2 混乱
「あっ。冗談だったのに、本当に揉むんだ?」
「…えっ?あれ?」
何で俺は凛の胸を揉んでる?…でも柔らかいな。
「驚いてるみたいなのに、揉むのはやめないんだ?」
「………。」
ヤバい、何か幸せなんですけど…。
「んっ………ちょっとは癒されてる?」
「…うん、結構。」
「………そう。」
しばらく続けていたが、凛が俺の両手をつかむ。
「…こうしててもいいんだけど、明日も早いんでしょ?」
「あ、あぁ。」
「じゃあ、アタシ帰るよ。でも明日も来るから。」
「明日も?けど、何時になるかわからないぞ?」
「じゃあ、仕事終わったら連絡して。そしたらまた来るから。」
「わ、わかった。」
そう言って、凛は帰っていった。
え?俺結構ヤバいことしてない?凛だって彼氏いるかもしれないのに…。
疲れているのに、心臓はドキドキしっぱなしだ。凛は親友だった筈だろ?
もしかして女として意識してるのか?無意識だったとはいえ、何であんなこと…。
明日また凛が来る?どんな顔をして会えばいい?
そもそも凛は何をしに来たんだ?お袋に言われて顔を見に来ただけなのか?
何か話があったんだろうか?
俺は混乱していた。
『ねぇ?アタシのおっぱいどうだった?』
『アタシが女だって思い知った?』
風呂から出ると凛からメールが入っていた。
メールに返信出来なかった。
俺自身、良く分かっていないから、というのもある。
あるが、凛にどう接していいのかわからなくなっていた。
凛とは高校を卒業するまでは、ずっと一緒に居た。
俺が大学に入学し、凛は地元の企業に就職した。
離れ離れになって、やはり寂しかった。
大学には親元から離れ、一人暮らしをしていた為、凛とも疎遠になっていった。
それでも、春休み、夏休み、冬休みには実家に帰っていたので、そのタイミングで凛とも会っていた。
凛は俺から見ても、魅力的な女性に成長していた。
だが、それでも俺は、凛を親友だと思っていた。凛もそうだと思っていた。
大学卒業後、就職してからは一度も実家に帰っていない。
特に何かあったわけではない。ただ、面倒だっただけだ。
忙しさにやられ、ただ日々を過ごしていた。
凛の事も頭の片隅に追いやられ、ここ最近は連絡を取る事も忘れていた。
『アタシが女だって思い知った?』
一体どういう意味なんだろう?