第十七話【機械の成長期】
「アイツ、多分お前しか狙ってない。」
一週間後の敵と、今まで何度も襲って来た敵。
一週間の方は体も大きく、真っ直ぐ有空に向かっている。
今までの雑魚と呼べる敵は、流我と有空両方を狙っている。
「お前ちょっと逃げ回ってろ。俺の方に半分だけ来るならやれる。」
大きいのが有空に行って小さいのだけなら、半分の数に減らせれば倒せる。
「終わったらそっちに合流する。背後から数減らすから、お前はとにかく走り回ってろ。」
島の中心を指差す。
有空が逃げれば大体の雑魚は追い付けない。
速度の差から段々密度が下がっていき、少数になった所を流我が狙う。
ただし、有空には流我自身も追いつけないため、そこは上手く調整してもらう。
「オッケイ!!」
有空は島の中心へ、流我は島の外側にある砂浜へと走って行く。
(アレは雷鳴効かなかったよな。多分あのデカいのも無理か。)
追って来る敵は、二足歩行で個体毎に異なる武器を持つものと、四足歩行でスピード重視のものがある。
四足は苦戦する相手で無いのだが、二足の持つ武器は化学の匂いがし、数が集まると面倒になりそうだ。
(風圧ノ構エ…。)
開けた砂浜に着いた流我は、振り向き様に技を放つ。
ーーー塊風ーーー
刀が纏った風は、大きな塊となって敵を吹き飛ばす。
威力は見込めないが、距離を取るには打ってつけの技だ。
(…派手にやったな。島中に位置がバレたっぽいぞ?)
一体一体倒しながら考える。
技は重く、体力を使う。
明日の朝には流我の敵が現れる可能性。
不眠不休で動き続けて、それなりに疲れていること。
背中は湖、雑魚を倒すだけなら問題無い。
ただ、有空には加勢したい。
(雷鳴ノ構エ…!)
深く息を吸い、攻撃に合わせ四足歩行を口から真っ二つにし、持っていた電気を吸う。
二足歩行はもう直ぐそこに迫っている。
ーーー轟雷ーーー
島中に轟く雷鳴は、敵の体に響き渡り、許容量を超えた体は爆発する。
しかし四足の持っていた電気は少なく、威力が出ない。
(しょうがない。ちまちまやるしか無いか。)
最悪の場合まだ水がある。
「しつけぇんだよお前ら!!」
デカいアイツと戦いながら、ザコも倒す。
そんな器用な事は有空には出来ない。
(逃げろったって、キツいぞ?親友!)
二足歩行は銃を持つものもいる。
タマを避けるのは流石に難しい。しかも気を抜くとアイツが来る。
何より島は閉鎖空間で、湖に入ることは逃げることと同じ。
「逃げてばっかじゃショーに合わねぇ!」
「今ここで全員ぶった斬ってやるぜ!!」
急ブレーキを掛けて振り返り、大剣を大きく振りかぶると、身体の捻りを解放しつつ、勢い良く向かってくる敵達を上と下で二つに分ける。
しかし剣は途中で止められる。
「気合い入れろ!!」
さっきまで吹っ飛ばされていた敵を、今度はこっちが吹っ飛ばす。
(やっぱ無理だったか。)
島の中心から大きな爆発音が聞こえる。
有空が普通にやれる訳ないと思いながらも、有空の力を信じてはいた。
有空の才能なら普通に倒せるのでは。と。
(あと10体…!)
雷と風を合わせて使いつつ、敵の数は数える程に減っていた。
辺りは橙に染まり、流我にも幾らかの疲れが見え始めている。
残っているのは二足歩行の基本型。右手に銃、左手に剣を持ち、知能もかなり高い。
特出したものは持っておらずとも、弱点と呼べるものも無いバランスタイプになる。
(ワザは使わなくてもいけるな。)
湖を背に、右側から左側を囲まれている状態。
10体全員が標的に向かって正確に発射する。
真っ直ぐ一直線に来ると分かっていれば、避けるのはそこまで難しくない。
左側の敵を倒し、盾にしながら殲滅して行く。
(アレみたいにパワーで圧すのが強そうか。)
弾を散らそうとしないし、決まった動きをしてくる。
状況対応力の無さが実戦で使われない理由なのだ。
敵はそこまで甘く無い。
有空の方では、たった一機を残して敵は殲滅されていた。
大きいヤツと戦った余波で、少しずつ数が減っていったのだ。
「有空!雑魚狩りは任せろ!」
合流した流我は、残っている数体の敵から有空達を守る。
「ありがとう!!」
敵の攻撃を弾き返した余裕はお礼に使う。
(強くなってる…!パワーもスピードも、動きのキレも上がってる…!?)
有空の動きは敵と同等まで成長していた。
このまま有空が強くなっていけば、敵を超えることになるだろう。
鈍かった音が綺麗な音になり、綺麗な音が段々とズレ、甲高い金属音を発している。
音は勢いを増して行き、連打音が一つになる。
敵の防御が崩れ、有空が懐に潜り込むと止めの一撃を放ち、敵の体をぶった斬る。
腰から脇と、そのまま左腕を斬り、戦いは終わった。
「どうだ!」
大の字になって地面に倒れ込み、息を整えながら勝ったことを宣言する。
「最高だよ。親友。」
その言葉を聞き、「寝る!」と一言。
今夜はここで夜を明かそう。




