小鬼襲撃編 その7 初めて
冒険者達が来たことにより、戦況は一転、どんどんゴブリンを押していく。
ルーカル付近山、キングゴブリンが椅子に座っている。すると、ドン!っと椅子を叩きつける。
「何だと!6万以上ものゴブリンがいるのに1万も倒されたのか!このままだと負けるぞ!」
「しかも、あと1万で、防具を付けたゴブリンが尽きます」
キングゴブリンはあのスーツの男が来てからずっと苛立ちを抑えられずにいる。
「黒い服を着た、変な男のせいだ。あいつが邪魔しなければもっと防具もゴブリンも準備出来たはずなのに」
ルーカルを襲撃する準備中に防具を隠していた基地を黒い服をきた男に襲撃されそこにいたゴブリン、防具が無くなっていた。
「クソ!次から次へと」
「キングゴブリン様、私達が出ましょう」
キングゴブリンの横に立っていた杖を持ったゴブリンと他のゴブリンよりでかく牙が鋭いゴブリンが前に出てくる。
「お前らが出るのか、もう少し後に出そうと思っていたが、このままだとこちらが負ける。分かった、行ってこい」
「御意」
2人のゴブリンがルーカルに向かって行く。
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戦場
「魔法使いは交互に魔法を打って攻撃を耐えさせるな!」
騎士団長が指揮をとり、ゴブリン達を押していく。
「地の魔力に感謝し我らに力を与えたまえ、ファイアーボール!」
後ろでは魔法使いがゴブリンの群れに魔法を打っていく。
「おら!」
前では武器を持った冒険者、兵士。そして、エノメ、ギルドマスターが戦っている。
「....」
一番後ろではずっとリリスが仁王立ちしている。
「リリス様は戦わないんですか?」
魔法使いの冒険者がリリスに聞く。
「いや、えっと...その、あの、ほら、あれだよ、あれ真打ちはピンチの時に動くんだよ!」
リリスは全然動揺が隠せていない。
「そうなんですか!流石、リリス様」
「あ、当たり前だろ」
弱いから、戦えないとは死んでも言えない!
「おい!そっちにブラックウルフが行ったぞ!」
「!?」
前衛をくぐり抜けブラックウルフがこちらに迫って来ている。まずいまずいまずい!どうしようどうしよう。
「おぉ!リリス様の実力が見れるぞ」
1人の冒険者が少し大きな声でそう言うと、それが周りの冒険者に伝わり、皆のこっちに目線が集まる。
「本当だ!」
ヤバい!皆に見られてる、このままじゃ弱い事がバレちゃう!どうにか倒さなきゃ。
「どんな魔法かな?」
期待の言葉が聞こえてくるたびに頭が真っ白になる。ウルフもどんどんっとこちらに近づいてくる。そしてこちらに飛びかかって来る。
リリスは反対を向いて走り出す。やっぱ無理!
「え?」
見ていた、冒険者が皆、ポカンとした顔になる。リリスが走って逃げていく。
「リリス様どこ行くんだよ!」
1人の冒険者がそう言う。
「まさか、1人で逃げようと?」
「そんなわけねぇ...よな?」
みんな、リリスを疑い始める。すると、騎士団長が喋り出す。
「さっき、裏門にゴブリンの群れが近づいているとの報告が入った。あの少女はそれを見越して裏門に向かったのだろう」
「そうなんですか?」
「ああ」
皆、さっきまでのようにリリスの疑いが晴れていく。(本当にただ逃げただけだけど)
「流石、リリス様だ!裏門は任せろって事か!」
「リリス様がここを任せてくれたんだ。正面を必ず死守するぞ!」
「「「うおー!!」」」
冒険者達の志気がさらに高まる。
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ルーカル裏門
「はぁはぁ助けて~!」
後ろからブラックウルフが追いかけてくる。気付いたらルーカルの裏門まで来てしまった。
「グルルル!!!ガゥ!」
ずっと追ってくるよ!怖い怖い怖い。
「私は美味しく無いよ」
コツン!っと石に足を引っ掛ける。ズザー!っと転がる。後ろを振り返りウルフを確認するとすぐ、そこでこちらの様子をうかがってくるくると回る。
早く逃げなきゃと思うが、足がうまく動かない。
「グルル!ガゥ!」
次の瞬間、ウルフがこちらに襲いかかってくる。魔法の杖をウルフに向けてリリスは目を瞑る。
「ファ、ファイアー!」
この技は基礎魔法で戦闘ようの魔法ではないが、リリスがなんとかしようと魔法を唱える。すると、凄まじい威力の火がブラックウルフにあたる。ウルフは跡形もなく消える。
「!?、これ私がやったの?」
私、生きてる?ほっとして力が抜ける。そして少し嬉しい気持ちになる。
「初めて魔物を倒した!私が倒したんだよね」
嬉しくなり、地面に大の字で寝っ転がる。そして空を眺める。
「ウィリアムやったよ!私初めて魔物倒したよ」
ペンダントを握りしめ目を閉じる。ドン!ドン!っと地面が少し揺れる。なんだ?
徐々に揺れが大きくなる。音も遠くから聞こえてくる。これは足音?
目を開けて音のする方を見る。そこには大量のゴブリンがこっちに迫って来ている。
「な、なんでこっちにもいるんだ」
リリスは立ち上がる。




