街の英雄
「「「この子がこの町を救った!?」」」
救った?何から救ったんだよ。
「まさかあの子がこの町の.....」
「でもそんな事あるのか?」
周りの冒険者がとても騒がしい。
何の話か分かっていないのは俺だけかもしれない。
エノメの方へ振りかえる。
「エノメ何の話か分かる....か?」
さっきのような険しい顔がまだ続いている。
何故だ?エノメの視線の先を見る。するとあの少女を睨んでいるようだ。
「皆さん静粛に!!!」
急に大きい声が聞こえる。
冒険者達の視線が声の主に集まる。
「皆さん、お集まりいただきありがとうございます」
あれはギルドの人っぽいな。
「今日集まって頂いたのはこの村に危険が迫って来ているからです」
やっぱりそうだよな。緊急で集めるくらいだもんな。
「その危険って何なんですか?」
一人の冒険者が聞く。
「それは......ブルードラゴンです」
ギルドの人が緊張した感じで質問に答える。
周りの冒険者達が騒がしくなる。
「ブルードラゴンって他のドラゴンよりは弱いが早く、魔力の量もある程度ある賢者級の魔法使いが4人いてやっとの強さだろ」
「この町にそんな奴居ねえだろ」
周りの声が聞こえる。
それじゃあどうやって勝つんだ。勝てないなら早めに住民の避難をしなければな。
「あの!」
俺も質問をする。
「勝機はあるんですか?」
「........可能性ならあります」
勝てる可能性がある?この町には賢者級がほとんどいないのだろう。東の国のほとんどの冒険者は魔法使い級、時々大魔法使い級がいるくらいの割合だ。
「どうするんですか?」
「この方がいるじゃないですか」
ギルドの人が少女に手を向ける。
その少女が勝てる可能性?
「この方は30年も前にこの町を救った英雄様です」
30年前?この子が?
「昔この地の近くにブラックドラゴンの子竜が住んでおりました。ある時その子竜の逆鱗に触れた者がいた。子竜は住んでいる山を燃やし、とうとう街に来る。街を燃やし、崩して回った。そのときある冒険者が前に出るすると、子竜は怒りが静まり、村を去って行く。それからこの町にはドラゴン、魔物ですら近づかなくなったのであると言われています」
ある冒険者...それがあの子って訳か。
「しかし最近はブルードラゴンがここら周辺の村を壊して回っているとの情報があり。今日ドラゴンがこちらに向かって来るとの情報を得ました」
それでこの街を守る為に冒険者を集めたと。
「作戦を発表します。まずAチーム、Bチームに別れAチームは住民の避難、Bチームはこの街にドラゴンがつく前に討伐に向かって頂きます」
なるほど。
「Bチームのリーダーとしてこの街の英雄様がついて行って下さるそうです。さあ皆さん別れてください」
俺達はどっちにするか。
周りを見るとほとんどAチームに行っている。確かに安全かも知れないがこの街を守る気はないのか?
「Bチームが少ないですね」
「Aチームの皆さん少しだけBチームに行って頂けるとありがたいです」
誰も動き出さない。
「うーん、どうしましょう」
すると少女が立ち上がる。
「私は最強だ!何人雑魚が居ても変わらんわ!」
「そうですか!!」
「ああ、少しだけ我が力を見せてやろう!」
少女は首に掛かっている。ネックレスを取る。
何も起こって居ないが....。
するとエノメが少女に向かって走り出す。
「エノメどうした?」
エノメが走って行く。すると突然飛び跳ね少女に向かって飛んでいく。
何をしているんだ?
「兵士よ、バリアを貼れ!」
三十人が手を出す。
するとエノメが少女に攻撃を当てようとするがバリアで防がれる。
「お前なにをするのだ」
「ミタマ様逃げて下さい!!」
逃げる?
(私も逃げる事を推薦します)
何故だ。
(ミタマ様には見えていないのですか?)
何をだよ!
(周りの冒険者達をみてください)
辺りを確認する。
あるものは怯え後ずさり、あるものは腰が抜けて動けなくなり、あるものは気絶している。
なんだ?これは
(魔力探知のスキルを持っていませんでしたね。ミタマ様は)
だからなんだ?
(あの少女はこの地を埋め尽くす程の魔力を放っています。そしてエノメ様が攻撃をしたのはその中に殺意がこもっていたからです。あの少女はここらにいる冒険者を一人で殺す事が可能だと考えられます)
そういう事か。
ネックレスを少女が付け直す。
「待て待て、お前、私にはおまえ等に危害を加えるつもりはない」
殺意があったのにか?
「エノメ戻って来い!今はこんな事をしている場合じゃない!」
「ですが、ミタマ様...」
「そうだ!私には戦う意志などない」
「戻って来い!」
エノメは少し考え。
「わかりました」
こちらに戻ってくる。
「待て、この方に無礼を働いた事は許していないぞ」
兵士をまとめるお偉いさんがそんな事を言う。
「よい、よい今はそんな事をしている場合ではない」
「はい、わかりました」
エノメがこっちに帰ってくる。
お偉いさんがこっちを睨んでいる。
「さて、これでわかったであろう、私がいれば何の心配もいらないと、さあ!私と付いて期待ものはこっちに来い!」
誰も行かない。なんならさっきより人数が少ない。
それはあんだけ力を見せたんだ。強さは保証されているが.....恐怖が勝つだろうな。
「........な、なぜだ?」
こいつバカか?やりすぎたせいだろ。
「わかった訂正しよう。お前らは私より弱いが雑魚ではない、だから手伝ってくれ!」
逆効果だろ!
「私も最強だが、猫の手も借りたいというか........」
これは無理だろうな。これ以上Bチームは増えないだろうな。
少女が冒険者達を見るがほとんどが下を向いている。
「誰も来てくれないの?」
もう一度辺りを見る。
俺と目が会う。
「そこのパーティー君達は私に攻撃するほどの勇気がある君達をBチームに推薦したい!!!」




