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人差し指の傷口ちゃん
いつもと変わらず
左手にスマホを持って
音楽シャカシャカ鳴らしてた
麦茶が飲みたくなって
冷蔵庫からひょいと取り出す
ペットボトルのいつものやつだ
そこまでは良かったんだ
直す時にね
スマホを左手に持ったまま
右手で麦茶を直した
隙間が狭くて
右手で押し込んで
押し込んで
えいえいえい!
そうしたら
そうしたら
――ガボン!
大きな音を立てて床に落ちる麦茶
蓋が爪に引っ掛かっちゃった
えーん
右手の人差し指が
捲れたよう!
慌ててスマホの音楽を止めた
ペラペラの薄皮が
触れる度にしくしく痛む
そのせいか
何をしても不器用になってて
キーボードやスマホを打ち込むのも大変
この詩を打ち込むのにも
一苦労中……!
応急措置をこころみる
絆創膏を二枚貼ってみた
違和感は緩和されて
静かな時間が流れる
再びスマホで
シャカシャカ音楽をかけた
(絵は描けるかな……)
鉛筆たてを見るとネームペンが
「よーし!」
それはほんの思い付き
顔文字を左手で描いてみた
>o< ←こんな感じのやつ
目に映る毎に
こんな顔で主張して来るものだから
愛着湧いちゃった
しばらくよろしくね
傷口ちゃん
すぐ剥がれるだろうけれど