ずっといっしょに・・・
見るたびに細く丸くなっていく背中
白髪交じりのあなたが作る
甘めの玉子焼き
あなたが見ている私はいつの頃の私ですか?
まだ赤ん坊のままでしょうか
ずっといっしょに歩いていけるわけはない
いつか来る別れを想像してみたら
目頭が熱くなってきたよ
我が儘のし放題で障碍を持ち
人より苦労を掛けてきた私を
いろんな場所に連れてってくれる
なかなか休みも取り辛かったでしょう
聊か申し訳なさそうに振り返ると
杖を鳴らして歩くあなたはにこやかで
ありがとうとごめんねが交錯する
体調が悪くなってタクシーで帰ることもある
「死にたい」なんて言ったこともある
その時は本気で心配したり怒ったりしてくれた
最後には笑顔で「ええねん」って言うあなた
そんなあなたが報われる世界であって欲しい
そう願う
いつかあなた自身の人生が始まるように
私も出来ることを探すよ
少しずつだけど……。
◇
今日ね
トイレットペーパーを買いに
スーパーへ行ったんだ!
人が多くてもパニックにならなかったし
ちゃんとお得な方を選んだし
余計なものを買わなかったよ
……アイスはご褒美!
ちょっとずつ外に出ることから始める
買い物や散歩をして
失った人間らしさを取り戻す
だから
長生きをしてその瞬間を待っていて
必ず世間に証明してみせるから
私はあなたの自慢の娘だってことを
間違ってなんか無いって
あなたは常に正しいって
あなたがくれたのは「愛情」なんて
安い物じゃない
大切な「人生」そのものだから
私も生涯をかけてあなたに応えたい
それが今の私の気持ち
ずっといっしょに歩いていけるわけではない
それでも心は
あなたの心は
私が幼い頃から沁みついている
大切な思い出
宝物だから……。




