悪だくみ
「ミタマの坊主その背中はなんだ?」
避けようとしてうっかり出してしまったな。この背中に生えて入るのは見たとおりドラゴンの翼である。
何でドラゴンの翼なんて生えているんだって?それはドラゴンの死骸を吸収させた時に沢山のスキルを得たその内の一つである。周りの人達が呆気にとられている、流石にこんな大勢の前で出すのはまずかったな。
「あ、あなた様は!ま、まさか天より授かりし光の民ロゴス様ですか?」
なんだその変な名前のロゴスって誰だよ.....。辺りの人々がざわざわとうるさくなった。
俺は取りあえず下に降りる。
「何ですか?その光の民ロゴスって何なんですか?」
領主様に質問する。
「光の民ロゴス様は今から四年前の事です。ある地に突如として光を放ち天より現れ、光の剣で脅威を切り裂いたと言われています。この東の国で最も恐れられていた存在キングゴブリンを討伐した英雄は光の民ロゴスと言われ最近ではロゴス様を信仰する者共までいるくらいです」
まるで神みたいな物だな。だがこの世界には神など居ないから光の民と呼ばれているのか。
四年前.....キングゴブリン....光の剣....。四年前のキングゴブリンが村に来た時の.....。
それで言えば俺は光の民ロゴスだな。
「その背中には美しい羽が生えていると」
ドラゴンの翼ですけど.......。
「ミタマの坊主はブルードラゴン討伐の時に光のような剣を使ってなかったか?」
「それは本当か?」
「はい!私も見ました」
メルダも見ていたのか。
メルダは魔法使い組のまとめ役みたいのをしていた女のひとだ。
「おお!やはりミタマ様が光の民ロゴス様なのですね!!」
「僕は光の民なんかじゃありませんよ....」
「いや!あなたはキングゴブリン討伐だけではなく我々の街を救って下さった光の民ロゴス様です!」
どうしようか?光の民では無いのに勝手に神のような存在にさせられているぞ。
神のような......神....これを逆手に取れば。俺はにやりと微笑む。
「ミタマが悪い顔しているんだけど!」
俺はもう一度ど翼を出して空に飛ぶ。
「皆さんよく聞いてください!!」
ざわついていた人々が一気に静かになる。
「僕は皆さんの言う光の民ロゴスで間違いはないでしょう!」
「やっぱりロゴス様なんだ」
「私達の街を守るためにきてくださったんだ!」
辺りが喜びの声で満ちる。
「だが!僕は光の民ロゴスではない!」
「どういうことですか?」
「僕は光の民ロゴスではなく、神と呼ばれる者です!」
「神?何だそれは?」
「神とは人々をお助けする人の事を言います」
「ロゴス様と同じじゃないか!ロゴス様も人々を助け光を灯してくれる存在だ!」
「はい、役割は同じような物です。ロゴスではなく神とお呼び下さい」
「ロゴス様がそうおっしゃるのであるなら....そうしますが...」
「ああ、よろしく頼む。我を信じ信仰せよ!その者に神のご加護を!」
神剣を手に出して上に掲げる。
「おお!我らが神、ミタマ様」
ミタマじゃなくて神にしておいて欲しいんだかな、前の村のように神として崇められるのはちょっと恥ずかしい....。
「我ら一同、ミタマ様を信じまする」
街の人が頭を下げてこちらを向いている。
あれ?やりすぎちゃったかな?こうなんか人に頭を下げられるの慣れないな。
「あ、あの頭を下げなくて良いですよ!さっきまで通りの態度で行きましょう」
「いえ、我々はそのような事は出来ませぬ」
「本当に良いんですって!僕はそう言うの望んでないので」
本当にこういうのは慣れないからやめてほしい。
「ミタマ様がそこまで言うなら...」
「はい、そこまで言ってます!」
「分かりました。皆の者!ミタマ様にはさっきまでの態度で過ごすようにいいな!」
「「「はい!!!」」」
凄いな影響力が!
「流石にれす!ミタマしゃま!」
こいつは早めに寝かしつけないとな。
「それにしてもミタマは凄い人だったんだな」
リリスが話しかけてくる。
「いや、そんなもんじゃないよ」
「いやいや、ミタマは十分凄いよ!私は君に感謝してもしきれないよ」
「いいんだよ。結局俺がしたくてしたことなんだし」
「お人好しなんだな」
「リリスにだけは言われたくないね。街の為に命を犠牲にしようとするんだから」
「それは!あいつの.....いやそうだな私もお人好しかもな」
リリスが微笑む。
皆生きて帰れた、本当に良かった。
(流石だね。神、ミタマ様。あの力を使わなくて良かったよ)
アマテラスの声が聞こえてくる。
茶化しに来るな。神の皮をかぶった一番の悪魔め。
(そうつれない事言わないでよ。あの力を使っていたらドラゴンだけじゃなくリリス、街、ここにいる人々全員が死んでいたでしょうね。今後とも使わぬ事を望んでいるわ。じゃあまたいつか会いましょう)
本当にあの力は危険なんだな。あのアマテラスでさえここまで忠告して来るとはな。
この世界の人々を想ってのことだろうがな、あいつも意外といい奴なのか?まあ俺をこの世界に連れてきた事とは話が違うけどな。
「ミタマの坊主!お前やっぱり凄いな!」
「本当にミタマさんは凄いです!」
コルトとメルダさんが来る。コルトが肩に腕を掛ける。
「俺は最初から気づいていたぜ!ミタマの坊主が大物だってな!」
「コルト、お前そんなに褒めてもお前がしたことはごまかせないぞ」
こいつは勝手に街に人を戻したという罰があるからな。
「んな、つれないこというなよ。許してくれよ!!!」
「本当に大人かよ!」
笑い合う。これもこれで楽しいな!
俺とエノメは少ししたら街を出てルーカルに向かう。そしたらこいつらともお別れか...。
「なあ.....」
「なんだ?ミタマの坊主?」
「どうしましたか?」
「俺のパーティーに入らないか?」
青龍編が終わり新たな仲間が....。




