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流刃争記  作者: スマイロハ
修行編
8/26

第七話【完成】

「師匠!今日からお世話になります!宜しくお願いします!!」

今日から鍛錬の日々が始まる。

好きに呼べと言われたため、少し憧れだった師匠呼びを始めた。男児なら分かるだろうか。

それと、ミントについて新たに分かった事がある。

ミントの身体は【第一の点】を通らずして、謎の成長を描いている。と言う事だ。

ヘビが言うには、「精神にも影響が出ている可能性がある。」そうだ。

ミントの性格に少し、引っ掛かるところがあった様に見える。

「少し下がって、見ていてくれ。」

師匠はお手本を見せてくれるそうだ。

師匠の名前に関してだが、本名は教えられなかった。

ただ、「ヘビと同じ様に剣豪と言う偽名があるにはある。」と。

しかしこれは自ら名乗っている訳ではなく、友人が勝手に広めているだけの様で、表情こそ変わらないものの迷惑していることが見て分かった。

そのため、師匠呼びをする事にしたのだ。

(技を見せてくれるのか!)

うろ覚えではあるが、衝撃的な光景を忘れる訳もなく、緊張で強張ってしまう。

流我を気に止めることもなく、師匠は腰に差していた真剣を抜き、頭上に構える。

すると、両手に握られた日本刀は風を纏い、纏った風は師匠の全身を包み込み、巨大な風圧を発生させた。

「ミント、俺の後ろに隠れてろ。」

一般的には、風速20mもあればまともに立っていられなくなるそうで、この時の風は、それほどでは無いにしても強く、気を抜くと倒れそうになる。

両手で顔を覆い、しばらく耐えていると風は急に収まり、師匠は刀を振り下ろした。

振り下ろされた刀は風を発しており、その風は複数の刃となって簡素な的に当たる。

的と風が衝突すると、的は一切揺れることなく小さな欠片に変わっていった。

「これをやってもらう。」

刀を鞘に納めた師匠は、流我の方を向いて簡単そうに言う。

「いえ、出来ませんけど。」

思わず言ってしまったが、勿論やる気はある。ある、が、やる気だけではどうしようもない。

「分かっている。今のは最終目標の様なものだ。」

先ずは体を鍛える事から始める。

そして刀を振る。最後に技を出す。

鍛錬の主な内容はこんな感じだ。

「これを渡しておく。すぐに持てなくなるだろうが、無理矢理にでも刀を振れ。」

真剣を貰った。

かなり重いが、流我の筋力なら全然振れる。

「持てなくなるとは?」

すぐに分かる。と言われたが、本当にすぐ分かった。

受け取った刀を軽く振ると、手を離してしまった。

「ーーー!!」

腕の内側、どこから始まるのかは分からないが、腕全体の感覚を忘れるほどの激痛が走る。

「成長痛だ。」

「鍛錬せずとも、ただ日常生活を送っているだけでも、その痛みは発生する。」

強い運動を行えば尚更増し、無理に続けた者は自殺に追い込まれることがある。

師匠は、無理に戦う必要は無いと考えている。

無理に強くなる必要も。

来る者は拒まず、去る者は追わず。と言っても、命が無ければ何も出来ない。

流我の他にも弟子は居るだろうし、高い実力を有していればこそ、そういう場面も多くあった筈だ。

(…この痛み、知ってる。いや、覚えてる。)

師匠に初めて会った時、あの時感じた痛みと同じだった。

あの痛みがずっと続くのかと、考えた。

「やりますよ。俺はやります。」

俯き、腕の先、地面の先を見ながら言う。

「俺は死にませんから。強くなる時も、強くなっても。必ず。」

落とした刀を拾い、再び振る。再び激痛が走る。

歯を食いしばり、感覚の無い腕に力を込め、振り下ろす。

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