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プロローグ


ライトノベルとかで事故に遭ったら異世界に転生していたとか、神様がうっかり殺しちゃってチートをもらって異世界で第二の人生を謳歌するとか、他にも自分の知っているゲームキャラになっていたなんてものがあるじゃん。


「……なんで」


俺は鏡に映る自分の姿を見て呆然とする。


大抵そういう作品って前世の知識を活かして俺TUEEEだったり、美少女だらけのハーレムを築けるのがお約束だろう。


なのにこの状況は一体どうなっているんだ。


「なんで、友人キャラになっているんだよぉぉぉぉおおおお!!!?」


鏡に映る自分は頭を抱えながらそう絶叫した。


「うるさい!」


「ひいっ!すみません!」


下の階から母親(俺の見た目の)から怒鳴られる。それに驚き、即座に謝罪する。


さて、状況を整理しよう。


俺は昨夜、サークルの飲み会でベロベロに酔っ払って帰ってきて、すぐにベッドにダイブした。


そこまでは良いのだ。そして目覚まし時計が鳴り響き強制的に起こされた。


もう少し寝かせろよとも思ったが、授業があるので渋々起きたが、何故か体が軽く頭も痛くなくて二日酔いにならなかったと安心し、着替えようとした矢先、見慣れない部屋だと気がついた。


酔ってたせいで誰かの部屋と間違えたかと思ったが、ふと近くにあった鏡を見ると中に見慣れない男が映っており、今に至るって感じだな。


「うん、意味がわからないな」


酔って帰ってきて目が覚めたら姿が変わっていたなんて、意味不明すぎる。


とりあえず一つだけ言えるのは、俺は『サクラユメ』に出てくる友人キャラになってしまったということだ。



サクラユメ、正式名称は『桜の木の下で、僕らは夢を見る。』という美少女ゲームだ。


主人公は桜樹学園という学校に入学し、様々なヒロインたちと学園生活を送り、最終的に特定のヒロインを攻略して学園と童貞を卒業するのだ。


もちろんエロゲであるため公式じゃ登場キャラクターは全員18歳を超えていると言っているが、実際は高校生の年齢だろと全プレイヤーは言う。


このゲームは俺が初めて買ったエロゲということもあり、すべてのヒロインを何度も攻略して選択肢やらセリフやらを暗記するほどやり込んだ作品だ。


改めて鏡に映る自分を見る。鏡に映る俺、『影宮直之(かげみやなおゆき)』は主人公の友人キャラで、攻略ヒロインの情報を何でも持っており主人公をサポートしてくれる奴だ。


当然ながらヒロインと影宮直之が結ばれることはなく、むしろスケベ行動を取るので軽蔑されるキャラだ。


つーかエロゲにおける友人キャラなんて大抵そんなものだ。ヒロイン達から軽蔑され、主人公とイチャつく様を見せつけられ悔しがるそんな立場だ。


つまりはモテないのである。


「絶望的だぁぁぁぁ!!」


また頭を抱えて絶叫すると、下から怒鳴り声がする。


「静かにしなさい!!」


「すみません!!!」


というか、あっさり影宮直之であることを受け入れているが、本当にそうなのか?


一応、確かめてみるとするか。




俺は部屋を物色して、直之の中学の生徒手帳を見つけた。


そこには確かに『影宮直之』という名前と、今の俺の写真が貼られており俺が影宮直之になっているという証明になった。


「はぁ……」


どうやら受け入れるしかなさそうだ。


他にも桜樹学園の資料を見つけたり、今は入学式の一週間前で、学園寮で生活することが決まっているらしい。


この部屋の荷物のほとんどはすでに寮に送られており、最低限の物資と中学の資料がある程度だった。


改めて影宮直之というキャラについて考えてみよう。主人公の友人キャラ(モテない)、ここまでは良い。


設定では予知夢を見れるという特殊な能力を持っていて、それを使って主人公のサポートをしていたのだ。


例えば「あの子は甘いものが好きだから、差し入れするといいぞ」とか、「抜き打ちテストがあるから準備しておけ」とか、挙げ句の果てに「これから神風が吹くよ」とか言って女生徒のパンツを主人公と拝んだりとかね。


中には「これから晴れるよ」とか攻略に役立たない予知夢も見たりするらしいが、説明文に書いてあるだけで本編には出てこなかったがね。


この能力を使って主人公とヒロインとの仲を取り持ったりしていた。


家族構成は父、母、妹との四人家族で、父親は海外出張でほとんど家にいない。妹も留学中でほぼ母親と二人暮らしの状態だ。


妹とは仲が非常に悪く、そのせいで留学したとかなんとかだったよな。名前も立ち絵も公式から発表されてないから不明のままなんだよな。


「留学から帰ってきた妹が実家にいるせいで帰れない」とゲームでも名前すら明かされてなかったしな。


見てみたいという気持ちはあるが、その時期に下手に帰って仲が拗れでもしたらストーリーがズレていく可能性があるしな。


……いや待てよ、なんで俺はストーリー基準で考えているんだ?


ここは現実だ。周りがストーリーに沿って進んでいこうと俺は自由に行動ができる。


それに俺にはゲームの知識がある。そうだよ、何もストーリーに沿って行動する必要なんて無いじゃないか!


つまり、行動次第ではヒロインと親密な関係になれたりするってことだ!


「俺は!自由に生きるぜええええ!!」


先ほどと打って変わって俺はこれからの学園生活を夢見て叫んだ。


「うるさいと、何度言わせればわかるんだい!!」


「ひえっ!ごめんなさーい!!」


俺の背後に直之の母親がフライパンを持って立っていた。


新作です。どうかよろしくお願いします。

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