「おっ、『ドラグナークエスト』の一作目じゃない。この値段で箱説付きなら文句なしだよ。」
本格RPGとして発売された「ドラグナークエスト」の起こした社会現象は、後追い世代の私も知ってるよ。
だけどヒットしたって事は、裏を返せば中古市場に沢山ソフトが流れるって事でもあるんだよね。
だからこそ箱説付きの良品を安く買えたんだけど、このソフトには意外な秘密があったんだ。
「あれ、この紙は何かな?」
嬉々としながらソフトを開封した私は、説明書に挟まっている紙に気付いたの。
意味をなさない二十字の文字列は、ゲームを再開するのに必要なパスワードだとすぐに分かったんだ。
バッテリーバックアップによるセーブ機能が搭載される前のゲームソフトは、この方法で進捗状況を記録してたんだよね。
「前の持ち主の品だね…よし!」
好奇心の湧いた私は、このパスワードからゲームを再開してみる事にしたんだ。
「戦士わにぶち、商人こがねの、そして女僧侶おぐめぐ。友達の名前かな?では、勇者は…ん?」
パーティのメンバー名を確認していた私の目は、勇者の名前に釘付けになってしまったの。
「勇者のぶひさ、これは…」
何しろ私のお父さんは枚方修久って名前だからね。
偶然かも知れないけど、聞いてみる価値は有りそうだよ。
会社から帰宅した時を見計らって尋ねたら、思った通りだったよ。
例のソフトの持ち主は、やっぱり子供の頃のお父さんだったみたい。
そして案の定、キャラ名も同級生が由来だったの。
戦士はガキ大将で商人は社長令息、そして女僧侶はクラスのマドンナの名前なんだって。
「新作ソフトが欲しくて中学の時に売っちゃったんだよ。まさか京花が買うだなんてね。」
「あのゲーム屋は老舗だから、上手い具合に売れ残ったんだね。せっかくだから、このデータでEDまで行ってみるよ。」
父親のデータを娘の私が引き継ぐなんて、さながら親子二代の冒険だね。
とりあえず「勇者きょうか」としての冒険は、クリア後のお楽しみにとっとこうかな。