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流刃争記  作者: スマイロハ
修行編
9/26

第八話【的当】

師匠のワザを使うには、まず肉体を鍛える必要がある。

敷地内に設置された、大小様々な形の的、要はターゲットをひたすら破壊し続ける。

敷地内には山、森、川、湖、家、洞穴があり、的が何処に、幾つあるかは知らされない。

日本刀を持ち、動きやすいとは言え普通のシャツとズボン、それに普通のスニーカーで走り回るのは、それだけで肉体には良い負荷になる。

的の数は、流我の体力でギリギリ達成出来る数にされており、探すのに手間取ってペースが乱れると達成出来ない。

このギリギリが絶妙で、選択を迷わず、体力を使い切らないと終わらないようになっている。

「流我の弱点は余裕の無さだ。」

「普段は冷静に、適切な判断を行える。しかし、少しでも追い込まれれば、途端に頭が回らなくなる。」

慣れれば余裕は生まれるが、慣れるには時間が要る。

流我に求められるものは早さ。

頭の回転を出来るだけ早くして、出来るだけ早く落ち着き、出来るだけ多く考える。

そうしている内に余裕が生まれ、多少の事なら対応出来るようになる。

肉体だけでなく、頭も鍛える。

情報は戦闘を有利にする。

敵を知って己を知れば、問題なく事を進められるのだ。

「これから教える技術だが、私自身もよく分かっていない。」

座学の最中に師匠が話し出す。

「不思議なワザだとは思っています。風を起こして力にする。何と言うか、魔法の様な?」

流我が知っているのは、やけに強いと言うことだけ。

正座をして話を聞く。

「技の詳細は分かっている。そこは心配しなくて良い。」

「ただ、これが何処からきたものなのか、分からない。」

師匠は、師匠の師匠から、要するに、人から聞いた話しか知らないと言う事だ。

詳しい事は技を教える時に話す。それまでに出来るだけ纏めておく。

今教えても、鍛錬に悪影響が出るだけだと、

そんな感じのことを言って、この日の座学は終わった。

「よ〜しミント、動くなよ〜。」

腰に鞘を当て、構える。

一気に抜刀し、ミントの顔目掛けて斬撃が放たれる…!

「よっし、完璧!怪我無いか?」

ミントは小く頷く。…散髪していただけの様だ。

日本刀、それも自らの師に渡されたもので散髪とは…。

これが余裕なのだろうか。違うか。

こっちにきてから髪を切っていなかった。

改めてミントを見てみると、

身長160cm程で、黒髪は肩にギリギリかからず、ボリュームはあれどストレート。

体型はやや痩せ型で、振る舞いは普通の女の子。

実際に見た事が無いから実感が湧かないが、身体能力は一流のアスリートを遥かに凌駕するらしい。

「よし。」

今度は右手に刀を持ち、首に当てる。

(…自分の方が緊張するな。)

流我の頭を包む様に刀が…二回目はいいか。

固めてはいないがオールバックにし、髪で視界が遮られない様にする。

以前は普通の髪型だったのだが、肉体と同じく、必要な形に成長している。

身長170cm強、見た目は痩せ型、しかし見た目以上に筋力があり、一般人では戦車に乗っても敵わないだろう。

鍛え初めて数ヶ月は成長痛に悩まされた。

それが今では、痛みこそ以前の比にならないものだが、痛みに耐える精神力が大幅に鍛えられた。

「痛いけど、痛いだけで普通に動ける。」様になったのだ。

そして今日、鍛錬は新たな段階へと進んで行く。

「【流神流剣術】を教える。」

「以前、魔法と言っていたな。仕組みを聞けば分かりやすいが、これは自然の力だ。」

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