第十四話【睡眠】
レストランの厨房に少女が一人、少年が一人居る。
少女は頭を抱え、唸り声を上げている。
「黙れ…!音を立てたらバレる…!」
少年の怒りを募らせるばかりで、少女は黙らない。
(目的は達成したんだ!もうコイツに用は無い…!)
厨房にあったナイフを少女の首へ突き刺す。
少女は少年の腕を両手で掴み、押し返そうとする。
「最後くらい黙って死ね…!」
少女の腕が少年から離れ、少女は床へと倒れ込む。
(アイツを殺さないと。俺が…!)
厨房に一人の男が入ってくる。
男は少年に刀を突き付け、目的は何だと問う。
「待て!取り引きをしないか?良い取り引きを!」
少年は男に乞う。
少女の亡骸を見せ、たった今裏切ったんだと告げる。
「俺は間違ってた!こんな奴らと一緒にいるんじゃなかった!!」
ゆっくりと男に近づく。
男が刀を動かすと直ぐに止まり、また命乞いを始める。
「なあそうだろ!?あんたは正義のヒーローだ!降伏した敵を殺そうってのか!?」
近づくな。動くな。聞いているのはこっちだ。男は刀を動かす。
「仲良くやりたいんだよ!俺は!あんたと!!」
少年は男の腕を掴む。
「夢の中でな。」
男は直ぐに少年を斬るが、少年は霞となって消えて行く。
「ここは夢の中だ。何でも出来る。」
少年は手を広げる。
厨房も建物自体も、広場も街も太陽も全て消え、真っ白な空間が現れる。
「お前を殺すことだってな。」
少年は指を弾く。
男を囲う様にして無数の拳銃が現れる。
銃口は男に向けられ、無数の弾丸が浴びせられる。
「音が無いだろ?これが夢だ。」
無数に放たれる弾丸は、男の直前で地に落ちる。
男の周りを風が踊っている。
「夢の中で死んだらどうなると思う?答えを見せてやるよ。お前を殺してな。」
少年は真上へ手を翳す。
「おっといけない。それじゃ、死ぬお前には分からない、か。」
少年が手を振り下ろすと、直径20m程の隕石が現れる。
「これは斬れるか?」
男は刀を右に出し、そのまま両手で握ると、体をねじる様な姿勢をとる。
男が刀を振ると無数の刃が隕石を斬り刻み、隕石は消失する。
(このおっさん、俺の力を分かっているのか?)
少年は男を睨みつける。
(いや違うな、分かってない。現実でこの強さなんだ。)
(だが所詮は人間。俺の力には届かない!)
少年は両手を大きく広げ、自身の背後から水の塊を出現させる。
大海は全てを押し流さんとする。
「俺の勝ちだ!!!」
男は深呼吸をし、頭上で刀を両手に握り構える。
水壁は男の目の前に迫っている。
「………??」
振り下ろした刀は、少年の体を二つに分けていた。
レストランの厨房には、男が一人立って居た。




