実験
同時投稿…できてる?
〜〜〜???〜〜〜
「じゃあ、頼みますよ。いい素材を、連れてきてください」
「お願いしますよ。ちょうどいい被験体を、持ってきてください」
全く同じ見た目をした二人に頼まれる。
この二人は依頼主だ。
見てると、気持ち悪くなる。仮面のせいで、どちらがしゃべっているかわからないのだ。
こんな体でも、依頼主だ。邪険にはできない。
「あぁ、分かってるよ。誰でもいいんだろ?」
「えぇ、ですが、許可はきちんと、取ってくださいよ」
「へいへい。分かってるさ」
こんな怪しい人体実験に誰が好んで参加するんだか。
どっかから、適当な餓鬼攫って来りゃいいかな。
〜〜〜アスラ領首都〜〜〜
アスラ領。ここは犯罪の温床だ。
首都であろうと、少し道から外れると誘拐、強姦、窃盗、殺人。
もはやスラムだ。
その癖、表通りはこの国で、1、2位を争うほどの治安の良さを誇っている。
全く、ふざけた国だぜ。
ふと、脇道に子供の足が見えた。
覗きに行くと、そこには重傷を負った餓鬼がいた。
こいつでいいか。
死んでは…ねぇな。俺は、餓鬼の血に濡れた右手で血判を押させる。
「……な…なんだ…よ。このやろう…」
こいつ…目を覚ましやがった。めんどくせぇ。
餓鬼に依頼主から預かった昏睡の魔具を取り付けて、抱える。
俺は依頼主のいるダンジョンに向かった。
〜〜〜ダンジョン内部???〜〜〜
突然だが、ダンジョンについて解説しよう。
ダンジョンとは、国が管理する『資産』である。
そのため、ダンジョンの入り口には、見張りの兵士が立つ事になる。
だが、ここは違う。
未発見のダンジョンには当然ながら、見張りはつけられない。
ここは発見されておらず、我々によって隠蔽されている。
さらに、小規模のまま『成長』しないよう抑えている。
そのため、安全に実験を行うことができるのだ。
さて、話を変えよう。
「5番目の子はどうなった?ほら、このあいだ施しただろう?」
「あぁ?確か、三日前に死んだな。急に衰弱してな」
「そうか、残念だなぁ。じゃあ、残っているのは?」
「2番目と4番目だな。1番目は確認できなくなった」
「あらら、振り切られたのか。失態だなぁ」
「別に構わんだろう?他の支部もほとんど失敗らしいしな」
「次の子はどんな子だろうかね?元気な子だったら成功するかもだけど」
「成功した後の影響が何も分かってないんだ。何とも言えんだろう?」
「番号の振り分けが終わってるのに、実験するなんて初めてだもんな。『それ』が何なのか分かってないのに差別化できてるんだろ?見た目は全く変わらないのにな」
「上の考えはいつも謎だろ?そんなもんなんだよ」
そんな会話の中、ここに近づく人間の存在に気づいた。