その時パンダは言った。
日常を非日常に。ちょっとした事で現実世界が非現実世界に変わります。大きな変化じゃなくても、小さな変化だけで見え方は変わってきます。
*完結
その時、パンダは言った。
「どうして僕は白黒なの?パンダじゃなくてオセロに間違えられたらどうしよう。」
少女は言った。
「白黒の理由は分からないけど、オセロに間違えられる事は無いと思う。パンダの白黒は模様みたいだけど、オセロは表と裏で白と黒だから全然違うよ。そもそも、オセロに表と裏があるか分からないけど。」
暫くの沈黙。再びパンダが言った。
「あと1時間してこの鏡を見たら、君はパンダになっているよ。」
少女は驚いた。
「人間の私がパンダになるなんて有り得ないよ。」
「有り得なくなんてないさ!君がパンダになったら、僕がどれだけこの問題について不安なのかっていう事が分かるだろ。」
そう言うと、パンダはゲェゲェと奇妙な泣き(鳴き)声を上げながら去って行った。
あれから、一時間が経った。少女は恐る恐る鏡を見た。そこには、なんと!パンダの姿をした少女が立っていたのだ。いや、正しくは、パンダの着ぐるみを着た少女とでも言うべきか。それもそのはず。少女は今から、『The・パンダ座談会』のお遊戯会に参加するので、パンダの着ぐるみを着ていたのである。少女は内心、パンダになっていなくて良かった、とホッとしていたが、ふと疑問に思った。あのパンダは一体なんだったのだろうと。