3 俺の気持ち
「あ~あ、今から俺の会社に隕石落ちて来ねぇかなぁ~。」
いつもの時間にアパートを出る。
昨日は凛が家に来た衝撃であまり熟睡は出来なかった。
いや、正確には凛の胸の件で、だが。いや、凛が女だと思い知ったからか。
当たり前の事なんだが、本当に俺は今まで意識した事が無かった。
高校まで俺と凛の距離が近すぎたからか?
離れてからもあまり気にした事が無かった。
それが、一回胸を揉んだだけで、こうも意識するものなのか。
「おはよう、今日も目が〇んで……んん?目に少し光がある?」
「おはよう、んなことねぇよ。お前は今日も目が〇んでるな。」
俺はいつもとは違うのだろうか?自分じゃわからん。
いつものように半分魂が抜けた状態で仕事をこなす。
今日は昼飯を食う元気があった。いつもはコーヒーのみで過ごしていたが。
凛のおかげでいつもより元気な状態なのだろうか?
いや、ねぇだろ!ちょっと胸を揉んだくらいで。
何とか仕事の区切りをつけ、家に帰る前に凛に約束通り連絡した。
『今、仕事終わった』
『OK。今から冬弥ン家行くよ』
返信早いな。俺も早く帰るか。
帰りながらずっと凛の事を考えていた。
一緒に居た期間、お互いを異性として意識したことは無かった。
俺も凛も、そこそこ告白とかされていた。
お互いに包み隠さず、報告していた。
「アタシ、付き合うとかってよくわかんないんだよね~。」
「俺も良くわからん。凛と遊んでる方が楽しいんだよな。」
「アタシも~。冬弥と遊ぶ時間が減るのもなんかヤだし。彼氏要らないかな~。」
「わかるわ~、彼女要らねぇわ~。」
そんな感じでお互い彼氏彼女を作らなかった。
俺が大学入ってからも時々凛とは会っていたが、その頃の凛はどうだったっけ?
何か、上司に飯誘われたりウザいとか、同僚が付き合ってくれってしつこいとか言ってたかな…。
その時の俺はへぇ~としか思っていなかった気がする。
今は?凛に彼氏はいるんだろうか?何でこんなに気になる?
もしかして、俺は凛の事が好きなのか?急に意識するようになって、わからない。
でも、凛には彼氏は居て欲しくない。俺と一緒に居て欲しいと思うようになってしまった。
親友として?昔のように男とか女とか関係なく仲良くしたい?
未だに俺の感情は混乱状態だ。
「おっす!昨日ぶり!お疲れさま、冬弥!」
今、ハッキリした。
凛の笑顔を見た瞬間、理解した。
俺は
凛の事が、
女として好きだ。